- 2014年04月10日 05:00
私たちは喜んで個人情報を引き渡す:オラクル創業者ラリー・エリソンが語る「データプライバシーと民主主義」 #NES2014
新経済連盟が主催する「新経済サミット」に参加してきました。安倍首相、ジョン・ルース氏、ラリー・エリソン氏などなど、えらく豪華なメンツが登壇なさっていました。
ラリー・エリソン氏が登壇!
キーノートスピーチは、あのOracleの創業者、ラリー・エリソン氏。スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツとともにIT業界をつくった超大物中の大物!
新経済サミット、やはり一番の迫力はオラクルのラリーエリソン。スノーデン氏の事例から始め、データプライバシーを守る政治家はあなた自身が選べと熱弁。流石。#NES2014 pic.twitter.com/jGtYipFlC1
— Kazuya Minami (南 一哉) (@digitalbear) April 9, 2014
ローレンス・ジョセフ・エリソン(Lawrence Joseph Ellison、1944年8月17日 - )は、データベースソフトをはじめとする大手ビジネスソフトウェア企業オラクル・コーポレーションの共同設立者であり、CEOである。
3度の離婚歴を含む私生活や、幾多の訴訟や買収、ビル・ゲイツとのライバル関係など、様々な話題に事欠かない。また、自宅を和風建築にするほどの親日家としても知られている。近年では、中堅中小規模向けSaaS型ビジネスアプリケーション企業のNetSuite社設立メンバーの一人としても知られる。
2010年現在の総資産は280億ドルで、世界で6番目の富豪である。フィランソロピー活動でも有名である。
データプライバシーと民主主義
ラリー・エリソン氏が語ったのは、データプライバシーと民主主義について。日本でもホットな話題です。以下、ぼくのツイート中継をもとに内容を要約して書き起こします。
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ラリー・エリソン氏:本日お話したいのは、データプライバシーの話です。最初のキーワードは、エドワード・スノーデン。彼によれば、我々の政府は我々に関する情報を収集しているとのことです。
たとえば通話の記録、もちろん中身を録音しているわけではありませんが。彼によれば、このことを懸念すべきだ、ということです。アメリカ政府は我々に対するスパイ行為を働いており、これは懸念すべきだと、彼は言っています。
プライバシーというものは、インターネット、クラウドの時代においては技術的な問題ではありません。個人情報すべてを秘密にしておきたいというなら、暗号化することができるわけです。私たちに対してスパイ行為をすることはできません。
すべての個人情報を、秘密のままにしておきたいかどうか。考えてみてください。慎重に考えてみてください。我が国では、情報収集は辞めるように、国民の圧力がかかっています。これは民主主義国家の偉大な点です。
人々はまだデータは濫用されていないかもしれないが、濫用される可能性がある、というかもしれません。しかし、どんな技術でも悪用することができます。航空機というテクノロジーも、悪用可能で、悪用されたこともあります。しかし、航空機を禁止することはありません。テクノロジーはそれ自体、よいものでも悪いものでもありません。
「火」はすばらしい発明でした。起業家精神をもった人がこれを売ろうとしてとします。暖房として、料理の熱源として、安全のために。そこである人が「いや、火は危険なものだ」と主張したかもしれません。
どんなテクノロジーでも、悪用の可能性はあります。だからといって、データの収集を禁止すべきだ、というわけではりません。むしろデータを濫用する人を罰するべきで、それを民主主義国家はできるわけです。
個人情報を提供する「見返り」
歴史を振り返りましょう。人々は、すべてのデータを秘密にしておきたいと考え、個人情報を明かさずにいたでしょうか?むしろ逆だと思います。私が思うに、人々は「見返り」を得るためなら個人情報を公開してもいい、と考えているようです。
どこに住んでいるのか、どこで買い物したのか、子どもはどこの学校を出たのか、収入はいくらか、借金はいくらか…こうした情報を喜んで公開すると思いますし、すでに公開しているとも思います。そうです、クレジットカードを手にする代わりに。
私たちはプライバシーの代わりに、便利なショッピングを選んだわけです。そして電子商取引も伸び、経済も刺激することができ、私たちは裕福になりました。
別な例を申し上げましょう。家族は誰なのか、どこに旅行に行ったのか、趣味は何なのか、そういった情報も私たちは喜んで公開しています。そうです、フェイスブックです。
フェイスブックの与える「見返り」はなんでしょうか。子どもの写真を確認することができる。ちょっとだけ家族、友人に近づくことができる。みなさんは進んでプライバシーを取引の一環として手放しています。私たちは日常的に、こうした取引をしています。
数十億人が遺伝子情報を提供する未来
しかし、政府が通話データを収集していると、私たちは憤慨します。考えてみてください。すでに、どこまで個人情報を手放してきたでしょうか?将来はどうでしょうか?さらなるプライバシーである「遺伝情報」を自主的に提供する時代が来るでしょう。
ここに、コレステロール値が高い方がいるとします。そこで遺伝情報のデータベースにアクセスすれば、具体的にどの薬がもっともよく効くのかを調べて、処方することができます。医療データ、遺伝情報を渡す見返りとは、こういうものです。
社会全体にも大きなプラスになるでしょう。10億人以上がフェイスブックにサインアップしています。数十億人がクレジットカードを持っています。同じように、医療データを明け渡す人が何十億人も出てくるでしょう。
それなのに、私たちはNSAが電話の請求書のコピーを持っているといって、憤慨するのです。どうでしょう。面白い現象だと思います。たった一枚の請求書です。しかも、データの濫用が発生したことは一度たりともありません。
NSAは何をしようとしているのでしょう。テロ行為を未然に阻止しようとしています。我々は民主主義国家を生きています。電話の情報を渡す、その見返りに9.11を防ぐことができる。ひとりひとりの判断ですが、どうでしょうか。私は答えが決まっていますが…。
ロンドンという都市では、あえてカメラを街のあらゆるところに設置することを決めました。外すという決定もできましたが、彼らはそうしなかったわけです。その結果として犯罪を阻止するという見返りを得ています。
私たちは民主主義国家に生きています。私たちは、決断を下すことができるのです。
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かなり端折っていますが、要旨としてはこのようなトークを展開なさってくださいました。力強いメッセージで、強く共感します。マイナンバー制度なんかは抵抗が強いようですが、ぼくは基本的に大賛成でございます。どのように運用するかは、ぼくらが政治を通して決めていけばいいのです(そのためには、面倒なこともあるでしょうけれど…)。
ちなみにラリー・エリソン氏は親日家としても知られており、京都に自宅を持っているそうな。キャリアを辿ると富士通、日立で勤めていたこともあり、日立では社内球団のセンターも務めていたそうです(笑)俄然親近感が湧きますね!
こちらの記事も合わせてぜひ。5分ほどのスピーチでしたが、まとめておきました。
- Hayato Ikeda
- プロブロガー



