- 2014年04月09日 11:20
レッドソックスの自撮りキャンペーンから考えるスタジアムの価値
昨年のワールドチャンピオンであり、上原・田沢両投手が在籍しているレッドソックス。
地元フェンウェイパークでのホーム開幕戦にてソーシャルメディアを活用したユニークなキャンペーンを展開しました。
それが、「#soxstory」キャンペーンです。
■グリーンモンスターに自撮り写真が映し出される!?
「#soxstory」キャンペーンの内容はいたってシンプル。
キャンペーンに参加したいファンは、TwitterもしくはInstagramから、レッドソックスにちなむ「Selfies(自分撮り写真)」や「memories(思い出)」をハッシュタグ「#soxstory」と共に投稿するだけ。
と、ここまではいたって普通の企画ですが、この企画の面白い所は写真のアウトプット先。
なんと、「#soxstory」と共に投稿された写真が、レッドソックスの本拠地フェンウェイパークの象徴ともいえる「グリーンモンスター」に映し出されるというのです。
正確には「グリーンモンスター」に映し出されるといっても、実は上の写真で見えているようなフィールド側の側面ではなく、
裏側の通路部分にあたる側へユーザーがソーシャルメディアへ投稿した写真がこのように映し出されます。
ユーザーから投稿された写真を運営側が確認後に掲載をするという運用をしているようですが、
球場の象徴ともいえるグリーンモンスターにソーシャルメディアを組み込むという発想は非常にユニークでありファンをワクワクさせてくれます。
レッドソックスは従来よりソーシャルメディアの活用に積極的で、去年のワールドシリーズでもユニークな「ヒゲ」キャンペーンを展開していました。
(参照:「ワールドシリーズ場外戦?〜SNSでのもう一つの戦い〜」http://thesportsbusiness.jp/archives/848)
また、このようなスタジアム内にソーシャルメディア上にアップされた写真や動画が反映される仕組みは世界的に見てもトレンドとなりつつあり、
サッカー日本代表の香川選手が所属することでもお馴染み、世界一ファンが多いと言われているクラブ「マンチェスター・ユナイテッド」でも先日類似のキャンペーンが行われていました。
(参照:「あなたの応援する姿がオールドトラフォードのピッチ脇に映し出される!マンチェスターユナイテッドの「FRONT ROW」企画が面白い。」http://thesportsbusiness.jp/archives/1145)
■レッドソックスのもう一つの「自撮り」騒動
このような「Selfies」=自撮りを軸として作られた今回の企画でしたが、
奇しくも同時期にレッドソックスは別の「自撮り」騒動と向き合うこととなりました。
・米大統領との「自撮り」を宣伝利用、ホワイトハウスがサムスンに異議(ロイター)
http://jp.reuters.com/article/jpUSpolitics/idJPTYEA3303X20140404
連日各メディアから報じられていますが、レッドソックスに所属しているデービッド・オルティス選手がホワイトハウスに表敬訪問へ訪れた際このようなオバマ大統領との「Selfies」を撮影し、Twitterへ投稿をしました。
40,000以上のリツイートをされ話題となったこの投稿ですが、
オルティス選手とスポンサー契約を結ぶ、韓国サムスン電子が、「サムスンのギャラクシーノート3のスマートフォンで撮影された写真」とのコメントを付け加えてこの投稿をリツイートしました。
これをホワイトハウス側は、「大統領を商用利用している」と指摘し、
ジェイ・カーニー大統領報道官は「企業が大統領の顔が写っている写真を商業的な目的で使うことに反対する」と非難しました。
この騒動については様々な見方が出来ると思いますが、
一つ確かなのはそれだけネットの世界で「Selfies」というものが流行してあり、
(実際にオックスフォード英語辞典による英語版2013年流行語大賞に選ばれました)
冒頭でご紹介した「#soxstory」企画は、流行に敏感に反応した“最先端の手法”を“伝統的な象徴”とミックスして練り上げられたユニークなキャンペーンだったと言う事でしょう。
■スポーツの価値,スタジアムの価値
そしてもう一つこのキャンペーンを通して感じるべきは、
スタジアムというものがリアルの世界でもネットの世界でも、開かれたオープンなものとして存在すべきであるということでしょう。
今回のキャンペーンのように、全世界のファンを巻き込み応援に参加させるというのは、あらゆる意味で理想的な状態です。
様々な国に住み、様々な言葉を話し、様々な日常を過ごしている、普段は決して触れ合うことのない人々が、
スポーツという共通の言語を通して一つに繋がり、ともに熱狂するというのは、何にも代え難い価値があるのではないでしょうか。
そしてそのような価値こそスポーツが本来持っている価値の一つであると考えます。
世界共通でルールが存在し、説明は無用で一緒にプレーしたり、観戦したりする事が出来る、世界の人たちをつなぐということ、
それこそがスポーツの最大の価値の一つだと言えるでしょう。
お時間がある方は是非、TwitterやInstgramで「#soxstory」を検索してみて欲しいのですが、
老若男女さまざまな肌の色をした人たちが写真を投稿していることを確認することが出来ます。
含んだ言い方となりましたが、本来スポーツというのは誰でも参加可能なオープンなものであるからこそ価値があり、
そのようなスポーツが行われるスタジアムこそ、そのスポーツの価値を体現出来るような場所であって欲しいと改めて痛感した今回のキャンペーンでした。
(「●●ONLY」なんてことは決して無く。。)



