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- 2014年04月07日 07:25
就職活動中の女子大生のために、ゾゾタウンの企業研究を徹底的にやってみた。
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4月1日、多くのメディアで入社式の様子が報じられたが、現在就職活動中の大学生は翌年の入社を目指して大手企業の面接が本格化する。学生が就職活動で試行錯誤を繰り返すことはいい経験になると思うが、実際に内定を取れなければはそんなことも言っていられないだろう。
まず一番困っているのは、スタートゥデイを調べるにあたって情報が足りない事だという。会社説明会をやらない、OB・OGの紹介は行わない、リクナビ・マイナビでの採用活動も行わないという事で八方塞がりのようだ。
以前話題になった「ろくじろう」という6時間勤務で帰ることが出来る仕組みは、短時間で帰る事が出来る楽な制度だと社内外で誤解があるかもしれない、と自社サイトのインタビューで前澤社長が答えている。実際にはやるべき仕事を6時間で終わらせられる人が利用出来ると新卒採用向けQ&Aで書かれているので、決して楽な制度ではない。
スタートトゥデイの売上は300億円を超え、社員も500人超とすでに大企業の部類に入る。今後順調に成長を遂げればさらに規模は拡大するだろう。そして社長のインタビューを読むと焦りのようなものを感じる。ろくじろうに対する効果を実感しながらも、社員へのさらなる成長を促す発言は大企業病への恐怖ではないかと思う。
新卒採用向けのQ&Aに「新規事業など、自分のアイディアを提案することはできますか?」とあえて異質な項目が入っているのも、新しい事業を立ち上げたいと考えるような気概のある若手を求めている証とも言えるだろう。
1.安定的な商材の確保及び取り扱いブランドの拡充
2.年間購入者数の増加と顧客ロイヤリティの向上
3.フルフィルメント及びECシステム機能の強化への取り組み
中「課題として商品の確保、客数と購入頻度の増加、そしてこの2つ結びつける流通とシステムの強化、てなことが書いてあるね」
大「案外普通の内容ですね」
中「普通というか基本だね。今後情報を集めて分析する時はこの3点のどれに属してるか意識すると混乱しないで済むかな」
現状では本業が成長している段階であるため、本業に注力する事が成長への近道という事なのだろう。
2.システムトラブルについて
7.返品について
13.物流機能の強化について
中「システムトラブルの例としてはファーストサーバの話は知ってる?」
大「いえ、まったく」
中「システムに大規模な障害が発生するとどれ位困るか、事例として調べておくといいかな。ゾゾタウンは洋服屋さんであると同時に、洋服を売ってるIT屋さんという面も強いし。7の返品は面白いね」
大「他と比べて規模の小さい話のような……」
中「わざわざリスクとして挙げるって事は影響が大きいんだと思うよ。返送されてきた商品を受け取って、また売れるかチェックして、返金して、再度在庫として計上する、ってのは注文を10件さばくより面倒だろうね。自動化も難しいだろうし。……返品率で検索すると平均2~3%って数字が出てくるから、この数字で仮にスタートトゥデイの返品額を計算すると……ざっと年間で20億~30億!結構な数字だね。全然規模の小さい話じゃないよ、これは。事例として返品1件あたりにかかるコストとか、返品を減らす方法とか調べておくと話のタネになるかもね。返品率が0.1%下がるだけでもかなりのインパクトになるよ。13は分かる?」
大「物流って重要なんですか?」
中「リスクの中で一番重要だろうね。物流センターに大規模な投資をしたのは知らない?」
大「すいません、まだ調べて無いです……」
中「これは結構話題になったんだけどね……。去年のマイナビの社員インタビューでは皆がゾゾベースの話をしてたから重要なポイントだと思うよ」
事業等のリスクを見れば企業が何をやろうとしているのかが分かる。会話にあった通りゾゾベースと名づけられた物流センターは30億円のコストと1年以上の時間をかけて増強されている。広さは東京ドーム2個分の規模で、純利益54億円と比較しても巨額の投資だ。社員は本社274人に対してゾゾベースが133人と、1/3の人員が配置されている。増強後はさらに人員が増えるに違いない。
リンク先を見る
株式会社スタートトゥデイ・第15期有価証券報告書・事業系統図より
外部との接点として、「アパレルメーカー」から商品を受け入れて「顧客」へ配送するまで、そして注文を「ネット」で受けて「リアル」で配送するまで、という形で「異なるモノをつなぐ場所」となる。ここがどれだけ効率化されているかは収益に直接影響する部分に違いない。
大「ゾゾベースの拡張により3,000億円から4,000億円程度の商品取扱高に対応可能って書いてありますけど、去年の売上は350億円ですよね。10倍増を目指してるなんて凄いですね」
中「あ、それは違う。決算書に今年度の取扱高は958億円ってあるでしょ。売上と取扱高は別。例えば1万円の商品が売れて2000円の販売手数料を受け取った時に、スタートトゥデイに売上として計上されるのは2000円だけ。在庫リスクを取ってないの売上はそういう会計処理をするようになってるんだよ。これは百貨店とかも同じ。『消化仕入れ』で検索して調べとくと良いよ」
■スタートトゥデイが第一志望。
友人の女子大生はアパレル業界に関心があり、第一志望は洋服の通販サイト・ゾゾタウンを運営するスタートトゥデイだ。上場企業を分析するなら決算書(有価証券報告書)を参考にすると良いとアドバイスをした所、企業研究を手伝って欲しいという。自分のアドバイスがどこまで役に立つか試すのも面白いと思い、本腰を入れてみることにした。まず一番困っているのは、スタートゥデイを調べるにあたって情報が足りない事だという。会社説明会をやらない、OB・OGの紹介は行わない、リクナビ・マイナビでの採用活動も行わないという事で八方塞がりのようだ。
■スタートトゥデイの採用活動が「良問」な件について
とはいえ、ざっと調べた限りでもスタートトゥデイの採用活動は良問だ。確かに就活生向けの情報は少ないが、話題の企業だけあってウェブ上にはいくらでも情報がある。新卒採用向けのQ&Aではありのままで、自分らしく、とあるが、お膳立てをしなければ面接までたどり着けない人はご遠慮下さいという事なのだろう。以前話題になった「ろくじろう」という6時間勤務で帰ることが出来る仕組みは、短時間で帰る事が出来る楽な制度だと社内外で誤解があるかもしれない、と自社サイトのインタビューで前澤社長が答えている。実際にはやるべき仕事を6時間で終わらせられる人が利用出来ると新卒採用向けQ&Aで書かれているので、決して楽な制度ではない。
スタートトゥデイの売上は300億円を超え、社員も500人超とすでに大企業の部類に入る。今後順調に成長を遂げればさらに規模は拡大するだろう。そして社長のインタビューを読むと焦りのようなものを感じる。ろくじろうに対する効果を実感しながらも、社員へのさらなる成長を促す発言は大企業病への恐怖ではないかと思う。
社外で使える時間が増えることによって、勉強したり、趣味を追求したり、人と会ったりするわけじゃん?そこから得られるインプットが、シゴトにも活きてくることを期待してたんだけど、そこはまだ無いかな。売上が増えて企業の規模が大きくなれば一人あたりの業務は細分化される。すると利益を出すことではなく目の前の業務を片付けることが目的となり、成長への貪欲さが弱まってしまう……。ゼロから会社を立ち上げた創業者から見て、社員がそのような状態になってしまえばあっという成長が鈍化してしまうという恐怖もあるのではないか。
本当にインプットの量が増えているのか、それがシゴトする上で活かせているのかっていうのは、みんな自分の胸に手をあてて聞いてみてもらいたいんだよね。
株式会社スタートトゥデイ公式サイト「社長と話そうvol.1」より
新卒採用向けのQ&Aに「新規事業など、自分のアイディアを提案することはできますか?」とあえて異質な項目が入っているのも、新しい事業を立ち上げたいと考えるような気概のある若手を求めている証とも言えるだろう。
■対処すべき課題。
HPのIR(インベスター・リレーションズ、投資家向け広報)で公開されている2013年3月期の決算書では対処すべき課題として以下の3点が挙げられている(※以下、会話のカッコの大は大学生、中は筆者)。1.安定的な商材の確保及び取り扱いブランドの拡充
2.年間購入者数の増加と顧客ロイヤリティの向上
3.フルフィルメント及びECシステム機能の強化への取り組み
中「課題として商品の確保、客数と購入頻度の増加、そしてこの2つ結びつける流通とシステムの強化、てなことが書いてあるね」
大「案外普通の内容ですね」
中「普通というか基本だね。今後情報を集めて分析する時はこの3点のどれに属してるか意識すると混乱しないで済むかな」
現状では本業が成長している段階であるため、本業に注力する事が成長への近道という事なのだろう。
■事業等のリスクについて。
決算書では事業等のリスクについて13の項目が挙げられている。特に重要と思われるのは以下の3点だ。2.システムトラブルについて
7.返品について
13.物流機能の強化について
中「システムトラブルの例としてはファーストサーバの話は知ってる?」
大「いえ、まったく」
中「システムに大規模な障害が発生するとどれ位困るか、事例として調べておくといいかな。ゾゾタウンは洋服屋さんであると同時に、洋服を売ってるIT屋さんという面も強いし。7の返品は面白いね」
大「他と比べて規模の小さい話のような……」
中「わざわざリスクとして挙げるって事は影響が大きいんだと思うよ。返送されてきた商品を受け取って、また売れるかチェックして、返金して、再度在庫として計上する、ってのは注文を10件さばくより面倒だろうね。自動化も難しいだろうし。……返品率で検索すると平均2~3%って数字が出てくるから、この数字で仮にスタートトゥデイの返品額を計算すると……ざっと年間で20億~30億!結構な数字だね。全然規模の小さい話じゃないよ、これは。事例として返品1件あたりにかかるコストとか、返品を減らす方法とか調べておくと話のタネになるかもね。返品率が0.1%下がるだけでもかなりのインパクトになるよ。13は分かる?」
大「物流って重要なんですか?」
中「リスクの中で一番重要だろうね。物流センターに大規模な投資をしたのは知らない?」
大「すいません、まだ調べて無いです……」
中「これは結構話題になったんだけどね……。去年のマイナビの社員インタビューでは皆がゾゾベースの話をしてたから重要なポイントだと思うよ」
事業等のリスクを見れば企業が何をやろうとしているのかが分かる。会話にあった通りゾゾベースと名づけられた物流センターは30億円のコストと1年以上の時間をかけて増強されている。広さは東京ドーム2個分の規模で、純利益54億円と比較しても巨額の投資だ。社員は本社274人に対してゾゾベースが133人と、1/3の人員が配置されている。増強後はさらに人員が増えるに違いない。
■ZOZOBASEってなんだ?
プレスリリースでは「ZOZOBASEは、商品の入荷や撮影、 採寸、保管、梱包、発送等、フルフィルメント業務全般を行う物流センター」と説明されている。ただの在庫置き場でない事はここからも分かる。本社が頭脳ならゾゾベースは両手両足といったところか。決算書に掲載されたスタートトゥデイの事業系統図は物流センターの機能をそのまま表しているようにすら見える。リンク先を見る
株式会社スタートトゥデイ・第15期有価証券報告書・事業系統図より
外部との接点として、「アパレルメーカー」から商品を受け入れて「顧客」へ配送するまで、そして注文を「ネット」で受けて「リアル」で配送するまで、という形で「異なるモノをつなぐ場所」となる。ここがどれだけ効率化されているかは収益に直接影響する部分に違いない。
大「ゾゾベースの拡張により3,000億円から4,000億円程度の商品取扱高に対応可能って書いてありますけど、去年の売上は350億円ですよね。10倍増を目指してるなんて凄いですね」
中「あ、それは違う。決算書に今年度の取扱高は958億円ってあるでしょ。売上と取扱高は別。例えば1万円の商品が売れて2000円の販売手数料を受け取った時に、スタートトゥデイに売上として計上されるのは2000円だけ。在庫リスクを取ってないの売上はそういう会計処理をするようになってるんだよ。これは百貨店とかも同じ。『消化仕入れ』で検索して調べとくと良いよ」



