- 2014年04月06日 08:28
間違った「駆け込み需要の反動」ニュースの愚
■ガソリンスタンドの客足減少は駆け込み需要の反動と言えるか?
駆け込み需要の反動ということで、4月になってから客足が減少したというニュースには事欠かないが、テレビでよく聞かれたのが「4月1日のガソリンスタンドはどこもガラガラだった」というニュースである。
このニュースを聞いて全く疑問を感じることなく聞き流していた人は案外多いのでないかと思う。しかしその状態は、まさしく思考停止状態にあると言える。
3月の下旬、ガソリンスタンドは駆け込み需要で混雑していた。そして、3月31日ともなるとガソリンスタンドに長蛇の列が出来ていたのを見かけた人は多いと思う。
私の場合、まだ半分以上ガソリンが残っていたので、当事者とはならずにその光景を傍観していたが、実感としては、おそらく8割以上のドライバーが3月末頃にガソリンスタンドに立ち寄ったのではないかと思われる。
と考えると、4月の1日や2日にガソリンスタンドを訪れる人が激減するのは当たり前の話であり、不思議なことでも何でもない。そしてもっと重要なことは、その状況は「駆け込み需要の反動とは言えない」ということだ。
「駆け込み需要の反動」とは、4月以降、中長期に渡って需要が急減することを意味するのであり、単に4月の始めに需要が急減することを意味しない。ガソリンが無くなれば、またぞろ客は戻ってくる。3月の下旬に入れたガソリンが底を突くまでの間の需要が減少したことを捉えて「駆け込み需要の反動」と言うのは明らかに可笑しい。
では、その現象は何なのかというと、「駆け込み需要の結果」である。
■「経済現象」と「自然現象」の区別が付かないマスコミ報道
4月から消費税が5%から8%に上がるので、5%の間にガソリンを入れておこうと思うのは、当然の人間心理であり、それは明らかな「駆け込み需要」という経済現象である。しかし、4月の始めにガソリンスタンドの客足が減少したことは、人間心理とは関係がなく、また経済現象でもない。「駆け込み需要」という原因によって齎された結果として、空白の物理的な需要減少期間ができた、ただそれだけのことであり、それは経済現象と言うよりは、ただの自然現象である。
ガソリンというのは、食料品と一緒で、年がら年中、需要が尽きない生活必需品である。ゆえに「駆け込み需要の反動」としてニュースにすること自体がお門違いだと言える。
ガソリンの料金が上がったことで、車を購入する人が減少したとか、車の走行距離が短くなったということであれば、経済現象としてニュースにする価値が有ると言えるが、自然現象的に一時的に客足が遠のいたことを、さも経済現象であるかのように煽るのは間違っている。
悪戯に不況感を煽るマスコミの報道姿勢は、こういうところでも観て取れるが、そのマイナス報道が、消費者心理に与える悪影響の方がよっぽど重大だとも言える。
■間違った「駆け込み需要反動」報道よりも、正しい「増税の悪影響」報道を。
ガソリンについて言えば、ダブル増税ということで地球温暖化対策税が1リットル当たり25銭追加増税されることになった。
このダブル増税によって、“ガソリンスタンドへの客足が減少すること”よりも、“客足は1円でも安いガソリンスタンドに向かうこと”をこそ問題視する必要がある。
結局、増税は政府の意図に反して全く逆のデフレを進行させるという負の現象を齎す可能性が高いことになる。これこそが、まさに人間心理に影響した経済現象であり、マスコミが本来伝えるべきことである。インフレになっていない状況で増税を行うことの愚をこそ報道するべきなのだ。
マスコミには、間違った「駆け込み需要の反動」ニュースではなく、正しい「増税の悪影響」ニュースを伝えていただきたいものだ。
【追記】2014.4.7BLOGOSのコメント欄を読んでみると、「反動」と「結果」は同じ意味だとする意見があるようなので、少しだけ追記しておきます。
「反動」とは読んで字の如く「反対の動き」という意味です。「駆け込み需要」とは「物を買う」という行為が伴った需要のことなので、この反意語は「物を買わない」という意思が伴うことが条件になります。
では、4月1日にドライバー達は「ガソリンを買わない」と思ったかというと、もちろん、そんなことは微塵も思っていません。ガソリンを「買う」「買わない」ではなく、「買えなかった(買う必要がなかった)」わけです。
つまり、その時点では、需要というものが入り込む余地が無いため「反動」というものが発生する余地も無いということです。
言葉尻だけ捉えれば、「反動」と「結果」は確かに同一と受け取れなくはないかもしれませんが、私が言っているのは、あくまでも経済現象としての「反動(反対の動き)」のことを意味します。



