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特定秘密保護法の廃止を求める自治体議会の意見書

6日付の朝日新聞によると、特定秘密保護法が成立した昨年12月以降、全国108の自治体議会で同法の廃止を求める意見書を可決しているということです。松阪市議会でも、2~3月の定例会にこうした趣旨の意見書をまとめ、内閣や国会に提出してほしいという請願が提出され、わたしも紹介議員の一人となりましたが、賛成少数で否決となりました。その後、同じ三重県内では亀山市議会では可決された。県内では亀山市が唯一、可決された事例だが、概ね論点が整理されている中、可決されるか否決されるかの差はどこにあるのでしょう。

自治体議会が可決する意見書とは、国や県など他機関に対して自らの自治体議会の総意として意思を伝え、政策等への反映を求め、提出するものです。

一般の人からの請願(紹介議員1人以上必要)を本会議で可決して議会で意見書を作成し可決する場合と、議員(定数の12分の1以上(定数28の松阪市議会では3人以上)が直接、意見書案を本会議に提出し採決する場合とがあります。

朝日新聞が掲載している、特定秘密保護法成立後に同法を廃止または撤廃の意見書を可決した108議会の一覧を見ると、高知県と沖縄県を除けば、16市町村に上った長野県から以東に分布。特に北海道は36市町村に上っています。西日本でも高知県では10市町村、沖縄県では9町村あります。

沖縄にはもちろん米軍基地など安全保障・外交の問題が存在、北海道には全国初の自治基本条例(ニセコ町まちづくり基本条例)は全国初の議会基本条例(栗山町)を作った地方自治の伝統があるし、長野県には小さな町や村の自治を大事にする気風が存在するなど地域的な特徴が見られますが、もちろん、今回の意見書可決との因果関係があるのかどうかはわかりません。

一方、広がりを持たなかったのは、愛知・岐阜・三重の東海3県で、愛知では飛島村、三重では先述の亀山市の各1例、岐阜県にいたってはゼロでした。もちろん、意見書が可決された市町村のある都道府県は全国27府県で、全体の半数強。東京都や京都府内ではゼロということです。

このことから何か地域特性を読み取ることはできるかと言えばなかなかそれは難しいことです。

可決した108市町村の議会は、全国1700市町村の中で6%に過ぎない数ということになりますが、むしろ逆によく可決できたものだと感心してしまいます。

それぞれの市町村の分布は、大都市近郊の都市部もあれば、山間や海岸部の過疎の自治体もあることと思われます。それは一括りにはできないものがあります。それだけ、それぞれの自治体の政治状況には共通なものは見いだせないわけで、国会で特定秘密保護法成立を進めた自民党・公明党もいれば、微妙な立ち位置にあった民主党、反対だった共産党・社民党の、それぞれに議員の分布にそれほど地域差があるようにも思えない中の違い探しということになります。

自治体の議会で意見書を可決しようとすれば、自民・公明、その他も、民主、共産、社民がそれぞれの議会の中で大小の差はあったとしても、一定数、国会とは異なった議員の意思が働ければ不可能です。

松阪市議会を例にとると、概ね政党別に構成される会派の議員の賛否の行動は、ほぼ、所属ないしは系統の政党の方針に沿った方向に動きますので、この意見書の可決は最初から困難であることが見えるところがあります。そんな中にあって、それとは異なる結果を導き出すには、回りくどい言い方ですが、議会として特定秘密保護法廃止または撤廃の意見書の可決に至るには、国会という政党別に分かれた大所帯とは違い、一応、自民党系の議員が多い中でも審議というフィルターしだいでは小さな組織である自治体議会においては国会とは違った自治力の可能性を読み解くことができるのではないかと思います。

否決した松阪市議会では、意見書を作って政府や国会に送ってほしいという請願について、請願者本人(市民)による委員会での直接の説明、請願者や紹介議員に対する議員からの質疑、討論などは1~2名からありましたが、それ以外の議員からは発言はありませんでした。

答弁資格を有する紹介議員の一人としては、もっと疑義を質すうえで質問をしてほしいと期待しましたが、本会議の採決のとき挙手をしないという意思表明しかしないわけですから、なぜ、この意見書の可決に反対するのかその理由は明らかにしないままの反対ということになります。

そのような議論の状況を経験した直後なので、全体から見れば1割にも満たない議会であっても、特定秘密保護法を廃止または撤廃を求める意見書を可決した議会では、なにが議員の意思を動かしたのかを知りたいところです。

朝日新聞が記事中で取り上げている仙北市議会(秋田県)の意見書提案者議員のコメントに、「うちは保守的な議員が多いが、強行採決に対しても批判が強かった。政府や国会は地方の声を謙虚に聞いてほしい」というのがありました。

わたしも、松阪市議会の総務生活委員会で、請願に対する紹介議員としての補足説明や、質疑に対する答弁の中で、「公聴会を開いて、公述人全員が反対意見を陳述した中、その翌日に採決ということがあってよいのか。わたしたちの議会であれば、そんなことはゼッタイにあり得ない。公聴会で出された意見を持ち寄り整理し、検討、協議してからということになるでしょう。審議の質はわからないが、審議時間だけを見てみれば、衆議院でわずか45時間しかとらなかった。これは松阪市議会で松阪市の新年度予算案の審議時間(25時間)とそんなに変わらないぐらいの時間だ。ちなみに消費増税法案のときは129時間(2013年)、郵政民営化法案120時間(2005年)、教育基本法改正案106時間(2006年)のときと比べてもいかに短いか。そのような審議しかしなかった。そんな法律はもう一度審査し直すべき」と、請願の趣旨に賛成する趣旨の発言をし、他の議員の賛同を求めました。

松阪市議会の各議員に、これだけ重要な法案に対する審議のあり方としてあってよいわけないだろうという部分での共通の認識を持つことができれば、もう少し、真摯な議論が可能になると思ったのですが、国会にものを言う前に松阪市議会自体、十分な審議がなかったというほかありません。

とかく、国政レベルの問題に対して、自治体の議会の議員として実際どこまで法律全文を読んでこの法律の中身に賛成しているのかどうか等々、議論の土俵は出来ていない中であると想定はしていました。ただ、法律の中身に対する賛否とは別に、審議時間の問題は、公聴会翌日の採決というのは、自分たちの市議会であればあり得ない話が国会では起きているという異常さに疑問を持ってくれる議員がもう少しいるかと思っていただけに、松阪市議会での審議には落胆するものがありました。

そんな中にあって、全国的にはまだまだ少数であっても、108という数の自治体議会は意見書を可決したという事実があるということに目を向けたいものです。

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