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「中年若者」の誕生~それは「福祉の対象」か

■10年前は35才だったが

新年度になり、僕の法人(一般社団法人officeドーナツトーク)もいくつかの新事業にとりかかっている。

そうした準備作業を行なうなかで、いわゆる「若者支援」を行なう団体のみなさん(地域若者サポートステーション等)と久しぶりに再会するようになり、その苦労話なども聞くようになった。

具体的な話はあまり書けないが、そうした苦労話を聞くにつけ、「若者」とはいったいなんだろうとあらためて考えるようになっている。

地域若者サポートステーション(サポステ)では、若者は「15~39才」となっている(地域若者サポートステーションって何?)。

たしか「ニート」がイギリスから輸入された10年前は35才までのはずだったから、いつのまにか40才手前にまで拡大されている。

2003年頃から本格化した若者(主としてニートやひきこもり)支援であるが、これは古くは「若者自立塾」(宿泊型の支援)、今はサポステが中心に行なってきた。

元々は「若者を一人でも多く社会参加させて、税と社会保険を支払ってもらおう」という意図のもとに始まったはずだが、社会参加できない若者は一向に減少しそうにない(ニートは約60万人であまり変化ない~「ニート」数推移をグラフ化してみる(2013年)(最新))。

その原因を分析することが今回の目的ではなく、サポステの予算が「ゾンビ予算」と呼ばれるほどに(予算委員会で質問(ゾンビ予算を許すな))現在はその「費用対効果」が疑問視されているということをまずは確認し、それでも若者支援は必要なのはどういう視点からなのだろうか、ということを考えてみたいのだ。

■「費用対効果」

現在、日本社会は格差社会化し、非正規雇用が労働力人口の4割をしめて着実に貧困世帯が増加中ではあるが、こうした貧困問題(生活保護・虐待・一人親/ステップファミリー等)は残念ながらまだ潜在化しており、メディアではいまだ「ニート/ひきこもり」問題が日本の子ども若者問題の中心であるように論じられている。

メディアを担う人々はミドルクラスの上~アッパークラス出身の人々でしめられるから、貧困層のリアルな問題と接することができないのは仕方がなく(「ひきこもり」はアッパークラス~ミドルクラス(上)の現象になるだろう)、いまだ日本の若年者問題はニートやひきこもりと思っているのも仕方がない。

だから僕は、日本のリアルな若者問題=ニート/ひきこもり問題とされることには半分諦めている。

が、その点は仕方ないとして、問題は、30代後半や40代前半の人々を、いつまで「若者」と呼び、それへの支援が少子化対策あるいは社会構造改革につながるとして理屈化するのだろうかという点だ。

サポステには今年度減額されたとはいえ40数億円の予算がつけられ、全国で160ヶ所のサポステが「自立支援」を行なっている。

そこでは「就労支援」が中心で、そうした就労段階に達していない若者に対する支援(それを「生活支援」と呼ぶか「居場所/サードプレイス支援」と呼ぶかは未確定)が現在のサポステでは認められていないというマイナスポイントを視野に入れたとしても、160ヶ所で40億円だ(2013年度は60億円程度だった)。

「160ヶ所40億円」が日夜がんばって就労支援(キャリア講座・就労実習等を経てハローワークにつなぐ)を行なっている。

それなのに、ニート数は一向に減少しない。これはどういうことなのか。

■これを「福祉問題」と呼ぶ

僕が思うに、そろそろ行政や支援施設側は、「ニートやひきこもり支援は少子化対策や社会構造改革ではない」ということを明言すべきだと思う。15~39才の「若者」を支援することで労働力人口を増やし、一人でも多く税や社会保険を担ってもらうという視点では、費用対効果における「効果のスピード」が遅すぎる。

何十億かけても一向に社会参加する若者が増加しない、それは短期間ではなかなか解決できない問題なのだ。

が、これは、現在よりは少しでも解決してほしい良くなってほしいという社会的ニーズがある問題でもある。税を投入してもいいから、「若者」の社会参加を解決できるのであれば解決してほしいという社会的ニーズは確実にある問題だとも思う。

短期間では変化しないだろうが公金を使っても解決してほしいというある程度の社会的コンセンサスのある分野、これは一般的には「福祉」の分野だといってもいいと思う。

そう、今の日本の「若者」の問題は、いつのまにか「福祉」の対象の分野へと移行してきていると思うのだ。

それは、上は39才にまで拡大された年齢にも現れていると思う。現在なんとか上限が守られているものの、ニート/ひきこもり問題の中核世代である団塊ジュニアが高齢化するにつれ、いずれは40才台になっていくだろう。

例の「スネップ(SNEP 孤立無業者 Solitary Non-Employed Persons)」などは、「40代の若者」概念を社会に受け入れさせるための理論的裏付けだと僕は思っている。

僕は、40代の「中年若者」を支援することに反対しているわけではない。それどころか、これからますます高齢化していくなかで、その問題を直視して、さらにその先の「高齢者ニート/ひきこもりの老後問題」を考えるためにも必要だと思う。

ただ、これはもはや少子化対策でも社会構造変革の問題でもない。新しい「福祉」の対象の問題だと言っているだけだ。このことを共有すると、「中年若者」対策への予算削減にも堂々と反論していけるだろう。★

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