先般の「実親の不承諾でも特別養子縁組が認められる」という判例について、いくつかのお問い合わせをいただいた。
その中で「悪用されることもあるのでは?」というものがあったが、「特別養子縁組」を行った人ならわかると思うが、認められるまでには実親への聞き取りや本当に養育しているかどうか等々、裁判所の調査が入るし、期間も半年以上かかる。
むしろ悪用される可能性が高く、実際に事件等になっているのは「普通養子縁組」であり「認知」である。
いろいろ復習する中で、国籍法制定時に「認知」にDNAを持ち込むことに反対をした稲田朋美さんのBlogを改めて読み、「認知制度」について一度じっくり論争をしたいと切に願う。
「認知」は自然血縁関係がないとできない。
稲田さんはDNAを付すことに反対の立場で、国籍がかかわる「認知」だけにDNAを付すことを前提とすると日本人同士のいわゆる「できちゃった婚」の時にも提出をせねば憲法14条違反となる可能性がある、との指摘をしている。
まさしくその通り。
平等性を担保するために「できちゃった婚」でももしDNAを付すことが義務づけられたら大沢樹生さんが打ち当たった問題はなかったことになる。
生物学的親子関係がないとわかっても、「子」にしたい場合は、妻の非嫡出子として届け,その後「養子縁組」をするという方法が現行上の民法でもできる。その方が子の出自を知る権利も保障されると言う点でもすっきりする。
稲田さんは反対の理由として『婚姻中に妻が懐胎した子を夫の子と推定している民法772条に真実の父を確定するためのDNA鑑定を 持ち込まないとつじつまがあわなくなるおそれがある。』としているのだがが、ワタクシの論争ポイントはここだ。
つまりは民法772条の1項と2項の離婚後に関しては『法的婚』>DNAという立場が貫き通してある。
逆に言えば「法的婚」をしている優位性はそこくらいかな、と(笑)
『DNA鑑定を要件とすることによる偽装の防止と民法の家族制度のあり方への影響は慎重に 検討しなければならない。それゆえ衆議院の付帯決議には将来の課題として
『父子関係の科学的確認を導入することの要否と当否について検討する』という文言が入れられた。 』(稲田さんのBlogから)
まさに親子に関しての法律が医療や婚姻に対する考え方の変化に対応できないケースが出て来ている中で、司法判断も右往左往している感がある。
「認知」や「養子縁組」に関する届け出が、他の身分関係の届けに対して大変おおざっぱな現実と、それによってのトラブルの多さを見るにつけ、『父子関係の科学的確認を導入することの要否と当否について検討する』ことは、「将来の課題」ではなく、まさに「今の課題」であると思う。
②「普通養子縁組」については次回。