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教育者がどんな時でも死守しなければならないこと・・STAPと教育

教育者たるもの、どんな時でも命を懸けて守らなければならないもの、それは「教え子の名誉」だ。教育の責任はすべて教師にある。教えを受けた子供にはない。

STAP論文の関連で、早稲田大学がかつて認めた博士論文の審査を改めて外部に頼むとの報道があった。なんということか!!

・・・・・・・・・

中学校の時、定期試験で国語の答案を書いて先生に提出し、90点をもらって卒業したとする。その答案が保存され、公開され、ある時に、その答案の内容が「ある有名な文学者の作品の盗用」であったことが分かった。本人はすでに30歳で社会で活躍していたが、学校に呼び出されて卒業が取り消されたことを告げられる。

卒業生:「えっ! 卒業取り消し?! だって、先生が・・・それに僕は盗用したのではありません。僕の頭の中に文章が入っていたので、それを書いたのだと記憶しています・・・先生はどういっておられるのですか?」

学校:「先生はすでにご退職され、記憶もない。でも、ちゃんと証拠が残っている」

・・・・・・・・・

こんな日本は嫌だ。生徒がどんな答案を書こうが、先生が90点をつければ90点なのだ。そして、もしその答案に問題があれば、責任は90点をつけた先生にあり、生徒は教育中なので、責任は問われない。

教育とは「成果を残す」ことではなく、本人の実力をあげることだ。だから、基本的には教育が終わったら、本人に関することはすべて捨てても良い。本人が記念に持っておきたいと言うなら本人に渡せばよい。

この教育の原理原則は、小学校から大学、さらに大学院博士課程まで変わらない。提出した作品はどんなものでも、所有権は教育を受ける方にはなく、教育をしたほうにある。

大学でも採点の権限はすべて先生にあり、それは普段の試験でも、論文でも同じである。学生は博士論文の成果を自分のものにしたいなら、普通の学術論文として提出する必要がある。捨てるのはもったいないので、卒論などを図書館に保管することがあるが、それは「少しでも役に立てば」ということである。

法治国家では「法や規則はすべての人に平等」でなければならない。優れた答案や論文だから本人の責任を問うたり、中学校なら良いけれど博士論文はだめという「村の掟」を作ってはいけない。

また博士論文は、本人提出→主任教授の訂正指示→副査の先生の訂正指示→審査会→公聴会→教授会 というプロセスを経る。本人は提出した後は指示に従って修正するだけだから、社会的責任と言う点では、修正を強制される学生に責任を問うことはできず、主任教授、副査、公聴会に出た社会人、教授会にあり、本人にはない。権限なきところに責任もない。

また、学問としては、本人、そして主任教授、さらに副査の先生が意見を述べる必要があり、もしその意見を聞く必要があるとしたら、大学ではなく教授会である。大学は会社でも役所でもない。「上のものが責任を取る」ということは大学ではない。むしろ教授が採点した結果を学長が変更したら、そちらが罪になる。

教授は自分の授業を受けた「学長の息子」を「学長命令」に反して落第させることができる。このような専門職の業務の場合に、学長が責任を取る必要もない。学長が責任を取るのは、教授に任命したからでもない(教授の決定は教授会)、学校の経営などに関する「学長権限内」のことしかできない。

だから、今回の報道が正しければ、早稲田大学は権限を違反し、教育の基本中の基本(学生の責任を問わない)に反している。日本人の常識、マスコミの冷静で正しい報道に期待したい。

早稲田大学は直ちにステートメントを取り消すか、あるいは新しい教育論を説明してからにするとよい。大学は教授の保護者ではない。大学は過去の学生の瑕疵を責める権限もない。教授を保護して学生を罰するなら、大学を解散しなければならない。

(平成26年3月27日)

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