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「残業原則禁止」で社員の生活に余裕は生まれるのか?

リコーが4月より、夜20時から朝8時までの勤務を「原則として禁止」する新たな勤務制度を導入すると、NHKや日本経済新聞が報じている。フレックスタイム制の導入と合わせた措置で、事前に申請した場合のみ残業が許可される。

このニュースには、ネットで「うらやましい!」といった書き込みが多く見られる。長時間労働に悩む人たちからは、このような会社の動きが広がることを歓迎する声もあがっている。

以前から6時半帰りも。目的は「コスト削減」

ただ、この制度の導入理由は、「社員の負担を軽減する」という単純なものだけではないようだ。キャリコネの口コミを見ると、リコーが以前から「残業禁止令」を導入していたことを示す複数の書き込みがある。

2012年度に契約社員として働いていた20代後半の男性によると、「記録的な業績悪化」を理由に役員の冬季ボーナスカットのほか、あらゆる部署での残業禁止令などの「コスト削減命令」が出ていたという。

2011年度に働いていた40代後半の社内SEは、当時は「残業禁止」のほか、月曜日と水曜日は「スーパーフレッシュアップデー」の名の下に、午後6時半までに事業所を出なければならないルールも導入されていたと明かす。

こうしたコスト削減施策が功を奏しているのか、2014年3月期の第3四半期決算は、営業利益が前年同期比93.2%増(782億円)と改善を示している。

労働時間の短縮で、給与も削減されている可能性がある。有価証券報告書によると、リコーの平均年収は2007年度の840万円から、2012年度の688万円へと大きく落ち込んでいる。

生産性のあがらない仕事をやめて、無駄な長時間労働を行わないようにすることは、社員の心身の負担軽減につながる。しかし給与も下がるとすれば、生活全体に「余裕」を生むかどうかは不透明なのかもしれない。

業務量削減が伴わなければ「アングラ化」する?

残業禁止令は、昨年にも伊藤忠商事が導入。夜20時以降の残業は申請が必要な「原則禁止」、夜22時以降は消灯して「禁止」とし、制度の定着を図っている。他社にも追随する動きがあり、一種のトレンドだ。

だが、こうした取り組みも、業務量の削減が伴わなければ、かけ声倒れになるケースも少なくない。ある広告代理店の男性(32)は「残業禁止」の消灯したオフィスで、文字通りアングラ化した仕事を続けているという。

「20時に電気が消えるんですが、みなタイムカードを押してからデスクに戻り、暗闇の中で電池式のデスクライトをつけて仕事をしています。制度はまったく意味ないですね」

大手証券会社の男性(31)も、19時以降は電気が消されるが、仕事は早出でカバーすると話している。

「朝5時に起きて、明るくなる6時には出社。労働時間の長さ的には変わらない」

パソコンさえあれば書類やメールの作成ができてしまう仕事では、「残業禁止」はあまり意味がないといえる。プライベートの時間も空間も仕事に侵食されてしまい、かえって負担が増える人もいそうだ。

あわせてよみたい:「サビ残なう!」ツイートで労基署は動く??

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