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お金をばらまいても経済はよくならない

日本はアベノミクスへの期待がまだ大きいのだろうか。どうもちらほら話を聞いていると賃上げなども含めて物価の上がる兆しが聞かれる一方で、一部産業における極端な人手不足。105円以上円安になってもメリットがる企業はほとんどないなどの否定的な声も聞かれ始めている。

アメリカではFRB(アメリカの中央銀行)が来年半ばくらいからの利上げを模索し始めている。アメリカの量的緩和(QE)万歳のアベノミクス支持者からしたら「大胆な金融緩和を行った成果でついに利上げできるくらい景気が良くなったのだ」という人もいるだろう。だが、現実はそうでもない。

株価だけはグングンあがるが、これはたしかに企業収益に比べて割高すぎる水準とはいえない。だが、以前も紹介したと思うがGDPを所得面から見た時に企業収益の割合は過去最高、労働所得の割合は過去最低で、アメリカ経済が好調でどんどん成長しているから株が上がっているというよりはただ単に同じパイの中で企業収益の割合が増えているだけということだ。

実際、アメリカ人の労働所得の伸びは非常に鈍い。

一方で以前から何度も書いているように労働参加率の低下は著しく人口に占める労働市場への参加者(雇用されてない人も含める)の割合は著しく低くなっている。

その一方で2008年のリーマンショック以降、2010年からの経済成長は1%台後半から2%台後半であれだけのショックの後だから経済が成長しないのだともいえるかもしれないが、逆に言うとあれだけのショックがあったのだから大きなリバウンドがあってもおかしくないし財政面でも金融面でも相当な緩和策をやってきたのにこの程度しか成長してないのか?ともいえる状態なのである。

これらの事実を通してみると、おそらくアメリカの「潜在成長率 」はかなり低下しているということがいるのである。

FRBはなかなかそのことを認めずに粘り強い金融緩和が必要としてきたが、失業率の低下速度が年初から特に加速してたのでどうも見方を変えてきている。たとえば2012年末の時点では2013年末の失業率の予測は7.5%程度とされてきた。だが、2013年を通して失業率はどんどん低下し今や6.7%まで低下している。一方でGDPの伸びは鈍い。

もう少しわかりやすく言うとアメリカ経済の真の実力はおそらく今や2%前後ではないかということなのである。とすると2%を超える成長を続けると失業率がどんどん低下し、そのうち労働市場やその他の市場で逼迫が起こりインフレもしくはバブル的な状態が訪れる。

FRBはそのリスクを察知して従来想定していたよりも早めに、昨年量的緩和の段階的解除を決めたし、来年には利上げする可能性を模索し始めている。

翻って日本はどうだろうか?日本の失業率は4%台でそもそもほぼ完全雇用に近い状態ではないかと推測できるし、需給ギャップがあると騒ぐ人たちも多いが、日本経済の潜在成長率はおそらく1%程度だと考えれば過去数年の経済成長はそれほど悪くない。

だから、今少しずつ起こっているインフレの兆候は僕は決して望ましいものではないと思っている。インフレが起こるのか、それともどこかでバブル的な動きになってはじけてしまうのか。

いつも言うように金融緩和では潜在成長率を押し上げることはできない。潜在成長率を押し上げるには減税や財政再建・規制緩和などの政府による正しい政策が必要なのだから。アメリカもイギリスの金融当局も当たり前のこととして、これ以上金融緩和を続けることの有効性に少し疑問符をつけつつある。ユーロ圏は金融緩和継続には前向きだが各国政府に厳しい財政再建と構造改革の要求を突き付けている。

金融緩和すれば景気が良くなる。日本経済は復活するとあおる一方で肝心の法人税減税・財政再建・規制緩和に真面目に着手しようという気配がないアベノミクスにますます危険な臭いを感じ始めている人は少なくないのだろうか。いつも言うがアベノミクスで株が上がったのではない。欧州危機が緩和しアメリ経済の回復の軌道がより鮮明になったことで円安になり株は上がった。ただそれだけなのだから。

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