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LINEは匿名性を装うことで親密性を確保するSNS〜匿名性とは何か(3)

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「匿名性」について考えている。匿名は「実名-匿名」(「名を名乗る」ー「名を隠す」)「有名-無名」(「存在が一定範囲で知られている」-「存在が知られていない」というマトリックスで分類することが出来る。さらに、これに「著名-非名」(「存在が広く一般に知られている」ー「存在が知られていない」)という下位類型が加えられる(これは有名のサブカテゴリーと考えてもらっていい。実質的に無名と非名はほぼ同じ)。今回は第3回。「匿名性」の図式を利用して第二象限(匿名+有名)のSNSであるLINE/mixiについて考えてみたい。

LINE/mixiと 現実模倣空間的存在

匿名+有名+非名の第二象限の典型的なSNSはLINEとmixi(ここではmixiはほぼ「オワコン」なのでLINEを中心に扱う)。この二つは様々な機能があるが、実質的にはほとんどグループ内のメッセンジャー的な使われ方しかしていない(僕が教える学生400名ほどにアンケート調査をした結果、たとえばLINEだったらほとんどトークだけ。通話機能すら接続がイマイチということもあってあまり使われていなかった。ちなみにLINEの利用率はスマホとガラケーを足して99%)。たとえハンドルネームで匿名であったとしても、互いの存在、そして実名も現実世界が担保になっているためよく認知されている。ただし、グループで括られているため、その密室性は高まる。利用に際しては、仲間内の「ひそひそ話的・ここだけの話」的な文脈が登場するのだ。

プライベートな関係による互いの自由度の確保と拘束

それゆえ、第一象限(facebookが該当)の現実世界空間的存在によるコミュニケーションよりも別の意味で拘束性が発生する。第一象限は礼儀・倫理・慣習・道徳といった世間一般的な作法が関わる者同士を拘束するが、こちらの場合は仲間内の、ややもするとウェットな関わり合いが相互を拘束する。つまりプライベートに構築された関係性は、グループ外部による自由の拘束からは逃れられるものの、内部では相互の自由を拘束する。

それゆえ、この象限はまだ社会性が低く、人間関係が未熟で、狭い人間関係を維持することに執着する若年層に重宝がられる。トークのグループ機能で仲間を括れば、その中はクローズな関係が維持できるからだ。しかも、この範囲で発言している分には、それがメンバー外の人間に知られることはないので、発言に対して社会的責任は生じず、自由に振る舞える。

ただし、前述したように相互に強く関係性を拘束する。そして、これは自分たちだけの間に形成された関係性、マナー、黙契ゆえ、拘束性は第一象限のFacebookよりも強い。たとえば、これらをグループ内で守ることの出来ないメンバー=友だちは、グループ内の結束を見出すものとして除外されるといった現象を生じる。そして、それが結果として現実世界でのイジメに接続するような可能性を高めていく(その一方で、このイジメは、いじめる側のメンバーについては連帯を高め、グループの閉鎖性を高めていく)。それゆえ「mixi疲れ」という言葉に象徴的に現れるように、しばしば人間関係の疲れを起こしてしまう。また、これは社会圏を非常に狭く限定する恐れも有している。そうなると、今度は実際の社会に出ないでやりすごすためのモラトリアム・ツールとしてライン/mixiが機能してしまうこともしばしば発生する。

大人が使えばプライベート活性化ツール

とはいうものの、これは大人の感覚=認識で使えばプライバシーを防衛しながら、プライベートを楽しむための格好のSNSとも言える。恋人同士がラインを通じて常に接続し続けることが出来るわけで(スマホはウェアラブルなので、こういった密着環境がいっそう容易に構築可能だ)、「あなたと私のラブラブモード」のメインテナンス、活性化ツールとしては抜群の機能を発揮するのだ。また、これはたとえば家族間で親子が連絡を取り合うためのツールとしてもうまく機能する。今や子どもの方もスマホ持ち。そしてこれを使った友達とのコミュニケーション手段もそのほとんどがLINEだ。ということは、親が子どもを管理しようとするならば、LINEはきわめて便利なものになる。LINEはもはや子どもたちのコミュニケーションのためのプラットフォームとして機能している状態なので、そのプラットフォームに親が乗り入れることが可能(もちろんリアルな友だちと形成するグループとかは別立てのグループやトークだが)。そうすると、親は子どもがいつ、どこで、何をやっているのかを常時把握できるのだ。

そう、この象限のSNSは、ある意味、実名の第一象限よりプライベート性が全然高いのである。

次回はTwitterの匿名性について。(続く)

【関連記事】
「匿名」とは何か?その使いこなしをSNSを例に考えてみる(1)
facebookの匿名性〜「匿名」とは何か(2)

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