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山梨市が中止を撤回し、上野千鶴子氏の講演が無事行われた件

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セクシィ・ギャルの大研究―女の読み方・読まれ方・読ませ方 (岩波現代文庫) [文庫]
上野 千鶴子 (著)


山梨市が中止方針を撤回した社会学者、上野千鶴子氏の講演会が2014年3月18日、同市で開かれたそうです。いったんは講演中止を決めていた望月清賢市長が冒頭、「上野先生に無礼を働いた」と陳謝すると、上野さんは「過ちを改めるに、はばかることなかれ」と応じ「和解」が成立したとのこと。会場は聴衆約400人で満員になり、上野さんは「ひとりでも最期まで在宅で」と題して1時間半にわたり熱弁を振るい、最後に「今回の講演料は市に寄付します」と表明し、喝采を浴びたということです。

どういう問題が生じていたかというと、山梨市によると、2013年10月に「おひとりさまの老後」などの著書がある上野さんに、在宅医療や介護をテーマに講演を依頼し、上野さんも承諾していたそうです。しかし、「公費で開催する講演会にふさわしくない」との意見がメールなどで10件ほど市に寄せられ、「性について過激な言論のある上野さんは講師にふさわしくない」などの理由で、望月清賢市長名で3月5日に講演会の中止を決定。上野さんは「過去の発言と今回の講演内容は無関係で、筋が通らない」と反発していたのです。

 中止決定後、講演会を担当する市介護保険課に多数のメールや意見が寄せられたため、同課が望月市長に中止を撤回するよう再考を要請し、上野さんとも介護以外の話はしないと確認した上で、望月市長が中止撤回を了承したということです。

なにはともあれ、上野さんの講演が無事行われたことはよかったです。こういう問題では行政の対応が硬直化して、いったん中止に決めたものを覆すということはなかなかないので、良い前例ができたと思います。

ただし、講演中止がわずか10件のメールで決められたことには驚きました。万一、講演をするなら爆弾を仕掛けるというような脅迫がなされたとしても、警備体制を万全にして表現の自由を守るのが行政として正しいあり方です。

ところが、今回のクレームメールで講演を注視すべきだと例に挙げられていたのは、読者の悩みに答える朝日新聞のコラム「悩みのるつぼ」で、少年の性欲の悩みに対し、異性とのつきあいについて上野さんが答えた2012年12月8日付の回や(熟女にお願いしたら体験させてくれるとお答えになったらしい)、「セクシィ・ギャルの大研究」「スカートの下の劇場」などの著書タイトル。著書タイトルもなんてことはないし、新聞の投書に対する回答も上野さんらしいサービス精神がなせるわざであって、確かに刺激的な言動かもしれませんが、公費での講演がふさわしくない人物というには程遠いでしょう。

下の上野さんのブログで「憶測」されているとおり、上野さんが安倍政権に批判的なところから、前市長の決めた講演を現市長が中止させたというのが真実に近いのかもしれません。

今の時代はクレームの電話を入れるのを電凸というらしいのですが、いずれにしても右からのクレームが大きな影響を持っていることに暗澹たる思いがします。

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