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- 2014年03月19日 10:14
そんなに国際会議場ばかり作ってどうするの?
先日、某クライアント様との会議後の雑談で、以前から思っていたことをぶつけてみた所、出席者の皆さんに「私もそう思う」と沢山の賛同を得たのでエントリを書いてみる事とします。おそらくこのブログを読んでいる方々の中には、下記のような案件に関わっている人が沢山いて、その人達にとっては非常に痛みを伴う論であることは承知の上なのですがね。
以下、産経ニュースより転載。
一方で、その空白地を埋める案として出てきたのが280億円相当の建設費を見込む国際会議場計画。県としてはPFIによる民間からの資金の調達で建設を行なうのだとしているワケですが、さてそんな計画に本当に資金を純粋に注ぎ込みたいと考える民間企業が本当に現れるのでしょうかねぇ? 当初の建設資金は民間調達だけど、実は開発事業者には県からの毎年定額の受託業務がセットで付与されるなどという話であれば、実態は毎年の県予算の中から割賦で建設費を支払ってゆくのとそれほど変わりはないわけで、そういう良くあるパターンにならなきゃ良いですけどね、などとこの種の事例を沢山みている私としては色々考えてしまいます。
勿論、PFIであれ公金投入であれ、その事業が適正に廻るのであれば全く問題ないワケで、やはりここで最大の課題となるのは事業としての採算性です。以下の高崎新聞では、高崎商工会議所が初期の計画で試算をした市場性調査が紹介されていますが、こういうのを拝見しているとなんだかなぁと思うのですよ。
我が国では、特に観光庁が2010年を「Japan MICE Year」などと定めて国際会議や展示会を含むMICE産業の振興を打ち出して以来、地方自治体による観光政策も完全にMIEC一色となりました。これは我が国の行政文化において非常に悪いところなのですが、国が大きな政策方針を打ち出すと、すべての地方自治体が「右向け右」で同じ地域政策に同時に踏み出す風潮がいまだに色濃く残っています。事実、2010年以降、群馬県のみならず、全国において同じ様な施設開発計画が雨後の筍のように作られており、一方でそれら施設を必要とする会議だの展示会だの数が急激に増えるわけもなく、この業界は近いうちに、というかすでに各施設事業者が血みどろの競争を繰り広げるレッドーシャンとなっているのですよ。
一方で、国際競争の観点から考えた場合、全国の各都市がボコボコと似たような施設を作るのではなく「選択と集中」を行なう事が必要なワケで、国側はすでにその方針を打ち出しています。昨年6月、観光庁は日本のMICE誘致力を強化するため、我が国を牽引するMICE都市の育成を図る「グローバルMICE戦略都市」として、5自治体を選定しています。選定されたのは、
・ 東京都
・ 横浜市
・ 京都市
・ 神戸市
・ 福岡市
の5都市。国は今後、これら都市のMICE都市としての国際的地位を高めるために集中支援してゆく方針を明確に示しており、これら都市と他都市との間には必然的に競争環境として優劣がついてきます。逆に言えば、上記の選定から漏れた都市というのは、少なくとも大規模な国際会議や国際展示会などの開催地としてはこれから競争上不利になることは自明なワケで、それを前提としながら別の地域戦略を考えて行かなければならない。非常に酷な言い方かもしれませんが、少なくとも上記のグローバルMICE都市の選定公募は、全国の自治体に平等にチャンスは与えられていたワケで、そこから漏れてしまった、もしくは様々な事情でそもそも応募すらできなかった自治体は、それはそれとして現実を受け止めなければならないのです。
このような現状を踏まえた上で冒頭の高崎市におけるコンベンション施設の開発に関して、果たしてその計画の方向性が正しいのか?はたまた、全国で似たようなプロジェクトを打ち出している自治体においても、計画に再考の余地はないのか?このあたりを、もう少し冷静に考えてみる必要があるのではないかと思います。
この論議は、長くなりそうなので次回更新に続きます。
■関連記事
・そんなに国際会議場ばかり作ってどうするの?(2)
以下、産経ニュースより転載。
県と県議会に溝 高崎競馬場跡地の施設計画 群馬2004年に廃業となった高崎競馬場の跡地に280億円相当の国際会議場を作りましょうという群馬県による計画。高崎競馬場の跡地は、群馬県の経済的中心都市である高崎市の駅前で10.8ヘクタールという広大な敷地として存在しており、中心市街地の整備という観点からもここを永遠に空白地としておいて置くわけにも行かない。その事情も理解はできます。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/140318/gnm14031802380002-n1.htm高崎競馬場跡地に建設予定のコンベンション施設をめぐり、県と県議会の間に溝が生じている。県は新年度予算案に同施設関連費約9億円を計上したが、県議会総務企画常任委員会は「説明が不十分だ」として、議会が承認するまで関連予算の執行を認めない付帯決議を10日にまとめた。17日の同委員会では、副知事らが出席して謝罪したため、予算執行を認めない付帯決議は取り下げられたが、一部の議員からは「計画を白紙に」との厳しい意見も上がっている。
一方で、その空白地を埋める案として出てきたのが280億円相当の建設費を見込む国際会議場計画。県としてはPFIによる民間からの資金の調達で建設を行なうのだとしているワケですが、さてそんな計画に本当に資金を純粋に注ぎ込みたいと考える民間企業が本当に現れるのでしょうかねぇ? 当初の建設資金は民間調達だけど、実は開発事業者には県からの毎年定額の受託業務がセットで付与されるなどという話であれば、実態は毎年の県予算の中から割賦で建設費を支払ってゆくのとそれほど変わりはないわけで、そういう良くあるパターンにならなきゃ良いですけどね、などとこの種の事例を沢山みている私としては色々考えてしまいます。
勿論、PFIであれ公金投入であれ、その事業が適正に廻るのであれば全く問題ないワケで、やはりここで最大の課題となるのは事業としての採算性です。以下の高崎新聞では、高崎商工会議所が初期の計画で試算をした市場性調査が紹介されていますが、こういうのを拝見しているとなんだかなぁと思うのですよ。
コンベンション都市高崎の可能性と課題高崎市の客室供給量は、近隣と比べて多いとか何とか可能性を述べていますが、この種の調査で陥りがちなマーケットそのものや競合に対する分析が不在の事業性調査となっていますね。実は、この種のプロジェクトでまず大前提として考えて頂かなければならないのは、別に高崎がコンベンション都市として優れているか否かという話よりも、すでに国際会議場や国際展示会場のマーケットそのものが、全国的に供給過多であるという事実であり、そこに今更ながらに資本投下しようとする計画が妥当なのかどうかという論議です。
http://www.takasakiweb.jp/toshisenryaku/article/2011/03/0801.html
我が国では、特に観光庁が2010年を「Japan MICE Year」などと定めて国際会議や展示会を含むMICE産業の振興を打ち出して以来、地方自治体による観光政策も完全にMIEC一色となりました。これは我が国の行政文化において非常に悪いところなのですが、国が大きな政策方針を打ち出すと、すべての地方自治体が「右向け右」で同じ地域政策に同時に踏み出す風潮がいまだに色濃く残っています。事実、2010年以降、群馬県のみならず、全国において同じ様な施設開発計画が雨後の筍のように作られており、一方でそれら施設を必要とする会議だの展示会だの数が急激に増えるわけもなく、この業界は近いうちに、というかすでに各施設事業者が血みどろの競争を繰り広げるレッドーシャンとなっているのですよ。
一方で、国際競争の観点から考えた場合、全国の各都市がボコボコと似たような施設を作るのではなく「選択と集中」を行なう事が必要なワケで、国側はすでにその方針を打ち出しています。昨年6月、観光庁は日本のMICE誘致力を強化するため、我が国を牽引するMICE都市の育成を図る「グローバルMICE戦略都市」として、5自治体を選定しています。選定されたのは、
・ 東京都
・ 横浜市
・ 京都市
・ 神戸市
・ 福岡市
の5都市。国は今後、これら都市のMICE都市としての国際的地位を高めるために集中支援してゆく方針を明確に示しており、これら都市と他都市との間には必然的に競争環境として優劣がついてきます。逆に言えば、上記の選定から漏れた都市というのは、少なくとも大規模な国際会議や国際展示会などの開催地としてはこれから競争上不利になることは自明なワケで、それを前提としながら別の地域戦略を考えて行かなければならない。非常に酷な言い方かもしれませんが、少なくとも上記のグローバルMICE都市の選定公募は、全国の自治体に平等にチャンスは与えられていたワケで、そこから漏れてしまった、もしくは様々な事情でそもそも応募すらできなかった自治体は、それはそれとして現実を受け止めなければならないのです。
このような現状を踏まえた上で冒頭の高崎市におけるコンベンション施設の開発に関して、果たしてその計画の方向性が正しいのか?はたまた、全国で似たようなプロジェクトを打ち出している自治体においても、計画に再考の余地はないのか?このあたりを、もう少し冷静に考えてみる必要があるのではないかと思います。
この論議は、長くなりそうなので次回更新に続きます。
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