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独身女性が、結婚相手に収入条件をつけるとき

 偶然、こんな論文をみつけた。2010年3月発表である。
佐々木晃一「独身女性の男性に求める留保水準に関する実証分析」

http://ci.nii.ac.jp/naid/110007610390
 この論文は、2005年に経済産業省が独身女性に対して行ったアンケート調査(未婚者調査)のデータを元に、「独身女性が潜在的結婚相手の男性に求める所得水準」は何によって決まるのかを分析している。要するに、「結婚相手の収入条件を求めるのは、どんな独身女性なのか」という研究である。女性の80%は結婚相手に収入条件(自分より高い年収を求めたり、具体的な年収額を想定している)を求めている。結婚相手を探すときに、女性にとって男性の収入がいくらであるのかは、重要な関心ごとである。その中でも、どういう属性の人たちが、収入条件を求めるのだろうか。

 まず、高学歴の女性ほど、高い収入を求める傾向がある。次に、親と同居しているほうが、収入条件を求める傾向がある。

 しかし、「年収が高い独身女性ほど、収入条件を求める」と思われがちだが、この傾向は実証されなかった。また、「非正規就業者のほうが、正規就業者のほうが収入条件を求める」ことも実証されなかった。だが、専門・技術職より事務職・生産現場職で就業する独身女性の方が、収入条件を求める傾向がある。佐々木さんはこれを「資格職が中心となる専門・技術職と比べて、事務職や生産現場に従事する女性は将来の雇用可能性が低いために、結婚相手の男性に対して一定以上の所得を希望する」のだと解釈している。

 またこの論文では、非正規就業の独身女性の方が結婚しない確率が高いという結果が出た。これは、別の論文で得られた結果とも重なるようだ。その理由は、「男性より高収入の親と同居している」「経済収入が不安定なため、相手の男性により収入条件を求める傾向がある」などが考えられるが、実証はされていない。

 論文は、独身女性の研究だけではなく、独身男性の研究も必要であるという指摘で締めくくられている。

 もちろん、私自身は、かならずしも経済的・合理的に独身女性が「結婚する/しない」を決めるとは思えない。独身女性の、結婚・非婚が収入条件だけで決まるとはこの論文でも言えないだろう。ただ、なんとなく多くの人が感じている「女性はいまだ男を収入で選んでいるのか?」という問いはyesであることが実証されるし、「資格を持っている独身女性は、(自分も収入を得続ける自信があるので)相手の収入にはこだわらない」という傾向は実際にあるのだということくらいは言えるんじゃなかろうか。結局、「正規雇用されていたって、(資格がなけりゃ)結婚したら職を失う」と独身女性の多くは考えているんだろうなあ、というのが私の感想です。

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