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NHKが「佐村河内」報告書で明らかにした”見破る難しさ” 民放も報告書を出すべきだ

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3月10日の聞き取りで佐村河内氏が語ったこと

●NHKスペシャルでは、佐村河内氏への取材を元にナレーション台本を作ったが、その中で、別人が作曲していた、全聾ではなかった、という点のほかに、「事実と異なる部分はないか」と、本人に質した。

「音楽的経歴」について

幼い頃からピアノやバイオリンの英才教育を受け、交響曲の作曲家になる夢を抱いていた、という事実はなく、ピアノの赤バイエルと黄バイエルを4年練習した程度であり、交響曲の作曲家になる夢までは描いていない、と話した。

「創作ノート」について

かつて思い浮かんだメロディーなどを書きためたとされる

創作ノートについて、新垣氏に作らせた曲を手書きで写したもので、将来、自分が作曲したという証拠にするためにねつ造した、と話した。

「どのように作曲するのか」について

音が聞こえない中での作曲を可能にしたのが絶対音感であり、頭の中のノイズの中から旋律が浮かんでくる、と説明していたが、絶対音感はなく、ノイズはあるものの、旋律は降りてこない、と語った。

なお、本人が激しい耳鳴りで苦しむ場面や、それを避けるために部屋を暗くしている場面については、実際にそうした症状があると本人は語っている。

記者会見の内容とも重なるが、NHKは2度にわたって聞き取りをしたことで佐村河内氏の主張を確定したのだろう。

今回の問題に関する報道について

●今回の問題をめぐっては様々な報道がされている。このうち、「情報LIVEただイマ!」と「NHKスペシャル」を担当した契約ディレクターに関し、あたかも佐村河内氏の虚偽を知っていたかのような報道があるが、本人は全面的に否定している。撮影で行動をともにした他のスタッフからのヒアリングでも、そのような事実は認められない。

●この契約ディレクターは、今回の問題が表面化する前、週刊誌の取材を受け、佐村河内氏にメールで問い合わせた。佐村河内氏からは、「自分はシロだ」と疑惑を否定する返信があったが、2月2日、一転して、別の人物に作曲させていたことを認める

メールが送られてきた。この中で、「償いきれないほどの裏切りをした」と契約ディレクターに謝罪している。

また、佐村河内氏は、NHKが2月4日に面会(筆談)した際、「彼(契約ディレクター)は、ゴーストのことはまったく知らない。それは事実です。やらせとか、知っていたなどということは絶対ないです」と述べた。さらに3月7日の会見でも「Nスペでゴーストライターとの関係を知っている人はいない。明らかに私がディレクターたちをだました」と発言している。

●佐村河内氏との交流を描いた被災地の少女について、複数の週刊誌が「NHKのスタッフが探し出し、佐村河内氏に引き合わせた」との記事を掲載しているが、そのような事実はない。佐村河内氏が知人を通じて被災地のピアノ教室に連絡を取り、紹介を受けたもので、その過程にNHKのスタッフは関与していない。佐村河内氏から、少女のことを聞かされたのは後日のことである。

佐村河内氏本人への聞き取りでも、「私が知人にメールし、少女を探すように頼んだ。インターネットで検索して被災地のピアノ教室を探し、そこから見つけた。NHKは一切関わっていない」と発言している。

●佐村河内氏が「曲を完成させた日」について、あらかじめNHKとの間で設定されていたかのような記事が一部週刊誌に掲載されているが、そのような事実はない。佐村河内氏が、曲を演奏してくれることになったピアニストと、レコード会社の関係者を通じてやりとりした結果、ピアニストから求めのあった練習に要する日数を演奏会の日から逆算して、佐村河内氏自身が設定したものである。

●NHKスペシャルが、「フリーランスの持ち込み企画であった」との指摘があるが、これも事実ではない。提案者の契約ディレクターは、

当時、NHKが番組制作業務を委託していたディレクターである(契約期間は2010年4月~2013年12月)。このディレクターは、日頃から職員のディレクターと同じ職場で仕事をし、自分の企画を提案する場合も、職員と同様の審議を経て採択される仕組みになっている。今回のNHKスペシャルの提案に関しても同様である。

この問題については、筆者も当初の週刊誌記事を読み、テレビ業界にある「社員(職員)」と「非正規社員(職員)」の身分差が背景にある可能性をネット記事で言及した。「フリーランスのディレクター」が「ウソを知っていた」可能性はないのかと疑問を呈した。「フリーランス」ではなく「契約」ディレクターが正確だということだが、NHKの調査でそうした事実はない、という結論が出たのではあれば筆者が調べるすべはない。「契約ディレクター」氏にはお詫びしたい。

言葉足らずだったかも知れないが指摘したかったのは、筆者がいた民放を中心とするテレビ制作の一般的な状況だ。企画の提案者の立場が「非正規」であり、正職員よりも不安定な身分であれば、提案者は自らが持つ「ネタ」や「コネ」をより大きく、より価値のあるものにしようとするインセンティヴが働き、ネタをボツにしかねないネガティヴな情報を意識から排除しがちな傾向がある。

今回の調査報告書では 契約ディレクターであっても、職員と同等に企画提案などができるのは分かったが、「職員と同等」という点が強調される一方、「非正規」という働き方への問題への言及はない。

この点は今でも違和感を覚える。

「非正規」という不安定な身分ゆえに、佐村河内氏への疑念を持つことにブレーキがかかることはなかったのかなど、さらなる検証を求めたい。

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