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  • 煎茶
  • 2014年03月16日 09:19

移民の是非と有効な少子化対策

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前々回の記事は久々にまともな内容のあるエントリだったのですが、思いの外、多くの方に読んでいただけたようで何よりでした。
今回の記事はその続編のようなものなので、未読の方はこちらを。

移民で人口維持することは不可能

↑の記事中の文章で、子供が需要の塊である、という一節がタンブラーなんかで幾人かに引用されていました。
意外に子供が需要の塊である、ということをきちんと認識している人は少ないように思うので、改めて引用しましょう。

需要の塊である子どもを増やさないことには景気はよくなりません。
大人は10年前に買った服を着続けることができるかもしれないけど、子供は3年前に買った服だって着ることができない。
私は学生時代から10年以上大事にしているものは服以外にもたくさんありますよ。
湯のみだったり、食器だったり、家具だったり、文房具だったり、時計だったり、トレーニング器具だったり。
書籍やCDだって20年以上、収納スペースを独占しているものもあります。
でも、子供は10年も同じものを使い続けるなんて相当難しいですよね。


で、その記事がヒットしたすぐ後、政府が20万人規模で移民受け入れを検討している、というニュースが飛び込んできました。

毎年20万人の移民受け入れ 政府が本格検討開始
 産経ニュース

出生率を2.07まで回復させた上で20万人の移民を受け入れれば人口規模の維持が可能、ということだそうです。
まあ、順序間違えてないのはいいですよ。
出生率の回復が何より大事です。

じゃあ、その上でなら20万人の移民は必要か。
労働力目当てで移民を受け入れるのは無理です。理由は前々回の記事に書きました。
労働力の価値が減少することで賃金が低下し、食えない人間が増えるだけだからやめておいたほうがいい、と。

では人口規模を維持する目的での移民受け入れはどうなのか。
人口規模の維持なんて別にそんな大して重要なことじゃないのではないか、という理路もありえます。
国の規模を縮小すればいいだけじゃないか。
国家財政は無謀にも拡大の一途を辿っていますが、すでに地方によっては市町村合併やインフラの撤退など何年も前からやっています。
地方はちゃんと規模の縮小を粛々と進行させている。
跛行的な進行で、逆に発展したり、国の主導で無意味な開発を行っているところもあったりしますがね。
でも、人間集団の拡大や縮小など、別にそんな珍しいことじゃないです。
すでに日本は衰退している最中です。
もちろん、そうであっても撤退できないインフラってのもあって、それをどうやって維持していかなければならないのか、あるいはどうやって住民を説得して撤退させるのかというのは大きな課題です。
でも、毎年20万人規模で移民を受け入れることの困難さに比すればそれほど難しい問題とは思えない。
だからいかにうまく衰退(合理化・効率化)していけばいいのかという議論と、需給バランス、ライフサイクルの安定性の維持という観点からの少子化対策をすればいい。
そして、衰退は免れないとは言っても、ちゃんとまともな少子化対策をして需給バランスを回復させれば、好景気になるし、今以上に豊かな生活を送ることはできるようになります。
もっと言えば、人口が減ったり増えたりというのはそれほど大きな問題じゃなくて、人口構成の歪さによる市場の停滞と、それを認識できずに土建で景気回復などと考えている国のトップこそが問題です。
日本の高度経済成長が終わったのと出生率が2.0を切ったのはほぼ同時期です。
その後に訪れた好景気はことごとくバブルでしかなかった。
であれば、出生率の回復以上に重要な国家的な課題などこの世に存在しません。


市場は日本だけじゃない、という話も聞きますが、アベノミクスであれだけ円安を誘導したのに、結果貿易赤字は解消しませんでした。そもそもグローバル化グローバル化と声だけはやかましいですが、どんなにグローバル化を推進しても、国内市場に占めるシェア以上のものを海外に求めるなど逆立ちしたって不可能です。
日本は一貫して内需国家です。
仮に国民の多くを貧困に追いやり、市場を海外に求める外需国家になれたとしても、外交ベタな日本のコントロールがまったく及ばない国際情勢に、延々と今以上に翻弄されるだけですよ。
ただ、そうは言っても日本という市場自体の規模の縮小は大きなダメージであることはたしかで、需給バランスの回復による景気の浮揚が恒常的なものになった後に、改めて移民という選択肢をどのように考えるか、突きつけられる課題かもしれません。
でもそれは、あくまでも出生率と景気が回復したあとです。


私はこのブログで何度も少子化対策の記事を書いていますが、時折誤解され、その誤解のもとに批判されるのが、国民に生むことを強制するような政策などもっての外である、というような意見です。
先日もこのようなニュースがありました。

「子供産むのは国家への貢献」 公明指摘で自民代表質問から削除 産経ニュース

国や制度や保育環境、労働環境が変わらずに、たとえば、中絶出術を執刀した医師は逮捕とか、30歳まで未婚だったら重税とかやってもまともな社会にはなりません。
政治家の多くは国民に強制力を働かせることで国をよくしようとつい考えがちです。
生み育てやすい環境をきちんと整えればいいだけの話です。
それには、保育園を拡充し、保育料を無償化し、長時間労働をきっちり規制することです。

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