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政調、ディオバンをはじめ臨床試験の不正問題について

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政調、ディオバンをはじめ臨床試験の不正問題について隈本邦彦氏。元NHK科学文化部記者、NHKスペシャル「新薬はこうしてテストされる~臨床試験の舞台裏」で科技庁長官賞受賞。ディオバンの臨床試験をめぐってはノバルティスから奨学寄附金として5大学に11億3100万円が出されていた。

消炎鎮痛剤のメーカー各社が資金提供した56の臨床試験を評価、他社製品より「優れていた」29%、「同等以上」71%、「劣っていた」は0%。あれっ、これだと、甲は乙より上、乙は丙より上、でも丙も甲より上、となる。これは臨床試験にインチキがあるか、悪かった結果が公表されていないかだ。

つまり製薬会社の資金提供のあった臨床試験はそれだけ歪む可能性があると。で、ディオバンでは、ノバルティス社員が大阪市立大講師の肩書で論文作成に関わっていた。講師の実績もなくめったに大学に来なかったと。カネで講師の肩書を買って製薬会社社員の身分を隠して不正論文に関わった形。

医師主導型の臨床試験は「医師の意思」で行なわれるはずのものにもかかわらず、実態は製薬会社の巨額の奨学寄附金漬け、しかも製薬会社の社員が講師と名乗ったり、データ集めに協力したり、結果、製薬会社の利益にかなう論文が作られたりしている。しかも不正がバレてもほぼペナルティなし。

ディオバンは不正な臨床試験で効果を誇大広告したとして薬事法違反で刑事告発が行なわれたが、有罪でも最高刑は罰金200万円。東邦大医学部の藤井善隆准教授が書いた約200本の論文ほぼ全て捏造という世界最悪の不正を行なったが、諭旨免職、つまり退職金をもらって退職、医師免許はそのまま。

藤井善隆准教授と同時期に、米国ではタフツ大のReuben教授が20数件の研究不正で解雇、医師免許剥奪、研究費詐取の詐欺罪で有罪に。ノバルティス社はディオバンを含めた不正のペナルティで米国では民事・刑事で罰金431億円を払っている。繰り返しになるが、日本は罰金200万円。

米国も製薬会社の影響力は強いが、昨年、製薬会社の資金提供の公表を義務付けるサンシャイン法が施行。日本は自主公表。米国の研究公正局(ORI)のような内部告発先となる調査機関も存在しない。それどころか厚労省が内部告発者のメールを告発された当事者に転送するような出来事も起きている。

製薬会社65社の自主公表によると、日本で大学に支払われる奨学寄附金340億円、講演料や原稿料265億円、薬の宣伝等の講演会や説明会1388億円、接待接遇費112億円、年間計2195億円。そして不正をやってもお咎めなし、いわば「医学研究不正天国」。一定の法制度の整備が必要だと。

本会議、国家公務員制度改革、維新みんな提出法案と自公民修正による政府案の採決。後者が可決。討論で民主の後藤祐一議員が「集団的自衛権も閣議決定で安全保障基本法を作らず、秘密保護法の第三者機関も法改正でやらない、閣議の議事録もエネルギー基本計画も閣議決定のみ、これでいいのか」と。

幹事長・政調会長定例会見。小野幹事長よりいわゆる武器輸出三原則のペーパーが配られたが、昭和42年佐藤総理、昭和51年三木総理答弁とともに昭和56年の衆参決議がセットになっている。つまり「国是」だけあって、武器輸出三原則は内閣だけの意思決定ではなく、国会における議決も含んでいる。

武器輸出三原則を「防衛装備移転三原則」として、自公の与党合意の下、閣議決定で変更しようとしているが、武器輸出三原則が「国是」として確立した過去の経過から言えば、本来、これを変更するなら同趣旨の国会決議を行なわなければならないはず。これは賛成、反対とは関係のない適正手続の話。

同じ事が集団的自衛権についても言える。「海外派兵禁止決議」と呼ばれる昭和29年の参院決議があり、昭和55年の政府答弁書で「海外派兵」は「武力行使の目的で武装した部隊を他国の領土領海領空に派遣する事」と定義されている。今回、安倍総理が道を開こうとしているのはこれに該当するはずだ。

つまり安倍総理がやろうとしているのは、国権の最高機関による決議を、閣議決定により乗り越えるものと言える。昭和29年の海外派兵禁止決議を上書きする国会決議も、安全保障基本法の制定もせず、個別法の改正のみをもって済ませる手法で良いのか。そこは賛否を超えた適正手続の話だ。

それと、集団的自衛権問題を安倍総理から託されたと言える小松内閣法制局長官の最近の言動は、いくら何でも異常だという声が上がっている。「政府参考人で呼ばれた官僚が委員長の制止も聞かずに答弁を続け、与党理事の注意に反論するなんて見た事がない」「賛成派の自分でも見ていて心配になる」等々。

片山善博氏、安倍政権は地方分権には関心がない。でも本当は地方分権をやられた方が良い。国家主義的色彩のある政権で、外交、防衛、マクロ経済といった国の専管事項に力を入れている。それは正しい方向だが、ならばこそ国がやるべき仕事に専念するためにも内政の多くは地方に委ねた方が合理的だ。

団体自治と同時に進められるべきが住民自治。つまりは直接請求、住民投票、開かれた議会。これが全く進まない。自治体を強化する事ばかり注力して自治体に住民意思を反映する事は疎かにされている。なぜか。地方6団体の声を聞くからだ。彼らにとり住民自治とは自らが掣肘を加えられる事に他ならない。

教育委員会改革はピント外れ。自公案は全然ダメ。大津いじめ自殺事件の時の第三者委員会は正しい指摘をしている。「埒外に置かれた教育委員」「教育長、事務局の独走」等々。じゃあ教育長と教育委員長を兼任させたらどうなるか。教育委員はますます埒外に置かれ、教育長と事務局はますます独走する。

問題は教委に自主性が与えられておらず、予算も首長と議会に握られている事であり、外部の目が入らない住民に「閉じられた」教委になっている事だ。委員の品質管理、財政の自主性、公聴機能が必要だ。米国では教委を開いた後に必ず公聴会をやり、しかも住民の誰でも参加できるようになっている。

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