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「リケジョ」「かっぽう着」の”物語”を増幅させたマスコミ報道の責任は?小保方晴子と佐村河内守の相似

ノーベル賞級の「世紀の大発見」から一転。

「改ざん」「コピペ」「写真流用」などの疑惑が浮上している理化学研究所のユニットリーダー小保方晴子さん(30)。

証拠になった写真の「使い回し」などを本人が認めて、小保方さん自身が論文の取り下げに同意しているので、研究者としての「甘さ」や「不適切な処理」があったことは間違いない。万能細胞であるSTAP細胞そのものが存在するのかしないのかは今後の第三者機関などによる検証に待つほかない。当初ニュースになった時にテレビに登場した小保方さんの誠実そうな語りを思い起こすと、この研究そのものが不正に満ちたものだったとは信じたくはないが、現時点の報道を聞く限りでは限りなく黒に近いグレー。

「世紀の大発見」が白紙に戻ったことはまぎれもない事実だろう。

マスコミ報道の「頂上」から一転して「どん底」へ。

同じ構図のニュースを私たちはつい最近も見ている。

「現代のベートーベン」と持ち上げられた佐村河内守氏だ。

佐村河内守氏の場合、聴覚障害で聴力がまったく消えた境遇で障害を持っている子どもたちに出会って励まされ、広島の被爆者、東日本大震災の被災者ら苦しみを背負った人たちと魂の交流をして癒しの音楽を作曲する、という「物語」が様々な記事や番組で拡散された。

聴覚を失った現代のベートーベン。世界的にも注目されるクラシック音楽の作曲家-。

その音楽性よりも、「ラの音の耳鳴り」「激しい頭痛」「数多くの錠剤を服用」「作曲中に失禁」「這って歩く」などの彼の奇異な日常生活の詳細に焦点が当てられた。

映像に登場する時は、彼は光が目に激しい痛みを起こすとしてサングラスを着用し、左手の包帯、杖などの小道具を必ず用意した。本人が吹聴した「物語」をマスコミが疑いなく「増幅」させたことは疑いない。

「現在のベートーベン・佐村河内守」は、マスコミが加担した「物語」だったのだ。

小保方晴子さんの場合も共通するのは、マスコミが「物語」を過熱報道した点だ。

わずか1か月あまり前に「万能細胞」としてSTAP細胞が発表された時に、小保方さんは「リケジョのエース」として大々的に報道された。

研究所にある彼女の私物が「ピンク」で統一されている映像や彼女が「おばあちゃんのかっぽう着姿」で実験する映像や写真がテレビや新聞などで流された。

どちらも「良い物語」だ。

苦しみを背負った天才作曲家が苦しむ人たちを癒すー。

これまでの不治の病を根本的に治療できる万能細胞を日本人の理系女子が発見したー。

こうした「物語」にマスコミが自ら酔い、彼らの成果であるはずの”研究”や”楽曲”といった核心部分への検証がおろそかな形で報道してしまった。

クラシック音楽も、科学的な論文も、一般の記者たちからすれば「よく分からない」というのが実態だ。それがすごいのかどうか、など判断できない。あるいは、一般の視聴者や読者も「中身」を詳しく聞いても「よく分からない」。ならば、「中身」よりも本人の「属性」を詳しく報道してやろうと、「分かりやすい」「物語」の報道に終始したのが多くのマスコミだった。

「現代のベートーベン」が広島を訪れて被爆者と交流し、大津波で母親を失った少女と交流する「美談」を演出して同行取材。

あるいは、

STAP細胞発見の続報として「リケジョたちの理想の男性は?」とか「かっぽう着が小保方人気で品切れ続出」などの企画を紙面に掲載したり、放送したりした。

どちらも、報道の本質的な部分をおろそかにし、「分かりやすい物語」というサイドに流れてしまったことで、本質から目を背ける報道に徹してしまった。

今回のSTAP細胞の論文発表にあたっては、独立行政法人である理化学研究所の広報セクションが、小保方晴子さんの「かっぽう着姿」をテレビカメラに撮影させるなどの「物語化」を誘導した責任もある。研究者のかっぽう着姿の実験映像など、研究所が能動的に「撮らせる」という形で関与しない限り、テレビ局が映像を撮影できるわけがない。

その意味では、マスコミ各社は佐村河内氏の自己演出に乗せられたのと同様、理化学研究所の自己演出にも乗せられたのだ。

研究機関として、論文としての正当性をチェックしないままで世界的に公表し、日本の科学力への信頼を傷つける結果をもたらした理化学研究所の責任は重い。

今朝の報道番組では、「理化学研究所も連帯責任だ」という強い批判が識者の口から上がっている。

しかし、それだけではすまない。

「物語」に乗せられて、「物語」の報道ばかり垂れ流し、検証報道を怠ってきたマスコミも「連帯責任」ではないか。

佐村河内氏と小保方さんをめぐるマスコミ報道の問題、相通じる。

ふだんの報道が、安易な「物語」に終始してやいないか。

マスコミ各社は、これまでの報道をじっくり見直した上で「報道のあり方」を考え直してほしい。

※Yahoo!ニュースからの転載

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