記事

落とし所

【以下はFBに書いたものを加筆して転記しています。】

 クリミア半島の動きは抜き差しならない所まで来ています。プーチン大統領が「この騒動を起こしたのはロシアではない。」というのは、多分ホンネだと思います。プーチンやロシア指導者が最近言っていることの中にはかなり事実に反することが多いですが、ここはホンネだと思います。「最初にEUが手を突っ込んできたのではないか。」という思いが強いでしょう。EUの後ろから、NATOがやってくると思っているでしょう。

 この問題をどう収めるかですが、国際社会はクリミアに「(ウクライナの主権下での)高度な自治」を認めるかどうか、という辛い選択肢を迫られるでしょう。本当は望ましい選択ではありません。しかし、事がここまで来れば、一定程度は不可逆的ですから、外交交渉で収めようとすれば、その辺りが落とし所とならざるを得ないと思います。クリミアのロシア併合、制裁と対抗措置のエスカレーションを避けるための唯一の道だと思い始めました。

 そして、参考となるであろう3つの地域を思い出します。

・ グルジア・アブハジア地方
・ グルジア・南オセチア地方
・ モルドバ・沿ドニエストル地方

 いずれも、ロシアの影響下にある「国」が存在しています(国際的には殆ど承認されていませんが)。ロシアの傀儡政権と言っていいでしょう。通貨もロシアのルーブルが通用しています(沿ドニエストル地方については、独自の沿ドニエストルルーブルが通用しています。)。

 グルジアについては、反露のサーカシヴィリ前大統領への苛めみたいなものでした。南オセチアについては、北オセチアがロシア領で民族が分断されている状況にあるということもあります。かつては、もう一つ南部のアジャリアという地域が事実上の独立国化していましたが、これはグルジアの中央政権が奪還しました。昨年、親露派のマルグヴェラシヴィリが大統領になっていますから少し関係が変わってくるかもしれませんけども、いずれにせよ、グルジアという国はボコボコに手を突っ込まれています。

 モルドバの沿ドニエストル地方については、もう無茶苦茶でして、武器・麻薬の中継地になっていると言われます。元々歴史的なモルドバに含まれていなかった地域であり、国境防衛のためにロシア人が移住してきたという経緯があります。ソ連崩壊後に、モルドバが(文化的に非常に近い)ルーマニアに接近する政策を取ったことから、反発して沿ドニエストル共和国というものを構成しています。細部は色々と異なりますが、クリミアに類似点を見出しやすいと思います。

 これらの「国」を承認している国は僅かです。南オセチアを例に挙げれば、ロシア、ベネズエラ、ナウル、ニカラグア、ツバルが承認しているようです。(亡くなりましたが)チャヴェスらしいな、と思います。

 今後、外交交渉が行われていきますが、ロシアとの協議で確保すべきは、ウクライナの一体性を(形式的でも良いから)失わないようにすることです。なので、最終的には「高度の自治」という所で収めることが出来るかどうかです。殆ど承認されていないとしても、上記の3地域のように「国」を宣言させたり、ロシアへの編入は厳に避けなくてはなりません。

 望ましい選択だとは全然思いませんけども、これしかないだろうなという線引きはこの辺りでしょう。ソ連時代にやった住民移動や線引きは、まだまだ「亡霊」のように漂っています。

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