- 2014年03月10日 14:10
過去最大の経常赤字1兆5890億円(1月)の要因分析
2/2推移が見やすいようにグラフ化してみます。
■図1:経常収支の推移(単位:兆円)
ご覧のとおり、貿易赤字が足を引っ張る形でここ3年経常収支が急速に悪化していることが見て取れます。
これは福島第一原発事故による原発の稼働停止に伴う燃料の輸入増が影響しているものと思われますが、それでも過去18年通年では経常収支黒字が続いていたわけで、今回発表の1月単月とはいえ、過去最大の経常赤字1兆5890億円が計上されたことは、文字通り過去に見ない桁外れたショッキングな数値であると申せましょう。
とはいえ、1月単月ですから、ここはさらに過去18年間の1月単月データの推移を分析して検証を深めていきましょう。
■表2:1月度の経常収支の推移(単位:兆円)
年 経常収支 貿易・サービス収支 第一次所得収支 第二次所得収支 平成8年1月 342 -3099 4133 -692 平成9年1月 1307 -2941 5102 -855 平成10年1月 4661 204 5321 -864 平成11年1月 7293 4119 3997 -823 平成12年1月 7115 2451 5469 -804 平成13年1月 2722 -4276 7569 -570 平成14年1月 6245 -824 6908 161 平成15年1月 4666 -1739 6999 -594 平成16年1月 11535 3110 8479 -54 平成17年1月 8294 -178 9205 -732 平成18年1月 7855 -2976 11500 -669 平成19年1月 12159 -1352 14242 -730 平成20年1月 11132 -1803 13979 -1044 平成21年1月 -2219 -10572 9023 -671 平成22年1月 9996 108 10336 -448 平成23年1月 6361 -4753 11821 -707 平成24年1月 -4585 -15107 11474 -952 平成25年1月 -3484 -16458 12310 664 平成26年1月 -15890 -28128 13374 -1136
ご覧のとおり、実は一月単月では平成21年、平成24年、平成25年、と経常収支赤字に陥落しており、それぞれの年が通年では黒字を確保していることから、1月は季節的に赤字傾向にあるということはいえそうです。
グラフ化してみます。
■図2:1月度の経常収支の推移(単位:兆円)
・・・
まとめです。
なぜ今年1月の経常赤字が1兆5890億円と過去最大になったのでしょうか。
まず、例年1月が国際収支状況で経常赤字になりやすい傾向にある季節的要因を挙げてみます。
・中国の春節(旧正月)前にアジア向けの輸出が減るため、1月末の春節を控えて現地工場が休暇に入り、中国や周辺国への部品などの輸出が減り貿易収支が悪化する
・冬場の需要期で液化天然ガス(LNG)や原油の輸入が増える
さらに今年特有の要因を挙げてみます
・消費増税前の駆け込み需要で現地生産した電子部品などの輸入が増えたこと
・アベノミクスによる円安の進行で輸入価格が膨らんだこと
さらにここ数年の構造的要因を挙げてみます。
・原発の稼働停止に伴う燃料の輸入増
・生産・部品調達の現地化による国内生産の空洞化
・・・
おそらく中国の春節(旧正月)休暇の影響を受ける一月という季節的要因、消費税増税やアベノミクスなどの今年特有の要因、原発の稼働停止や国内生産の空洞化などのここ数年の構造的要因が、複合的に重なり合って過去最大の経常赤字になってしまったものと推測されます。
このエントリーが読者の参考になれば幸いです。
(木走まさみず)
- 木走正水(きばしりまさみず)
- 新聞・テレビの報道分析が高い評価を受けている。



