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東京五輪2020の都市像(その2)−超高齢社会のヒトとクルマの関係 - 土堤内 昭雄

日本は1964年の東京オリンピック開催を契機に、東海道新幹線や首都高速道路の開通など、高度経済成長のインフラとなる都市基盤が整備され、大きな変貌を遂げた。それから半世紀が経過した現在、6年後の五輪開催に向けて、東京にはどのような都市像が求められているのだろうか。先週の本欄に『東京五輪2020の都市像(その1)~自転車活用した都市交通体系の再編』を書いた。その中で自転車活用を推進することは、これまでのヒトとクルマの関係を抜本的に見直すことにもなると述べた。

60~70年代は急速にモータリゼーションが進展した時期である。当時建設された大都市圏の大規模ニュータウンの中には、ヒトとクルマの動線が立体交差する「歩車分離」のコンセプトが採用された所も多い。それによりヒトもクルマもお互いに安全性と利便性を高めると考えられたからだ。しかし、高齢化が進んだ今日、高低差のある歩行者動線は高齢者の日常生活の大きな負担になっている。

一方、市街地においても交通量が増え、各地に横断歩道橋が設置された。しかし、近年では階段の昇降が困難な高齢者の増加や少子化に伴う小中学校の通学路の減少など、社会環境が大きく変化し、横断歩道橋の利用者が減少している。高齢化対応としてエレベーター付きの歩道橋も建設されているが、コスト面からすべての歩道橋に設置することは困難だ。また、多くの歩道橋が建設から40年以上が経過して老朽化が進み、地元から撤去の要望も増えているという。

本来、ニュータウンの歩行者専用道や市街地の横断歩道橋は歩行者の安全性と利便性、自動車交通の効率性を図るために設置されたものだ。しかし、現在の高齢社会の進展とクルマに対する成熟した社会の意識を考えると、より一層ヒトの優先度を高めることが必要だろう。

64年のオリンピックを契機に建設された老朽化した都市基盤は、一斉に更新の時期を迎えているが、この半世紀の間に社会経済環境は大きく変わり、単純に更新すれば良いというわけではなくなった。東京の日本橋川を覆う首都高速道路が60年代の高度経済成長の象徴なら、2020年の東京には日本橋川などの水辺空間の回復や、ヒトがクルマに優先することを具現化したHuman Oriented(人間中心)の都市像を提示することが求められるだろう。

オリンピックと同時開催されるパラリンピックの実施によって、東京は真のバリアフリーのまちであるかどうかが試される。それはユニバーサルデザインとして、快適な人間中心の都市づくりを問うものでもある。2020年、東京が超高齢社会の都市づくりにおいて金メダルを取ることを期待したい。

(参考) 研究員の眼『首都高が“産業遺産”になる日~東京オリンピックとポスト近代化』(2012年11月26日)

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