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リニア中央新幹線と高規格道路網の重層化

研究開発部(名古屋) 主席研究員 加藤 義人

2027年に品川~名古屋間で開業を予定するリニア中央新幹線(以下、リニア)を念頭に置いた地域整備の検討が、沿線自治体を中心に進み始めている。その多くは、リニアを活かした発展ビジョンを掲げた上で、都市機能の整備と社会資本の整備についての政策が検討されており、今後は具体的な事業計画立案へ推移していくものと考えられる。こうした諸検討のうち、本稿ではリニアを契機とした社会資本整備について一考したい。

リニア沿線自治体が検討するリニア開業に向けた社会資本整備の内容で共通しているのは、「高速道路や地域高規格道路との結節強化」の必要性を掲げている点である。従来の新幹線の整備とは明らかに異なり、リニア駅の設置に合わせて高規格道路網を結節させたいとする方向性が計画段階から各地域に共通して浮き彫り出されている。

こうした潮流の背景に在るものは何か。第一は、リニア効果を広域的に波及させる狙いがある。地方においては、高速道路網は徐々に身近なものになりつつあるものの、鉄道網は大都市圏ほど発達していない。ましてやリニアは整備される地域が限定されているため、この効果を自地域に取り込むためにはリニアと高速道路を結節させることが手っ取り早い。リニア駅と自地域を結ぶ高規格道路を整備したり、リニア駅に近い高速道路上のSA・PAをスマートインター化してアクセスしやすくする手法などが考えられ、地方部では比較的現実的である。第二は、多モードによる総合的な交通体系整備の潮流だ。日本が成熟国家への歩みを強めるにつれ、豊かさを実感できる地域づくりを進めるためには、高速道路や整備新幹線を個々単独に推進する時代から、これまで整備された社会資本を重層的につないで利用することが必要な時代へと推移していることを物語っている。これにより、交通拠点に求められる機能は結節機能となる。より多様な交通モードが相互に乗り換えられるように工夫していくことが今後の潮流である。リニア駅には、こうした多モード結節拠点としての期待が寄せられているものと解される。

こうした潮流の先に考えたいのは、空港や港湾との高速交通モードの結節である。リニアは三大都市圏を結ぶ超高速鉄道であり、航空機並の高速移動を可能にする。従って、リニアと高速の結節が論議されるのは大変好ましいが、さらにはリニア駅と空港を有機的に結節させることで三大都市圏における航空需要への対応が柔軟になる。また、リニア駅と高速道路との結節を介して港湾との連携が強まれば、港湾区域における集客機能の増進にも結びついて行くことが期待できる。こうしたことを通して、我が国の国土は三大都市圏に整備されてきた社会資本ストックの国際競争力をさらに高めることが可能となり、地方における高速交通網を活かした地域振興プログラムを活性化させやすい国土が構築されていくこととなる。

リニアは、その速度が最大の特徴であるが、我が国国土の有り様を大きく転換させる契機ともなり得る交通機関である。計画段階におけるチャレンジ精神あふれる論議の活性化は貴重で、この期を逃さず積極的な検討が進められることを期待したい。

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