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新しい診療報酬体系 病院のできること 家族のできる事 行政のできること

新しい診療報酬体系が報告されました。消費税対応、介護との連携など様々な変更点があります。あまりに覚えるべきことが多すぎて、事務は多分大変でしょう。

今回の改訂で主治医制というものがあります。点数はとても高いのですが、24時間連続する医療態勢を含めて、実際におこなうことは医師側にとってかなり厳しいものです。どこまでやってくれる医師が増えますかね。(でも仕事量に応じての点数ですので、いわゆるドクターズフィーの考え方です。筋は悪くありません。)

また癌を患者さんと家族に説明することにも点数がつくそうです。今までどれだけ話しても無料でしたので、個人的には少しうれしい変化です。(実際に点数を取るにはソファーのある落ち着いた部屋が必要とか馬鹿げた規制がありますが)

また7対1対応要件が厳しくなり、満たさないと点数が減りますので、病院の利益は減るでしょう。医師、看護師がリストラされなければいいのですが。

獨協に勤務し血液診療に復帰し2年になります。その前のバイト生活を含めて栃木地方診療に従事して3年ですが、今の医療の問題点を個別症例を出して提示したいと思います。

なおあくまで提示する症例は私が経験してきた症例に脚色を加えたもので、実際の症例ではないことを断っておきます。

80台後半の女性
著明な貧血で救急車で来院。Hb4台。緊急入院し原因を精査。
個人からは病気に直結する情報は聞き出せなかったが、連れてきてくれた近所の人から別の病院に最近まで入院していた情報を得る。
そこで前病院に確認したところ消化器癌で入院するも、家族のサポートが得られず、医療費も払えないため、その病院を強制退院させられたとのこと。
家族に連絡取るも親子の縁を切ったということでサポートが得られない。患者は娘に迷惑がかからないように黙っているばかり。
病院は患者さんの希望を聞きながら治療方針を決めようとする。情報をよく知る前病院に転院を依頼しても断られ、在宅緩和治療をするにも身内のサポートがなく、また前回入院していた病院は、介護保険を含めた行政への手続きを全くしていない。家族は連絡をとられる事で仕事をクビになると電話にもでない。自治体と調整。

80台後半の男性
妻と死別。一人暮らし。悪性腫瘍にかかり病院にて精査。認知はなく自立していたが、徐々に弱り、時折転倒をする。治療にリスクがあるも、妹(70代後半)も含めて入院治療を希望。
入院治療の反応はいいものの、退院後の通院治療のサポートを家族が拒否。
完治が望めるかもしれない全コースの治療はあきらめ、療養型病棟への転院を計画。しかし2ヶ月以上ベッドが開く予定がたたず、一旦別の病院へ転院。
なお本人はこの経過を聞かされていない。

80台前半の男性
元々の病気で定期的に輸血依存性。認知はない。自力で生活。今回胆石発作で入院。手術をおこない、無事痛みもなくなるも、入院に伴う術後管理で精神症状出現。あわててなんとか退院させるも、家で暴れ続け、入院のトラウマから病院にいく事もいやになり、元々の病院での輸血にも奇声を発する状態へ。安全が保てないということで輸血治療は中止し、精神科に緊急対応。今後の治療、サポートをどうするか。

この患者さん達をいい状態にさせるには、病院、家族、行政どれが主体になる必要があるでしょう。とても難しい問題です。少なくとも今の日本の医療の状況ではどれもスムーズには流れません。

医師に社会との調整を望まれても難しいですし、病院のソーシャルワーカーにも限界があります。

また家族に仕事を辞めてでも面倒をみろというのもこの時代難しい話です。最後の症例等は家族がつぶれてしまいます。

では行政が手を打ち生活保護かといっても、家、財産の問題などすぐにはうまくいきません。

メタボ、ロコモと病気を予防し、なるだけ医療費を使わないようにし、在宅で最後まで過ごす。まさにぴんぴんころりを目指した今回の診療報酬体系。

残念ながら今回提示した症例達の医療には対応できていません。高齢化が進む今の日本。こういう病気だけが問題ではない難しい症例が今後どんどん増えてきます。

こういう症例に在宅治療をさせるためには、先程あげた主治医(24時間面倒を見てくれる)が必要になるのです。

病院、家族、行政が連携して一つの方向に進まないといけないのです。そして行政が現場を知らないといつまでも机上の空論で終わります。なんとか現場で頑張りたいと思いますが、やはり行政側にいかないと難しいです。 

医療者は患者の病を治す事に専念するしかありません。そして周りを巻き込んでいくしかないのです。

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