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リクルートが見いだした「一見さん商売」

観光名所が危険?

世界各地の観光名所は、しばしば「危険」と呼ばれる。観光客を相手にした犯罪が多発し、多くの客が被害に遭っている。それゆえ注意が必要と警鐘が鳴らされる。たとえばローマのワインを使ったゆすり。すれ違いざま、わざと観光客にぶつかり、手に持ったワインの入った袋を落として割ってしまう。その責任を観光客に押しつけ、高額な弁償を要求するのだ(ワインはもちろん安物。ただし観光客は価値がわからない)。リスボンでは中心街で女性の観光客を相手にしたバッグからの財布の抜き取りが絶えない。またバンコクでは美人局やカード・宝石詐欺といったものもある。いやはや観光地は危険きわまりない。

だが、こういった観光客を目当てにした犯罪は、もう何十年も繰り返されていること。その手口もとっくに公開されている。もちろん、『地球の歩き方』を中心とした海外旅行ガイドにも紹介されている。

それにもかかわらず、この手口は絶えることはない。なぜか?理由は簡単だ。こういった犯罪が、常に観光客という「一見さん」を相手にしているからだ。しかもそのほとんどが二度とそこには来ることはない。まさに一期一会。そして一見さん=素人だから、ガイドブックにこういった危険性についての記述があったとしても、そのほとんどはチェックしていない。ということは、犯罪を犯す側としてはローテクで延々とカネを巻き上げ続けることができる。その結果、同じパターンの犯罪が何十年と続くというわけだ。まあ、なんとオイシイ商売なんだろう。

リクルートという一見さん相手の商売:リクナビの場合

さてリクルートという企業。現在80以上ものブランドを擁し、様々な情報サービスを行っている。リクナビ、ゼクシィ、たまひよ、ホットペッパー、SUMO、ケイコとマナブ……それこそわれわれの人生の節目において必要となる情報のほとんどがリクルートによって担われていると思えるほど。

で、これらのサービスをよくよく見てみると全てに共通することがある。そう、これはみんな「一見さん」を相手とした商売なのだ。ということは、これらのビジネスモデルは、どれも観光地の犯罪みたいな構造になっていると言うこと。つまり、ローテクでちょろい商売をやっている。

たとえばリクナビ。就職支援サイトで、大学生がサービス対象になるが、正直言ってロクな情報を提供していない。リクナビは紹介する企業からカネを払わせ、その企業の情報をリクナビの媒体とし、これを大学生に提供している。当然、企業は顧客=クライアントとなるわけで、顧客に不利になる情報を掲載するはずはない。だから、それらは優良企業もブラック義業も、おしなべて「よい企業」になる。そこに大学生=観光客がやってきて、オイシイ話に釣られてわけもわからず、どこかの企業に迷い込んでいくというわけだ。その結果、若者たちがどんな目に遭おうとも、リクナビ側は知ったことではない。で、それが結果として、企業と学生のミスマッチという事態を発生させ、就職3年以内の離職率3割という恐ろしい結果を生む一因となっていると言っても過言ではないだろう。

にもかかわらず、リクナビはオイシイ汁をすすり続ける。なんのことはない、「学生さん」は「一見さん」。だから、あやしい情報とローテクにいとも容易に引っかかる。その一方で、もう二度と来ないから、そのビジネス手法のあやしさが知られることもない。また、これまで用意した情報はそのまま流用可能。翌年になったら、また企業に情報提供サービスを提案し、昨年の記事にチョコっと新しい情報を加えただけ(つまりリライト)で、また掲載する。にもかかわらず企業=顧客から徴収する金額は基本的に同額。で、これを繰り返していれば、延々カネが転がり込んでくるという手法=システムだ。だが、適切な情報を知ろうとする学生=本当の顧客には、永遠に利益はもたらされないのである。

ホットペッパーは飲食店側が損をする

前述したように、この手法はリクナビに限った話ではない。たとえば、一般人が利用している飲食店情報のホットペッパー(あるいはホットペッパーグルメ)も、まったく同じ構造だ。ホットペッパーもまた掲載する飲食店から掲載料を徴収している。そして、その多くにクーポンを添付している。ホットペッパー自体はローカルに特化しており、紙媒体として消費者がアクセスする可能性はそれなりに高い(もっとも最近はネットベースだが)。この中から消費者はお気に入りの店を見つけ、そこに添付されているクーポンを切り取って(あるいは店頭でクーポンをスマホなどで提示して)、割引等のサービスを受ける。これで飲食店はお客をゲットできる。

しかし、問題はここからだ。ホットペッパーに掲載するということは、何らかのかたちで集客を必要とする飲食店。言い換えれば「訳あり」、つまりイマイチうまく客を呼び込めていないという状況にあるところが多い。そこで、ホットペッパーに頼る。掲載すればとりあえずお客さんがやってくるからだ。ただし、もちろんクーポンを当てにした一見さん。しかしながら、もともと大した店ではないので、リピーターになる確率は低い。そう、結局、一見さんで終わってしまう。だから、ホットペッパーに掲載した飲食店は掲載が終わればまた元の「訳あり」の店に戻る。で、それじゃあまずいのでまた同じことを続けざるを得ない。要するに、儲けているのはホットペッパー側だけなのだ。

リクルートは一見さん相手商売のオンパレード

でリクルートは、何でもかんでもこの手法を用いている。リクルートの主立ったサービスを人間のライフサイクル順に並べてみよう。たまひよ=乳幼児の子育て、 リクナビ進学=受験、 フロムエー=バイト、リクナビ=就職、R25=25歳以上の就職、ゼクシィ=結婚、とらばーゆ=女性向け転職、スタッフサービス=人材派遣、 ケイコとマナブ=習い事、SUMO=住宅……う~ん、スゴイ。全て一見さん商売だ。そのうち「終活」なんて名前のサービスも生まれるんだろうなぁ、きっと。……、これ、もちろん「葬式」のサービスですけど。

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