- 2014年03月06日 11:14
「ひきこもり」はアッパークラス~ミドルクラス(上)の現象になるだろう
■困難なエリアでは「ひきこもり」で集客できない
この頃「ひきこもり」に関する講演会の講師をしていて、以前とはだいぶ雰囲気が違ってきなあと思うことがある。
それは、集客に関して特に感じる。
集客について、「ひきこもり」をテーマで人が集まる地域と集まらない地域がある。その地域が、貧困問題や複雑な家庭問題(ひとり親やステップファミリー)を抱えている人たちが比較的多い場合、「ひきこもり」で人はなかなか集まらない。
たとえば、そうした問題を数多く抱えていると言われる大阪市南部(西成区や住吉区等)においては、「ひきこもり」単独テーマでは集客は困難だ。
大阪市・大阪府でも、北部エリアならば、同テーマで開催したとしても以前のように人は集まる。
北部エリアとは、豊中市や茨木市や吹田市などを指す。大阪という全国的にはローカルな話で恐縮なのだが、そうした地域にも貧困問題は当然現れているものの、これまでのように「ひきこもり」単独テーマでも人は集まる。
この場合の「人」とは、家族(保護者)と支援者を指す。
北部エリアにも当然貧困問題や家族問題はあるものの、一方で「ひきこもり」を一つの問題として分化させることがまだできる。多くの家庭で、ひきこもりを他の問題とは分けて考える「余裕」があるということだ。
■日本にも若年ホームレスが拡大し、アメリカにもひきこもりが現れる
が、大阪市南部においては、「ひきこもり」は、貧困や家族構成の問題に隠れてしまう。まあ、子どもがひっそりとひきこもれる部屋が家庭になかったり、一人でもひきこもれるだけの経済的余裕が家族になかったりするのであるが、現実には、貧困や家庭問題を抱えながらもひきこもっているご家族もある。
が、そうしたなかでの「ひきこもり」は、それ以外の問題(貧困と家族)に隠れてしまう。後回しにされてしまうのだ。
ところで、講演の最後には通常質疑応答の時間があり、よくある質問に「ひきこもりは、日本だけの現象なんですか」というものがある。
これに対して僕は、「ひきこもりは、日本と韓国と、イタリアなどの地中海の国の現象だと言われていますね、いずれも『母』の力が強い国です」と、伝聞知識で答えていた。
加えて、「アメリカや地中海以外のヨーロッパでは『自立』圧力が強いため、家庭から出されホームレスになるのかもしれません」と、これまた伝聞で答えていた。
その返答には大雑把さはあるものの、これまではそれほどズレてはいなかったと思う。
つまり、「母性」といった、限りなく心理学的要素の強い切り取り方で論じれば、質問者は納得したくれた。アメリカの話もそれほどズレてはいなかっただろう。
が、格差社会が固定化した(そして30年ほどかけて現在50代以上の「中流世代」が亡くなっていき、本格的「階級社会」になるであろう)日本にも、若年者ホームレスの問題は今よりも遥かに拡大していくことだろう。
また、アメリカやイギリスにおいては、ミドル上クラス以上においては、「ひきこもり」の問題が現れるかもしれない(メディアでは、親と同居するアメリカの若者が増えてきたと報道されている)。
■貧困問題の中の、新しい「甘え」?
つまり、グローバリゼーションが本格稼働し始めたこの世界では、「母性の地域性」のような心理学的見方は徐々に背景化していき、格差社会や階級社会といった、主として経済的原因から人々の行動は決定されていくのでは、ということだ。
その具体的事例として、ひきこもりが日本では(おそらくその数自体はそれほど減少しないと思うが)社会の一部の問題として背景化していくと思う。
特に、ミドル下クラス~アンダークラスにおいては、ひきこもりは数ある問題の中の一つとしてそれほど注目されないのではないか。
それら(ミドル下~アンダー)は、全体の4割あるいはそれ以上を占めるだろう(現在、生産労働人口中、4割が非正規雇用)。
それこそ、貧困問題の中の新たな「甘え」として、別角度から追求され、今よりも厳しい「自己決定論」にさらされるような気もする。★
※Yahoo!ニュースからの転載


