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特定秘密保護法Q&A(前編) - 青井未帆

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今日の世界では、「国と国民の安全」を偏重して追求することは、時代錯誤となりつつあります。「国と国民の安全」は、有無を言わさぬ絶対的な公益になりがちであるところ、知る権利等の対抗的な利益や、公にされた秘密の重要度などを、総合的に衡量しなくてはならないと考えられるようになってきているのです。

NSAの通信傍受を暴露する記事をスクープした英ガーディアン紙編集長が、朝日新聞のインタビューに答えて、

《「ペンタゴン・ペーパーズ事件」(米連邦最高裁判決・1971年6月30日)の明らかにした「どんな経緯で得られた情報であっても、公益にかなう限り報道は適法」という原則が自信の拠り所になった》

という趣旨の発言をしています(朝日新聞2014年2月17日)。

ガーディアン紙の行動へは批判もなされましたが、世界の各地から賛辞と支持が表明されている点に、市民の「情報への権利」が着実に育っていることを見て取ることができるでしょう。

特定秘密保護法へ市民による反対運動が広い範囲で起こったのは、市民的自由を守るための行動として、当然のことであったと思います。

また、Article 19、国際ジャーナリスト連盟、国際ペンクラブ、国連人権高等弁務官事務所・特別報告官、オープン・ソサエティー財団上級顧問(ツワネ原則[*5]採択を主導した財団)などの国際的な人権団体等からも、言論の自由の国際的な基準に照らして、厳しい批判が寄せられました。

「国と国家の安全」と「知る権利」等の市民的権利や自由は、本来的にぶつかりあうことが多いため、先に述べたように、公文書管理、情報公開、情報セキュリティ等についてしかるべき仕組みが作られ、裁判のあり方のルールが整序されるなかで、これらの間を調整する必要があります。そして、具体的な事件となった場合には、司法手続のなかでよりきめ細やかに調整する必要があります。

しかし日本では、依然として調整メカニズムが不十分です。「知る権利」を担保する客観的な制度とその運用が発展の途上であり、また裁判における「国と国家の安全」と「知る権利」の調整のあり方(立証方法等)も不明瞭です。

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