- 2014年03月06日 05:00
「高知」から全国の医療を変えるモデルを生み出す:高知医療再生機構・鈴木裕介さん
高知に出張をしてきました。現地で活躍するイノベーターを取材することができたのでここに書き残しておきます。高知で医療再生に取り組む若手人材、高知医療再生機構の鈴木裕介さんです。
高知から医療を変えるイノベーター
画像を見るイケダ:というわけで、早速お話を聞かせてください!鈴木さんって何をやっているんですか?
鈴木:普段は内科医をやっていて、この仕事は6年目ですね。県庁のなかに外郭団体で「高知医療再生機構」というのがありまして、ざっくりいうと高知の医療再生させようということで、そちらの活動にも携わっています。
背景として、高知は若い医療従事者が減っているんです。どの地域にも言えるんですが、やはり都会に流れてしまっていて。ぼくらの同級生なんかも、みんな高知が好きなんですけど、医学部を卒業したら「高知はオワコン」だからと去っていって…それはさみしいな、と。
ぼくは県外から来ているんですが、高知に愛着もあるので何かできないかと。医療に関わりながら、仲間と勝手にプロモーションみたいなのをやりだしたんです。それがたまたまちょっとうまくいって、医療再生機構に関わることになりました。
イケダ:たとえばどんなプロモーションを打ったんですか?
鈴木:リクルートみたいなところがやっている「合同就職説明会の病院版」があるんですが、高知県はブース出してもスルーなんですよ。みんな興味がないから。
で、これじゃいかん、ということでプロモーショングッズを作ろうといって、こんなものを配っていたんですよ。
画像を見るイケダ:うーん…普通のティッシュですねこれ。
鈴木:鈴木:配ってもぜんぜんスルーです。医療従事者なので、やっぱり見せ方はうまくないわけですね。誤解の無いように言うと、デザイン自体は有名なデザイナーさんのものなんです。でも、そもそも興味の無いターゲットに刺さるかというとそこまでじゃない。プロモーショングッズは面白くないと刺さらないので、こんなものを作りました。
画像を見るイケダ:これはなんですか?(笑)
鈴木:「胸骨正中切開ティッシュ」です(笑)ティッシュの開き口と心臓手術の切開線を合わせてみました。これが「医学部あるある」的にバズって、1万個近く配ることができて、見学を増えすことができました。とまぁ、3年くらいこんなことをやっていて、僕らの活動以外にも色々と要因はあるんですが、今は高知県全体の研修医の就職が増えつつあり、今年は歴代最高の人数になりました。
イケダ:なんとまぁ、すごいインパクトを出しているんですね…!
鈴木:すげー楽しいっすよ(笑)ほかにも、このメモ帳、医学部生たちに、白衣の胸ポケットに入れてもらうために作りました。これもまぁまぁ受けましたね。ダジャレになってるんです。
画像を見るもともとこうした活動を趣味でやってたんですが、「病院のような箱ものではなく、ソフトにお金を使おう。特に『若い人』にお金を使おう」というマインドをもっている機構のトップと出会うことができて、今の仕事にたどり着きました。
イケダ:なるほど。様々なプロジェクトをやられてきたんですね。
鈴木:もともと「コーチレジ」という団体をやっていました。まさに色々やっていて、たとえば勉強会が面白くないので「飲み放題付きの勉強会」を病院の食堂でやったりなんかもしましたね。
イケダ:さすが酒飲みの高知(笑)病院の食堂で飲み放題というのは破天荒ですねぇ。
鈴木:はい(笑)ぼくが一番問題意識を感じていたのが、研修医が抑うつ状態になる確率って、25%なんですよ。ヤバいな、と。ぼくの友達なんかも倒れていったというのがあって…さらに、既存の相談窓口もあまり機能していなかったんです。
そういう現状があるなら、まずは気持ちがわかる人同士のネットワークを作ろうと思い「SafetyScrum」という医療従事者のネットワークを作りました。これがうまくワークして、心療内科学会で賞をいただいたりもしました。
僕たち「セーフティスクラム」は、研修医のメンタルヘルスの向上を目的としたレジデント・研修医を主体とするネットワークです。皆さんが研修生活においてメンタルストレス不全に陥ることなく、充実した研修をしてもらうために若手独自の視点でさまざまなシステムを用意しています。
ぼくらレベルがやっていることでも、それなりにちゃんとしたことをやれば役に立つこともできる、という実感を得たんですよね。
医療従事者に医療以外の専門性を身につけ、さらなる問題解決へ
イケダ:すばらしいです、医療分野のイノベーターですね!今も色々仕掛けているんですよね。
鈴木:「Medical Ryoma Project」というのもやっています。ヒト、モノ、カネというけれど、ぼくはヒトさえいればなんとかなると思っていて。良いヒトがいればモノもカネも付いてきますよね。そんな人材を育成するために、医療従事者が世界で学んで、地域で生かす、という仕組みをつくりたいと思っています。
病院で起こっているような問題は複雑で、その解決策は多様です。医療だけでなく経営などにも問題があったりするので、たとえばMBA、公衆衛生、IT、MBA、公衆衛生、IT、政策、デザイン、データサイエンス、そういった専門性を医療従事者に身につけてもらい、この地域で実験的に生かしてみたら、日本の医療を変える良いモデルができるんじゃないか、と思っています。
イケダ:異分野の勉強を支援するということですね。
鈴木:はい。高知の問題は、高知だけではないんです。僕は医療における、地域イノベーションの教科書をつくろうと考えています。ここ高知から、全国で再現性のある成功モデルを作る、ということです。
今はまだ、各地域にいる「イケてる医療関係者たち」がネットワーク化されていないんですよね。そこをつくって、成功例・失敗例をシェアして、地域連携して底上げをしていきたいと考えています。高知でたまたまうまくいった例をシェアして、またはその逆で、高知に輸入したり…。
なので、ぼくらだけでやっていても仕方がなくて、医療従事者はもちろん、NPOとかITとかヘルスケアベンチャーと手を組んでやっていきたいと思っています。ネットワーキングのフェーズということで、ちょうど昨日、仲間と一緒にお金を出し合ってシェアオフィスを立ち上げました。「どうもここに面白い人たちがいるぞ」と思ってもらえるリアル空間をつくっていこうとしています。
「Why」のある人生は、楽しいし、ラクである
イケダ:すばらしいです。医学部の学生に聞いてもらいたいですね!この熱さを。医学部生って、頭はいいけど、意外と安定志向というか、レールに乗った生き方が前提になっている印象があります。
鈴木:まさに、専門医を取るのが短期的な目標になってしまっていて、取ったあとに「どうしよう」となってしまう人が多いですね。そんなわけで、医療再生機構ではキャリア支援もやっていたりします。
やはり、受験戦争と安定志向で入ってきた人が多いのが現状で…自分自身を振り返っても「Whyのない生き方は辛いよ」ということはありますね。
イケダ:名言ですね。どれだけ給料が高くても、何のためにやっているかわからない仕事は辛いです。
鈴木:今の仕事をはじめて給料は下がったけど、幸福度は4倍くらいになっています。毎年今はピークだ!といえるのはいいですね。5年後は予測が付かないのって、楽しいじゃないですか。「ジャンプ」っぽくて(笑)この方が楽しいし、ラクだな、と思っています。
今作ったシェアオフィスで100回イベントとサロンをやるというのがひとまずの目標です!それができなかったらすぐに撤退します(笑)。イケダさんもよかったらぜひ来てください。
イケダ:はい、必ずやお邪魔します!次は戻り鰹の時期に行こうと思います。
こんな人材が高知に!
NPOクラスタだけでなく、医療クラスタにもこんな人材がいるとは。高知は何か新しいことをやるには相応しい土地なんでしょうねぇ。医療を変えたい!と考えている方はぜひ鈴木さんとつながっておきましょう。鈴木さんはしばしば東京にも出張で訪れているので、比較的会いやすいと思われます。
鈴木 裕介 (usksuzuki)さんはTwitterを使っています
鈴木さんが共著で関わっている著作もご紹介。インパクトあるタイトルですねぇ。
リンク先を見るハグレ医者[Kindle版]posted with ヨメレバメディファーム株式会社 日経BP社 2013-11-05高知出張記事の一覧
高知の旅はすばらしくて、たくさん記事を書いています。よろしければこちらもぜひ。
- Hayato Ikeda
- プロブロガー



