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「現代日本を怪物化した対日外交は失敗」その2―論議呼ぶ中国の識者ブログ

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[Ⅱ]現代の日本を怪物化する理由

 問題は、こんなに長い間、なぜ今の日本を怪物化することになったのかである。なぜ日本を怪物化しなければならなかったのか?

 今の日本を怪物化するもっとも主要な手段は、中国人に歴史を連想させることである:日本は侵略の歴史を認めず、謝罪せず、A級戦犯が祭られている靖国神社を参拝し、また平和憲法の改訂をたくらんでおり、日本はまたしても軍国主義の道を行くのだ。

このロジックはすでに何年も使用されてきた。多くの中国人の心に深く根ざして長い年月がたった。なぜなら軍国主義が中国に深刻な災難と民族の恥辱をもたらしたことは、今に至るまで、中国人の心に憎しみとして深く刻まれているからである。一方、日本は、軍国主義に走るであろう論調がここ2年続いているところへ、さらに新しい刺激、尖閣諸島の主権問題が加わった。

 ニュース報道をみると、ここ数日、多くの中国在外大使が、その国のメディアに日本の軍国主義傾向を批判する記事を発表している。これは対外宣伝攻勢である。中でも笑えるのは、駐英国中国大使が日本を「ヴォルデモート」にたとえたことである。 しかし、事実そうなのか?

 疑問1、日本は侵略の歴史を認めたのか?謝罪したのか?大多数の中国人はしていないと考えている。そればかりか、日本は侵略の歴史を否定しようとたくらんでいると考えている。しかし、日本に滞在する作家兪天任氏は、日本はすでに何度も謝罪していると私に言った。私は兪天任氏の言葉を信じる。

 理由は簡単である。数年前、ユーゴスラビアの中国大使館がアメリカ人(私たちはNATOと言っているが)によって爆破されたあと、クリントン大統領は即謝罪した。アメリカ人が故意に爆破したことは明らかであったが。私たちは彼に謝罪を求めたわけではなく、全国規模の激しい反米デモを組織した。私は反米デモを断固支持する。なぜなら、大使館を爆破したのは、中国の主権に対する明らかな侵犯であり、中国に対する勝手な侮辱だからである。しかし、この事実をわざわざ発表するのには反対である。

 疑問2、日本の歴史教科書問題は中国によって故意に誇張されているのか?兪天任は、日本には侵略を徹底的に否定する教科書はない、と私に言った。中日間の歴史教科書をめぐる争いは、今にはじまったことではないが、日本には統一された歴史教科書というものがなく、各学校が歴史教科書を選択して用いるということ知るべきである。しかし、中国のメディアが中国人に与える印象は、日本が歴史教科書を改訂し、日本の子どもに侵略を美化した教育をしているというものである。事実、歴史教科書問題では、私は、私たちの歴史教科書も歴史の真相に復するよう強く望んでいる。

 疑問3、靖国神社にはA級戦犯の位牌が祭られているのか?なぜなら、日本神道では偶像崇拝をしないため、中国人が想像するような戦犯の位牌はそもそも存在しないはずだ。日本のA級戦犯14名の氏名は、死亡した歴代の軍人200万人の名簿の中に出てくる。これらの戦犯が名簿の中に出てくるのは1978年(まさに中国の改革開放時代で、中国は数年後はじめてこれに抗議した)で、これ以降、日本の天皇は靖国神社を参拝していない。日本の政客は自らの主張や国内政治の必要性から参拝するか否かを選択している。兪天任は正式に靖国神社を参拝し、彼のブログに参拝の過程を詳細に記述している。これこそ重要な資料である。

 疑問4、もっとも重要な疑問は、今の日本が軍国主義の道を歩む可能性はあるのかということである。中国の外務省やメディアは、日本軍国主義の復活を警戒するよう呼びかけることが非常に好きだ。日本は本当に軍国主義の道を行くのだろうか?

 まず、一つの概念を明確にする必要がある。軍国主義とは何か?である。ネット時代、もっとも簡単な方法は百度で調べることだ。百度では次のように定義している。軍国主義とは、武力と軍事拡張を尊び、好戦的でみだりに武力を用い、侵略拡張を立国の基本とし、完全に国を軍事コントロール下におき、政治、経済、文化教育など各方面とも軍備拡張と戦争に備えることに協力するという思想や政治制度を指す。その基本理念には平和を否定し、戦争を不可避とする考え方をつらぬき、さらには戦争そのものを素晴らしく、あこがれと考えることが含まれる。軍国主義的行為とは、その国の政治、経済、社会生活の各方面が軍事化され、対外的な侵略拡張に奉仕する政策をとる。軍国主義国家では、戦争が国の主要目的となる。国の生存、軍閥独裁、侵略拡張の思想や政策で全国を統治するものである。

 この定義を読んだ。全体を網羅した定義である。いずれかの辞典が出典であろう。百度に列記されている軍国主義の特徴とは

① 国内では反戦革命運動を鎮圧し、過激なナショナリズムやショービニズムを宣伝する

②対外的には、好戦的でみだりに武力を用い、国土の拡張をはかる

③経済は軍事発展を目標とし、政府が軍需の補助をし、重工業の発展を加速させる。また戦争の実利でさらに軍備拡張をはかる

④国民は国家への滅私奉公を求められ、私権、人権、言論の自由が抑圧される

⑤政治的には集権制を実施し、議会および司法機関の政府に対するチェックアンドバランスは効果的に行えない

⑥内閣の要職は軍人が担当する

⑦教育は軍事訓練、外国敵視、自らの民族の優越性を養育の教材とする

⑧国民の日常生活は、軍事的な動員と干渉を受け、建築物や公共施設は広く要塞化される

⑨徴兵制がしかれ、服役期間は長く、軍籍は男女を問わず一律に登録される。必要に応じて服役年齢に達していない少年も軍隊に徴集され戦争や任務に参加させられる

⑩軍人の貢献をたたえ、軍人の社会的地位を尊崇し、さらには歴史、考古学、宗教、文学、芸術などで軍人や戦争を美化する

⑪外交では、軍事的優位をもって近隣地域を侮辱し、実利と国際的地位を追求する

⑫政府は、侵略略奪による利益を国民が享受することを許可し、国民の戦争に対する積極性を発揚して、民意の戦争への支持を確保する。主に対外的な略奪と拡張に依拠した発展をめざす

 以上、12項目の特徴を詳細に検討した結果、日本はこのうちの1項目もあてはまらないようだ。私たちの周辺国家のうち、北朝鮮のみが多くの項目にあてはまる。

 根本的視点でみると、1947年に公布された日本の「平和憲法」第二章第九条で、すでに戦争、軍備、交戦権の放棄が明確となっている。平和憲法は日本の基本的国家主権の一部を剥奪し、国際政治において他の国より一段低くしたのである。これは当然のことで、日本は罪を受けいれるべきである。当時、「明治憲法」の枠組みの中で軍国主義国家となり、世界、アジア、中国にかくも悲惨な損失をもたらしたのは、いったい誰のせいなのか?第二次世界大戦終結時、残念なことに中国民国政府は内戦にあけくれて、日本に対する軍事占領に直接参画できなかった。さもなければ、中国の日本に対する発言権は現在のような状況にはならなかった。

 しかし、大きく譲って言えば、日本の平和憲法が改訂または廃止されたとしても、日本は正常な国際政治的地位を有する国に戻るだけであり、経済力に見合った真の意味での大国になるのである。ただし、軍国主義の発展とは相当かけはなれている。

 さらに広い視点でみると、中日間の争いは、台頭しつつある中国と全面的に大国の地位を回復した日本との戦いであるが、軍国関係をひきずることはない。なぜなら、大国間の争いの重点は、伝統的な軍事的争いではないからである。日本憲法の改訂は極めて難しい。安倍がやろうとしているのは日本の自衛隊を軍隊に昇格させることであって、平和憲法を放棄することではない。ただし、日本の平和憲法第二章第九条を改訂するには、まず憲法改訂の手続きの問題がある。すなわち、憲法第96条の厳格な規定、憲法改訂には国会の3分の3の同意が必要という規定がある。日本の憲法改訂のむつかしさは、中国の憲法改訂の難度をはるかに超えている。

 疑問第五、今の日本に軍国主義の道を歩む必要はあるのか?グローバル化、経済統合が進む世界で、まだ戦争という手段を用いて、侵略や都市を占領し土地を奪い取り、他国の領土を占領し、不平等条約を締結して、資源や市場を略奪する必要があるのだろうか?米日安保条約があり、米日軍事同盟があり、米国の核の傘がある。日本は軍事力を過度に発展させる必要はないのだ。日本が軍国主義の道を歩むことを中国人は承諾しない。アメリカ人承諾するだろうか?

 実際、資源や市場のためであるとすれば、第二次世界大戦後の日本は、さっさと経済的手段で当時の戦争発動時の目標を達成していたであろう。

よって、私は、日本が軍国主義の道を歩むという推論は、悲惨な歴史を経験した中国人にとっては非常に理にかなったことであるが、日本人にとっては荒唐無稽な陰謀説であると考える。

 しかし、日本があらためて軍国主義に向かっているというのは、長期にわたる反日キャンペーンで中国の愛国者の敏感な神経に刺激を与えてきたし、愛国者たちの激昂した気持ちを直ちにピークに到達させる効果がある。おしいことに、いわゆる日本が軍国主義に向かっているというのは、基本的には偽命題である。

 今の日本人はどんな様子か、中国人はあまり知らないだろう(頭から知りたくないと思っているかもしれない)。平和憲法で66年間洗脳された日本人、平和な環境の中で、私権、自由、民主(日本式民主)を十分享受してきた日本人、文人官僚の管理下にある日本人、戦後の各世代の考え方が戦争からどんどん遠ざかっている日本人、軍隊が国家化し、軍人は政治に参画しない日本。彼らがどうやって軍国主義に向かうのか教えてほしい。

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