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舛添新都知事に注文 安倍首相にモノ言える都政を

〔以下の論攷は、『連合通信・隔日版』2014年2月13日号に掲載されたものです。〕

 2月9日に投開票された東京都知事選挙では、自民・公明両党などが推す舛添要一氏が約211万票を獲得して当選した。宇都宮健児氏、細川護煕氏らは及ばなかった。選挙で何が問われたのか。舛添新知事の課題は何かを法政大学大原社会問題研究所の五十嵐仁教授に聞いた。

 東京都知事選挙で桝添候補が200万以上の票を得た背景には、自民・公明両党、連合などの組織票の力があった。投票率が低かったため組織の支援は大きな力になった。都政にかかわる政策をまんべんなく訴え、脱原発についても「段階的に減らす」という、都民には一番現実的だと思われている方針を打ち出した。これらが功を奏したと思う。

 脱原発が都知事選の争点の一つになったことには大きな意義があった。しかし、都政はそれだけではないし、原発そのものをどうするかについて都知事は権限を持っておらず、最終的には安倍首相の判断に委ねられている。知事選の争点としては説得力に欠けると都民に受け取られたのではないか。

 脱原発を掲げた宇都宮・細川両候補が敗れたからといって、都民が原発推進を支持したというわけではない。両候補の得票数を合計すれば、桝添氏と17万票差まで肉薄している。桝添氏も原発推進というわけではなく、脱原発運動が敗れたことにはならない。

 

脱原発運動の関係修復を

 一方、選挙戦の最中に脱原発をめざす一部の文化人が宇都宮陣営に対し、知名度があって小泉純一郎元首相が応援する細川氏との一本化を求めて辞退を迫ったことには問題があった。選挙結果では宇都宮氏の方が細川氏より3万票近く得票が多く、福祉や社会保障の充実、ブラック企業対策などの幅広い政策を訴えていた。脱原発政策にしぼった細川氏より、政策的な優位性があったと言える。

 もし一本化を求めるなら、告示前に主要な政策を明らかにして公開の場で協議を行うなどの手続きが必要だった。細川候補は脱原発以外の政策が不明瞭で、国家戦略特区に賛成するなど新自由主義的な面もあり、しかも期日前投票も既に始まっていた。この時点でも宇都宮候補に辞退を迫ったのは、客観的には選挙妨害のようなものだった。これについてはきちんとした総括が必要だろう。

 しかし、選挙後には両陣営ともに脱原発に向けて話し合うことが合意されているという。今後は、原発ゼロに向けて一致点を確認しつつ協力関係を築くべきだ。もし、しこりを残したまま対立や分断を続けることになれば、選挙で負け、脱原発運動でも負けるという「二重の敗北」になってしまう。それこそ、安倍首相の思うツボだろう。

 当選した舛添氏には、待機児童ゼロなどの公約をきちんと実行してもらいたい。原発も再稼働を求めるということにはならないはずだ。「東京を世界一の都市に」と言うのなら、国際スタンダード(標準)を守るべきだろう。都教育委員会による「君が代の起立斉唱」強制などを改めてほしい。靖国参拝や「従軍慰安婦」問題などで日本の評判を落とし、中国・韓国とも対立している安倍首相の言動には、しっかり苦言を呈してもらいたいものだ。

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