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パチンコが突きつける「賭博民営化」の矛盾

日経ビジネス側で連載中のコラム、「マジメに考える夜の経済成長戦略」が更新されましたので、ご案内致します。内容は、先日速報でまずはお伝えしたパチンコ換金の法制化を目指す、風営法改正議連に関するもの。事後的に集まってきた情報と、周辺の関連する論議を追加し、もう少し丁寧に解説いたしました。ご興味のある方はご覧下さい。
パチンコが突きつける「賭博民営化」の矛盾 ―カジノとクラブの法改正に暗雲
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20140227/260342/?n_cid=nbpnbo_bv_ru&rt=nocnt
以下、執筆事後談:

という事で、カジノ合法化にとっても、また新たな暗雲が見え始めたワケですが、私としては「同じことを何度繰り返せば気が済むのか」といったところです。

今回、組成された風営法改正議連は、元法相2名、元国家公安委員長1名の法務族議員でガッチガチに固められている他、現役の自民党副総裁を含む陣容で、おそらくもはや留めようがない状況にあります。陣容としては、民主党時代に同じ様な目的で設立されていた議員連盟である「娯産研」なんかよりも、はるかに強力な組織となっております。

このようにカジノの合法化論議に対して、法務系の族議員が身を乗り出してくる状況は今に始まったことではなくて、実は2009年から始まった民主党政権下でのカジノ合法化論議においても同じ様な状況になりました。今回との違いは、当時の民主党の法務系はアンチ賭博の左派系が中心であったために、彼等が強力な反対論者に廻ったこと。結局、彼等が強力なサボタージュを続けることで当時の合法化の流れは立ち消えたわけですが、その辺の経緯は以下のリンク先あたりにまとめています。
日本でカジノが合法化されない理由
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/7756137.html
で、また今回は自民党の法務系が動きだしたワケですよ。こうやってカジノ合法化論議が高まる毎に、毎回、法務系の族議員が蠢きだすのには、根源的な理由があります。それが、今回日経側のコラムでも開設した「民営賭博としてのカジノ合法化」という議連が現在示している法制スキーム。実は、これを実現するためには現在の刑法で賭博を禁止している185条の解釈の変更が必要となるのですが、IR議連および、その後ろで蠢いている民間識者の面々はそれを非常に安易に達成できるものと考えているフシがあって、私が何度「それを前提とする合法化論はリスクが高い」と訴えても全くもって耳を貸そうとして来なかった。

そもそも、これは法務系の議員が悪いというよりは、完全にカジノ推進派議員の「悪手」が引き起こした当然の結果なのですよ。まず大前提として、我が国の法治体制の基本となる六法のひとつである刑法条文の解釈変更なんてのは、一朝一夕に達成できるような簡単な作業ではなく、ましてや現在の論議は法務に全く縁もゆかりもない人間達が「カジノ都合」で勝手に主張しているだけの状況。刑法を専門としている法務畑の方々からすれば、「そこはオレ達の領分だろ」と出張ってくるのは当り前であって、それを根拠に強力な反対論を打ってきたのが民主党の法務系、一方でそれを別の目的達成に向って利用しようと動いているのが自民党の法務系という構図です。

私自身は民主党の時も、そして自民党になってからも、繰り返し現法案に含まれる根源的な問題とリスクを訴え続けているのですが、一方で一部のIR議連の後ろにいる識者連中などは「なぜ民主党時代の構想が失敗したのか」を振り返らず、「あれは、民主党議員のコントロールがヘボかったからだ」のような属人的な問題にそれをすり替えて、一度失敗したのと同じ議論を延々と繰り返しているわけです。

...で、案の定、また法務系から逆風が巻き起こっているわけですよ...一体、何度同じ過ちを繰り返せば気が済むのか。

今、私のところに来ている情報の中だと、風営法改正議連内からは早期の議員立法の提出が主張されている状況とのことで、当該議連の幹部連中の強力な布陣をみる限り、客観的にはなかなかその動きを留めるのも難しいかなといった状況。その中のまた一部議員が主張している今期国会中の法案取りまとめは流石に難しいとは思うのですが、おそらくカジノ側の実施法が提出される(現在のカジノ法案は、推進法と実施法の二段階発射になっています)頃には、十分、彼等の法案も間に合うのかなと思っています。

私としては、我が国のカジノ合法化論はパチンコ換金の法制化論とセットにされてしまった時点で、世論的に旗色が悪くなると考えているだけに、なかなか難しい状況が見えてきたなと思わざるを得ません。「民営カジノの合法化とパチンコ論は別モノ」などというこれまで繰り返されてきた詭弁は、実際に起こっている風営法改正議連の動きを目前にしてもはや成り立たなくなっているワケで、個人的には日経側のコラムにも書いたように「賭博は公の独占業務」という原理原則に立ち戻った上で、カジノの制度設計側を切りなおすしかないかなと思っておるところです。

という事で、ご興味のある方はコチラもどうぞ。
パチンコが突きつける「賭博民営化」の矛盾 ―カジノとクラブの法改正に暗雲
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20140227/260342/?n_cid=nbpnbo_bv_ru&rt=nocnt
PS: ちなみに風営法改正議連には、もう一つカジノ推進側にとって都合の悪い爆弾が埋め込まれているのだが、私がワザワザその起爆させる必要はないので、この点は私の心の内に留めておくところです。

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