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米国防総省が国防予算と陸軍兵力削減、「在日米軍の傭兵化」、日本はイスラエルと一体化で安全保障確保

◆米国防総省(ペンタゴン)のヘーゲル国防長官は2月24日、陸軍の兵力を現在の約52万人から44万─45万人規模に削減、実現すれば、米陸軍の規模は第2次世界大戦に参戦する前の規模に縮小すると発表した。今後10年間で約1兆ドル(約102兆円)の歳出を削減する案を模索中で、2015年度の国防予算は約4960億ドル(約51兆円)という。

 米国は「世界の警察官」と言われてきたかつての「栄光ある強い米国」の面影は、いまはない。第2次世界大戦後、これまで10年に1度のサイクルで「大戦争」(朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラン・イラク戦争、湾岸戦争、アフガニスタン・イラク戦争など)を行って、「軍産協同体」を生き延びさせてきているうちに、巨額な軍事費の重圧に耐えきれなくなってきている。それが、ついに2013年には、国防総省予算の大幅削減を余儀なくされて、将兵150万人、文官80万人の給料遅配、自宅待機を断行せざるを得なくなった。このため、安倍晋三政権は、在日米軍将兵、文官の給料を「思いやり予算」から支給して、窮状を救い、「在日米軍の傭兵化」とも言われた。吉田茂元首相が、「在日米軍は番犬」と言い切ったのを想起すれば、「米軍の落ち目ぶり」は、目を覆うばかりである。

◆しかし、いかに落ちぶれたとはいえ、「在日米軍には、生死を賭けて日本列島と日本国民をしっかり守ってもらわなくてはならない」のである。

 折しも、米議会調査局は2月24日、新たにまとめて公表した「日米関係に関する報告書」のなかで、「安倍総理大臣の歴史観は、第2次世界大戦とその後の日本占領についてのアメリカ人の考えとぶつかる危険がある」と指摘している。これは煎じ詰めれば、「在日米軍には、生死を賭けて日本列島と日本国民をしっかり守るから、日本は戦前に回帰して、再軍備したり、自主防衛したりしてはならない」と警告しているのに等しい。

 従って、安倍晋三首相は、「米軍と自衛隊の共同作戦」「日本版NSC設置」「特定秘密保護法制定」「集団的自衛権行使容認」「武器輸出3原則緩和・撤廃」や「日本国憲法改正(国防軍創設)」などに精を出してはならないのである。その代わりに、在日米軍に対しては、

日本列島と日本国民をしっかり守るために必要な「カネ」は、提供する必要がある。米連邦政府の台所が火の車であるならば、「在日米軍の傭兵化」を続けてもよい。日本人の若者たちが、再び戦場に送られて、戦死することを思えば、米軍将兵に犠牲になってもらった方がよほどましである。米議会調査局が、そう力説してくれているのであるから、素直に従うに限る。安倍晋三首相は、ムキになって、「日本を、取り戻そう。」と頑張る必要は、さらさらないのである。

◆ヘーゲル国防長官によると、国防総省は、オバマ大統領が打ち出している「リバランス」(再均衡)策によるアジア・太平洋重視戦略に基づき、軍備拡大・海洋覇権戦略を目覚ましく展開している中国共産党1党独裁北京政府と人民解放軍の軍事行動に対抗すべく、米海軍を大西洋から西太平洋にシフトして、「アジア・太平洋覇権=利権」を守ろうとしている。これは、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)とも密接な関係を成しているので、日本は当然、交渉締結を急ぐ必要がある。

 オバマ大統領は、中東から「足抜け」して、アジア・太平洋に重点を移す代わりに、事実上の同盟国であるイスラエルやサウジアラビアなどを切り捨てている。

 そのせいもあって、イスラエルは、このところ、米国との関係よりも、日本との関係を最重視している。「日本=ユダヤ同祖説」により、いまや「日本・イスラエル一体」と考えているフシさえある。これは、これからの日本の平和と安全保障戦略にとって、むしろ有益である。

【参考引用】ロイターが2月25日午前6時21分、「米陸軍が兵力縮小へ、歳出削減で第2次大戦参戦前の規模に」という見出しをつけて、以下のように配信した。

 「[ワシントン 24日 ロイター]米国防総省は24日、陸軍の兵力を現在の約52万人から44万─45万人規模に削減する方針を明らかにした。実現すれば、米陸軍の規模は第2次世界大戦に参戦する前の規模に縮小する。3月4日の国防予算案発表を前に、2015年度予算での歳出削減達成に向けた計画をヘーゲル国防長官が説明した。長官は、米軍がアフガニスタンからの撤収を進め、国防支出の削減を図るなか、国防総省は今後も引き続きアジア太平洋に軸足を移す方針で、これまで予定されていた数の地上兵力はもはや不要になると説明した。陸軍は今後1年でおよそ49万人規模に削減される予定だった。

45万人に削減されれば、第2次世界大戦に参戦する前の1940年以来の水準に縮小する。国防総省は今後10年間で約1兆ドルの歳出を削減する案を模索している。2015年度の国防予算はおよそ4960億ドルと、14年度からほぼ横ばいだが、昨年の想定は下回っている。ヘーゲル長官は、A10攻撃機の全廃や軍人への手当なども削減する考えを明らかにした」

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