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【アメリカ様に言われたので評価試験端折ります】AAV7の「形だけ」の評価試験が近く開始

 防衛省の辰己昌良報道官は21日の記者会見で、参考品として購入した水陸両用車「AAV7」4両を4月から試験運用すると明らかにした。

陸自、4月から水陸両用車を試験運用 離島奪還訓練などに活用
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140221/plc14022119430020-n1.htm
 これはもっと早く荷揚げする予定だったのですが、先日の大雪で遅れたとのことです。前にも書いたように、4月2日にお披露目をやる予定らしいのです。

 陸幕ではビーチから颯爽と登場というのを狙っているらしいのですが、そのような場所が陸自の縄張りにはないので海自にたのむか、単に広場でお披露目することになるかまだ決まっていないようです。

 で、この荷揚げを撮影したら出入り禁止にするとカメラマンたちを脅しているそうです。広報のセンスがまるで人民解放軍(笑)

 別に機密でもなんでもないでしょうに。何を根拠に出入り禁止にするのでしょうかね?その写真が公開されてどんなダメージがあるんでしょうかね。

 軍人風吹かせて地方人はオレたちの言うことを聞いてりゃいいんだ、という態度です。まるで旧軍の陸式ですなあ。 

 民主国家の軍隊はありえない広報のセンスと常識です。一事が万事これですから、特定秘密保護法の制定でこのナイーブな秘密主義が益々はびこることでしょう。

 さて、AAV7部隊の駐屯地はどこになるのでしょうか。ビーチでの演習や訓練が出来るのは北海道以外ないような気がしますが。それだと南西諸島を念頭に置いた、水陸両用部隊の運用に大きな支障をきたすでしょう。

 もっとも南西諸島の多くはリーフが多くて、AAV7は使いものになりません。護岸工事を行って防潮堤があるとこなら尚更です。

 ですから、LCACで運ぶことになるわけですが、それならばピラーニャやバイキングなど他の水陸両用装甲車、あるいは両用機能がない96式装甲車でもいいわけです。

 で、どこにAAV7を配備して訓練するのでしょうか。

 本来であればAAV7の採用はまだ未定なはずですが、海自はAAV7の導入前提でおおすみ級とLCACの改修予算を要求しています。これがおおすみ級1隻ならば、試験のためという名目も立のですが、要求は3隻分です。

 そして防衛省・陸幕は本来必要な評価試験を大幅に端折ります。

 防衛省の徳地秀士防衛政策局長は平成25年4月15日の予算委員会第一分科会で、日本維新の会の中丸啓議員の「25年度に調達したAAV74輌の納入はいつになるか」という質問に対して、以下のように答弁しています。

「27年度までに取得をいたしまして、それから1、2年かけてこれにつきまして性能を確認する、あるいは運用の検証を行う。これによりまして、水陸両用車を導入すべきかどうか、それから実際にどの機種にするかということについて検討をするということになっております」

 つまり、評価作業が完了するのは平成28~29年になります。

 ところが、防衛省はこの答弁をひっくり返し、本年中に水陸両用車の車種を決定するといしています。

 来年度にこれまた評価用としてAAV7の指揮通信型と回収型が要求されていますが、これらは評価には使用されません。評価用に使わないのに評価用として要求を出すというのは随分厚顔です。普通の民主国家ではありえないでしょう。

 仮に「公正」に選定が行われて、AAV7は必要なし、となった場合この二輛は試験に採用されるわけでもなく、全くの税金の無駄遣いになります。

 試験に使わないのであれば来年度予算で要求する必要はありません。

 これが、国会答弁の後、明日にも中国との戦争が起こるかもしれない、などいう緊迫した状態ならまだ分かりますが小野寺大臣も陸幕長も「安全保障環境に変化はない」とおっしゃいました。極めて面妖です。

 で、陸幕長に質したところ、評価試験を端折る理由をアメリカ側との調整の結果だ、といいます。

 アメリカ様が何を言われたのか知りませんが、アメリカ様のご意向ならば自分たちが本来やるべき評価試験を殆ど省略するというわけです。どう控えめに言って、もこれじゃ植民地の軍隊です。

 既に次期中期防では水陸両用車=AAV7の調達数が述べられています。

 運用試験も評価試験もしていないのに、どうやって部隊編成と必要な数を決められるのでしょうか。極めて不思議です。

 恐らくはAAV7の導入は政治決定なのでしょう。防衛省や陸自は言われるままになっている。そうであれば、安倍政権はアメリカ政府なのか、兵器産業関係者なのか知りませんがご機嫌を取るために、必要かどうかも怪しい装備を多額の税金を使って調達することになります。

 あるいはセンセイ方になにか経済的な旨味でもあるのでしょう。

 まるで、アフリカの最貧国が中国から個人的な便宜供与につられて中国製兵器を大人買いするようなものです。

 これはAAV7にかぎらず、オスプレイやグローバルホークも同じです。

  これが安倍首相のいう「戦後レジームからの脱却」らしいです。

  中期防の「お買い物計画」は予算的に不可能です。

  恐らくはAAV7とかオスプレイは中途半端な数が調達され、何に使うかもよくわからないまま、現場に押し付けられることになるでしょう。また、メンツもあってこれらを転売も廃棄もできないので、いたずらに維持・運営費が垂れ流されることになります。

 つまり安倍政権は自衛隊の弱体化を推進している、ということになります。

  確かにこれまで、どの政権もここまで、利を曲げてまでアメリカに媚ることはしませんでした。そういう意味では「過去からの決別」なのかも知れません。

  問題はこのようなデタラメをメディアが殆ど報じないことです。

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C-2輸送機の開発遅延は人災①〜震災の補正予算で発注された輸送機の調達単価200億円は当初計画100億円の2倍!杜撰な計画で最大積載量も低下
http://japan-indepth.jp/?p=3246
C-2輸送機の開発遅延は人災②〜調達コストが高く・性能も中途半端・外国に売れる見込みの無い機体を「国産機だから」と調達すべきではない
http://japan-indepth.jp/?p=3248
まともな評価もしないでオスプレイ導入を政治決定した安倍政権〜兵器は子供の玩具ではない①
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安倍政権は軍拡?! 右派?!〜その実態は多額の税金をアメリカに貢ぎ、自衛隊を弱体化させている事実に警鐘①
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陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか①
http://japan-indepth.jp/?p=2220
陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか②
http://japan-indepth.jp/?p=2220
陸上自衛隊の水陸両用車の調達先は『アメリカ製』だけが候補の「出来レース」?〜水陸両用装甲車=AAV7は導入ありきでいいのか③
http://japan-indepth.jp/?p=2234

朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。

国産機銃は廃止すべきだ(上)――製品不良で多くの自衛隊員が死傷する
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014012700004.html
国産機銃は廃止すべきだ(下)――小火器メーカーの再編を
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014012700005.html?iref=webronza
オスプレイはいっそのこと、政府専用機に
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014011600005.html
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http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014011500004.html
陸自の水陸両用装甲車、AAV7導入は裏口入学だ
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アベノミクスで食材偽装が増える?
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