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水俣病の認定にかかる迷走

水俣病の患者認定について熊本県の蒲島郁夫知事が異議を唱え、国に対してはっきりとした判断基準を策定するよう求めた結果、環境省が認定基準新指針を示し、蒲島知事も事実上これを受け入れたようだ。
蒲島知事としては、県ではなく国の臨時水俣病認定審査会(臨水審)で認定業務をやって欲しいと国を揺さぶった結果、一定の成果が得られたということなのだろう。しかし環境省が示した新指針については、多くの患者団体が反発をしているし、怪しげなものだ。

昨年4月に下された最高裁判決では、感覚障害だけでも水俣病と認定できるとしたわけで、複数症状の組み合わせを要求する環境省との間では格段の開きがある。今回の新指針についても、結局は従来型の踏襲に過ぎないのではないか。新指針は一応、感覚障害だけでも認定することとしてはいるものの、あくまで従来の認定基準を維持したままでその補足的な位置付けとなっている。
格好ばかりは最高裁判決を尊重したようだが、その内実は違うと思う。しかもメチル水銀との因果関係を被害者側が証明することを求めるようだ。こんなことを被害者側に要求しても、まず無理ではないか。

特措法に基づく手続においても同様に被害者側に証明を求めているが、結局、証拠不十分で残念でしたという結果に陥ってしまい、追加提訴への動きが加速している。50年や60年も以前のことを証明しろと言うことは、砂丘で落としたダイヤのイヤリングを探すようなものだ。

昭和31年5月の公式確認からすでに50年以上が経過しており、被害者が証明するのが困難であることを考えれば、認定のハードルがかえって高くなったとも言える。また臨水審が審査を代行するには、申請者の同意が必要となるようで、本当に機能するだろうか、しっかりとした委員の人選はできるか、臨水審が開催されても結局は長時間かけて棄却の連続にならないか、等々疑問はつきない。

環境省内部で新指針が策定されたようだが、環境省のやり方は相変わらずだ。私はしっかりと患者側の意見や現地の医師らの意見を十分に採り入れた形にした認定基準を策定しないと、最高裁の判決も生かされないし、混乱に拍車をかけるのではないかと危惧している。

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