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「営業権の侵害」か「表現の自由」か?グルメ情報サイトの掲載について

アビタス米国弁護士コース担当の坂本です。

飲食店の情報投稿サイト(「食べログ」)に店内写真などを掲載され損害を受けたとして、大阪市の飲食店経営会社が、掲載情報の削除と損害賠償を求め、訴訟を提起しました。

本件問題となった店は、「秘密の隠れ家」のバーとして演出されており、店内やサービス内容が広く公開されていませんでしたが、同店を訪れた人が、店内写真などの情報をサイトに投稿するようになりました。

これに対し店舗側はサイト運営会社に対し、演出の意図を伝えたうえで、情報の削除を求めたものの応じなかったため、訴訟に踏み切ったという流れです。

すでに口頭弁論も開始され、店側が、削除要請に応じない点を「営業権の侵害」と主張すれば、サイト運営会社は「表現の自由」を理由に、要請拒否を正当化しており、とりあえず両者は平行線です。

両者の主張立証の詳細を承知していないのですが、おそらく、民法上の不法行為責任(709条)の有無が主な焦点になると思われます。そうであるならば、サイト運営会社の要請拒否における故意・過失、店側に発生した損害の程度、要請拒否と損害との因果関係が、裁判で論じられることになるはずです。

さて、感想の一つ一つは個人的な書き込みであっても、それが集約されれば、情報収集をネットに依存している現在の生活では、飲食店経営に死活的な影響を与えることも、当然予想されるでしょう。また、感想とは主観的なものである以上、恣意性を避けることはできません。

その意味では、飲食店などの感想を集約し、サイトなどで一般の閲覧に供する事業は、ある程度公共性を持つと考えた方がよさそうです。そうであれば、書き込む人の自由にも、自ずと一定の限界が出てくると考えられます。

今回は、その限界に関する事例と考えられるでしょう。

ところでこのサイト運営会社、本件以前にも、

・古い情報が掲載されたままサイトの店側による削除、変更要請に応じなかった事例(後に和解)

・口コミに、いわゆるやらせが発覚した事例(参考:http://xn--vcsu8bszjpl8ahyp.net/learning/qualification_lawyer/column/vol75.php)

など、トラブルが散見されており、掲載や削除のルールがまだまだ発展途上であることが窺えます。

結局、インターネット空間の公共性についてはまだまだ適切なルールが無く、かつ、ルールが必要という認識さえ、十分には普及していないと思わざるを得ません。

運営会社が自主的なルールを作ることが最善ですが、あらゆる事例を想定したルールを期待するのは、現実的ではありません。次善として、裁判例を積み重ねるなどして、適切なルールについて考える機会を持つべきだと思います。

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