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衛藤首相補佐官の動画投稿騒動は「永久敗戦論」そのものだ

 衛藤晟一首相補佐官が「米国に失望しているのは我々のほうだ」などと動画投稿したことが大騒ぎになっている。

 最初は、何が悪いと、開き直っていたらしいが、4月のオバマ大統領の訪日への悪影響をおそれた菅官房長官に電話一本で忠告され、あっさりと前言を翻して動画投稿まで削除するという体たらくだ。

 しかし私はこの動画投稿のバカ騒ぎを歓迎する。

 なぜならばこの騒動は安倍政権が抱えている致命的な欠陥を見事に露呈してくれたからだ。

 何が致命的か。

 それはこの衛藤補佐官の動画投稿に見られた「失望」は、安倍首相自身の本音でもあるからだ。

 しかもその本音をぶつけたのは衛藤補佐官が初めてではない。

 安倍首相の外交・安全保障政策の代弁者である谷内正太郎日本版NSC事務局長は、以前から講演などで何度も米国に対する不満に言及している。

 安倍首相に靖国参拝を強く迫った張本人であると言われている萩生田光一議員(首相特別補佐官)も、「共和党政権だったらこんなことにはならなかった」などと内政干渉まがいのオバマ政権批判をしている。

 直近の例としては、佐々江駐米大使が「米国は誰が友人なのか、誰がトラブルメーカーなのかをはっきりさせてもらいたい」などとエラソーに講演の場で日本より中国や韓国を優先する米国に対する不満をぶちまけた。

 衛藤補佐官の動画投稿の発言は、一連の安倍首相側近の対米不満の一つに過ぎないのだ。

 つまり安倍首相の対米不満の代弁である。

 そうである以上、信念をもってそれを貫くのであればまだ筋が通る。

 ところがオバマ大統領の訪日に悪影響が及んでは大変だといってあっさり撤回した。

 ここが大問題であり、安倍首相とその取り巻きの情けないところだ。

 オバマの米国に対してこれ以上ない不満と不信を抱いている安倍首相であるのに、米国に反発をすればするほど対米従属にならざるを得ない。

 これこそが白井聡のいう「永久敗戦論」なのである。

 すなわち、敗戦を否認する誤った歴史認識に固執するがゆえに、際限のない対米従属を続けなければならず、対米従属を続ける限り、敗戦を否認し続けなければならないという悪循環である。

 実は私は先日(2月12日)ある雑誌の依頼で白井聡氏と対談した。

 折から都知事選の結果に話がおよび、この国の若者の昭和史に関する知識と関心のなさに話が及んだ。

 そういう若者たちは今度の動画騒動の本質はまるで理解できないだろうし、そのような若者に支持される限り安倍政権はいつまでたっても正しい対米外交は出来ない。

 いや何も若者だけではない。

 この国の働き盛りの壮年も、その上の団塊の世代も、老人たちの間でさえ日本の戦後史を正しく知らされていない者ばかりでなないのか。

 だから安倍政権が今でも政権にとどまっていられるのだ。

 甘やかされているのだ。

 白井聡という若い世代と私はそう認識が一致した。

 絶望の中に希望を見つけた思いである(了)

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