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ホンダ「N」の福祉車両から考える

誰でも、将来、車いすの世話になる可能性がありますよと、福祉関係者からいわれたことがあります。その通りだと思います。日本は、高齢化社会を迎えて、得意の技術力を発揮して福祉車両など福祉機器の世界で、もっともっと貢献していいと思います。

一昔前までは、車椅子の乗降に対応したクルマや、回転シートがついていて、車いすからラクに乗り移れるクルマなど、福祉車両といえば、大きくて特注で値段が高いイメージがありました。しかし、近年、自動車メーカー各社は、軽自動車など、小さくて低価格な福祉車両を、次々と発売しています。

ホンダの大ヒット軽自動車「N BOX」は、派生車の「N BOX+」に福祉車両があります。開発責任者は、従来のホンダ製の福祉車両を見て、高いわりに使い勝手が悪いと、憤慨します。汚名返上をかけて、これまでにない福祉車両の開発に取り組みました。

関係者に聞いた話では、車いす仕様車は、販売台数が少ないため、多くのメーカーは赤字で生産しているのが実情だということです。「N BOX+」の開発責任者は、しかし、赤字では、経営が厳しくなると生産を打ち切られる可能性があると考え、赤字を解消し、低コストで生産できる福祉車両を目指しました。

最終的に、「車いす専用車」ではなく、「車いす〝兼〟用車」として、車中泊などのレジャーにも使える、「普段使いできる車いす仕様車」を「N BOX+」で実現したのです。通常の生産ラインで、一緒に生産できるため、価格も抑えられました。これは、福祉車両界にとって、革新的でした。

思うに、福祉車両のように、細かい気配りの求められる商品開発は、もともと、日本人の得意とするところなのではないでしょうか。福祉車両のニーズは、国内に留まらず、世界中にあるはずです。ホンダは、昨11月に発売された「N-WGN」に回転シートつきの福祉車両も用意していますが、各社、こうした技術を世界に発揮してほしいと思います。

そういえば、日本製の「車いす」は、素材や性能、耐久性などにおいて、欧米諸国に比べて後れているといわれています。日本の車いすメーカーにも奮起を促したいですね。福祉車両は世界の先頭を走っているといわれていますが、世界一の「車いす」はできないものでしょうか。

日本は、世界でもっとも高齢化が深刻な国です。福祉車両、車いす、介護ロボットなどの分野で、世界をリードしてほしいですね。蛇足ながら、今後、市場が世界中に拡大するのは、間違いないですからね。

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