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株安が円高要因とは変

少し前から、ちゃんとしたエコノミストと話していると「変やね」と一致することがある。それは、「株価が安くなったから円高」という記事である。間違いかどうかはともかく、理解が難しい。

今日も次の記事があった。毎回登場するのが日経ばかりだと、えこ贔屓か、集中攻撃になるので、ブルームバーグの記事を引用しておく。それによると、「昨年10?12月の日本の国内総生産(GDP)が事前予想を下回り、日本株が下落に転じる中、リスク回避に伴う円買いが優勢となっている」とのことである。さらに某エコノミストは、「日本の景気が芳しくないということであれば、リスクオフの円高」とコメントしていると。

このような見解が完全に「おかしいやん」とは言わないまでも、何となくしっくりこない。何故かと言えば、アベノミクスが始まった当初と現在を比較すると、ロジックが異なってきたように思えるから。

当初は、「大胆な金融緩和→円安→景気回復→株高」というロジックではなかったのか。それがいつの間にか、逆の方向、すなわち「株高→円安」「株安→円高」というロジックに塗り固められたようだ。

ロジックに対するもう1つの違和感は、経済的な論理が正しいのかどうかである。何故、株安が円高に直結するのかは、論理的に理解が難しく、説明も困難である。というのも、株価が企業業績に直接関係しないからである。本来の論理は逆で、円安の恩恵が生じうるので、企業業績が良くなり、株価が上昇するというものだった。

確認しておくと、株価が下がったからといって、それが為替レートに直接影響することは考えられない。株価は、バブル期には例外があるものの、内外経済環境から大きな影響を受ける。逆の論理展開が主流になることは非常に少ない。つまり、「株高→円安」「株安→円高」という流れは考え難い。

ありうるとすれば、プロの投資家がきわめて臆病なせいかもしれない。海外(為替)のポジションも株のポジションも望ましいとは思えないので、円という現金か、それに近い日本国債の溺愛に走ろうとしているのかも。そうだとすれば、株式と為替ポジションが同時に縮小されることは十分に考えられる。一番値動きの激しい株式の動きに、為替レートも追随し、縮こまったというわけか。

では、そのようなプロの投資家の行動が尊敬できるのかと問われれば、「ノー」である。そんな臆病なプロの投資家に自分自身の資産の運用を委託しようとは思わない。自分自身で現金や国債を保有すればいいだけだから。プロの投資家を尊敬する気になれるのは、リスクをある程度取り、リターンを上げる瞬間である。そんな格好良い投資家が日本市場から消えてしまったのか。

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