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トヨタのクルマづくりは“個別対応”から“共用化”へ

いま、クルマづくりが大きく変わろうとしています。 モジュール化の取り組みが、それです。

もっとも「モジュール化」は、 企業によって、同じ方法でも呼び方が違ったり、 逆に、別のことを同じ言葉で呼んでいたり、 結果は同じでも、アプローチが違ったりして、 その実態がよくわからないといわれています。

そこで、ここでは、「個別対応から共用化へ」という視点から、 モジュール化について論じ、 クルマづくりの変化をみていきたいと思います。 ちなみにモジュール化というのは、 一般的にプラットホーム(車台)の共有や、 部品統合などによる共有化をいいます。

まず、モジュール化への取り組みは、 欧州を中心に、80年代後半から行われてきました。 その意味で、モジュール化は、フォルクスワーゲンなど 欧米メーカーが先頭を走ってきました。 当初、日本車に対抗する狙いがあったといわれています。 そして、近年は、新興国での低価格車の切り札とされてきました。 フォルクスワーゲンが中国市場で、 韓国の現代自動車がインド市場で急速に伸びた背景には、 モジュール化が寄与しているといわれています。

現在起きているモジュール化の動きは、事情が違います。 08年9月のリーマン・ショックが引きガネになっています。 日本の自動車メーカーが、これまでのクルマづくりでは、 もはや、市場の変化に対応しきれないと考えた結果、 モジュール開発が浮上してきたのです。

クルマの開発は、従来、車種ごとに行われてきました。 プラットホームをはじめ、エンジンやシートなど、 多くの部品が「個別対応」でつくられてきました。 かりに共有化する部分があっても限られていました。 ただ、リーマンショック前は、世界の自動車市場、 とくに日本メーカーが得意とする北米市場では、 販売台数が年々増加していましたので、 部品をわざわざ共有化しなくとも、 それでも十分利益が出ました。

ところが、リーマン・ショック後に、 自動車をめぐる市場環境は、大きく変化しました。 ご存知のように、需要は一気に冷え込みました。 結果、これまでのように、車種ごとに “個別対応”で車を開発していては、利益が出なくなりました。 日本メーカーは、台頭してきた新興国市場への対応を迫られました。 各国ごとに違う排ガス規制をはじめとする、各種規制や、 市場の顧客ニーズに沿ったクルマづくりが求められました。

先進国用につくったプラットホームを、 新興国で使おうとすると、コスト面からいっても、 規格の面からいっても、合いません。 意匠部品はもちろん、エンジンなども、 地域ごとの「個別対応」で開発するとなると、 開発工数は増加する一方です。莫大なコストがかかります。

こうした問題の対策として、 モジュール化が一躍、脚光を浴びるようになってきたのです。 つまり、車種や地域ごとの「個別対応」から、 車種も地域もまたぎ、プラットホームをもまたいで、 できる限り、部品を共用化しようという考え方です。 いってみれば、車種や地域の「部分最適」から、 自動車メーカー全体を考えた「全体最適」への転換です。トヨタがいま取り組んでいる “TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)”がそれですね。 トヨタはフォルクスワーゲンに負けないように、 徹底したモジュール化を進めています。 その第1号が15年に出る、次世代のプリウスです。 また、日産がルノーと進めている。“CMF(コモン・モジュール・ファミリー)”も同じ試みです。以上、少し急いだ説明になりました。 ただ、日米欧韓など、世界中の自動車メーカーは、 すでに、“個別対応”から“共用化”へと舵を切りました。 “モジュール化戦争”が勃発しているのです。 モジュール化によりコスト削減できた資金を、安全やエコ対策など、商品力や品質向上に活用しようとしているのです。 これは、設計、開発、調達、生産、 あらゆる場面に影響を与える、イノベーションだと思います。 クルマづくりの大転換です。注目していきたいと思います。 

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