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過剰暴走する安倍首相と同伴者たち

集団的自衛権の解釈変更を決めるのは、政治の最高責任者である首相だーー衆議院予算委員会で安倍首相が自信満々にそう語ったことには心底驚いた。憲法の立憲主義を首相が否定したことに、野党や学者だけでなく、自民党内部からも批判が起きている。

民主党議員が質問したとき、テレビの中継でも映っていたが、安倍首相は自分の席から延々と不規則発言を続けていた。音声こそほとんど流れなかったものの、「最高責任者なんですから」という言葉はかすかにマイクが拾っている。歴代首相の態度のなかでもきわめて珍しい。

この日だけではない。わずかなヤジに耐えることもできず、すぐに反応するのは、もはや常態だ。よほど気分が高ぶっているのだろう。とても危ない。一人の人間の精神状態だけなら、それは周囲が注意すればいい。しかし一国の最高責任者が本会議では民主党議員への答弁を意識的におざなりにし、多少のヤジに過剰に反応、さらには立憲主義まで否定していくなら、日本はさらに危険水域レベル4入ったと言わなければならない。政治の私物化だ。

百田尚樹さんが南京虐殺などまったくなかったなどと歴史を堂々と偽造する異常な自信も、首相の暴走と連動している。いずれも思わぬ「成功」におぼれることで謙虚さと地道さを失ってしまったのだろう。

それと対照的なのが、たとえば旭酒造の桜井博志社長だ。昨夜、都市センターホールで獺祭の新酒会があった。私は最初の催しから出席している。いまや世界に進出する獺祭だ。テレビ番組でも取り上げられ、世評が高まっていても、桜井社長とスタッフの態度に奢りはない。あくまでも謙虚なのだ。桜井さんの『逆境経営』が明日の朝日新聞の書評欄に掲載される。山口県の小さな酒蔵が飛翔し、いよいよパリにも進出する。

「魔法によって何かを楽しむ者は、幸福の自覚のなかに含まれているヒュブリスから逃れる」(ジョルジョ・アガンベン)。

ヒュブリスとは傲慢ということだ。権力(魔法)を私物化し、強権的に行使する安倍首相やその庇護のもとで増長し、吠えるばかりの百田尚樹さんたちと比べ、何と異質であることだろうか。

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