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「命を守る東京」へ舛添都知事への注文

舛添要一氏が都知事選で圧倒的な勝利を収めてから、1週間が経った。都民の一人として、舛添都知事には、都民の生活に直結した都政を是非、お願いしたい。

東京は人口過密化による居住環境の悪化が切実で、住人の高齢化による高齢者ホームの問題や待機児童問題など、それこそ難題が山積している。「少子化」をいくら嘆いても、子供を育て、老人が幸せに過ごすことができない環境でそれが「解決」されるはずもなく、これらの大問題に対して、新都知事がひとつひとつをどう解決していくか、注目したいと思う。

その意味で、都知事選の争点が「原発ゼロか、否か」といった“国政問題”になりかかった時、私は都民の一人として「もっと都民にとって切実な問題」を議論して欲しい、と思ったものである。

私は、「命を守る東京」というキャッチフレーズを新知事には掲げて欲しいと思っている。都知事の最大の使命と責任が、「都民の生命・財産」をいかに守るか、というものであることは論を俟(ま)たないだろう。その観点から、是非、都知事に注文したいことがある。

それは、やがて来るであろう「東京直下型地震」への対策だ。数多く注文はあるが、今回は、「瓦礫の下の都民の救出」という観点で注文してみたい。私は、これまで阪神淡路大震災や東日本大震災など、地震取材をやってきた経験がある。

多くの被災者に話を伺っており、実際に瓦礫を前にした経験から、私には思っていることがある。激震によって家屋が倒壊した時、その瓦礫の中から生存者を救出することは極めて難しい。なぜなら、取り除かなければならない家屋の「重さ」は凄まじいものだからだ。

私は、これまでの震災で、自宅の前で「茫然と立ち尽くす」被災者の姿を数多く見た。それは、文字通り、「何もすることができず」、ただ「立っている」のである。崩れた家屋の重さは人間の力でどうこうできるものではない。

たとえ自衛隊員が“素手で”やって来ても、圧倒的な瓦礫の前では、同じように立ち尽くすしかない。この時、主役になるのは、あくまで「重機」である。いわゆる瓦礫や土砂の除去に威力を発揮する“タイヤショベル”だ。

私は東京直下型地震で首都が壊滅的な被害を受けた時、「救出」は自分たち自身でやらなければ、瓦礫の下になった人々の命を助けることはできないと思っている。

それは、東京の人口があまりに多く、エリアも広大すぎるからだ。東京都民は、1329万人もいる。おそらく全国から、あるいは国際的にも数多くの“救出の手”が差し伸べられるだろうが、それでもほとんど自分たちのところにやって来てくれると思わない方がいい。

1329万人という数字は、それほど膨大だ。激震で倒壊家屋の下になった人々を救出するのは、その地区の住民自身であり、そして、それには、「重機が不可欠」なのだ。災害における人命救助の目安とされる「72時間」以内に、残念ながら外部から運ばれてきた重機が自分たちのところにやって来てくれる可能性は「極めて小さい」と言わざるを得ない。

では、どうしたらいいだろうか。それは、日頃から「近くに重機を置いておく」しかないのではないか、と思う。そして、それを動かせる人を住民の中から「登録」しておき、その人たちに防災の日に必ず試運転してもらい、「もしもの時」に備えるのである。

都の建設局の2013年4月の調査によれば、東京には、1万か所を越える数の公園がある。国営公園や都立公園、区市町村立公園が7688か所、区市町村が設置する児童遊園などの都市公園以外の公園も3529か所ある。合わせれば、実に計1万1217か所もの公園が東京には存在するのである。

これらの公園に、タイヤショベルなど重機を置いておくことはできないだろうか。その防災倉庫の中には、もちろんツルハシやスコップもできるだけ置いて欲しいと思う。重機が、1台100万円するなら1万台で100億円、1台200万円なら、1万台で200億円ということになる。

大変な出費には違いないが、「もしもの時」に備えるためなら、きっと都民も賛成するだろう。そして1万台もの重機が“備蓄”されるなら、日本中どこで大きな地震が起ころうと、これらを運べば、沢山の人たちの救出に役立つだろう。オリンピックの施設を建設するだけでなく、こういう災害対策にも、是非、新都知事には頑張って欲しい。

私は、都内の住宅密集地を歩くたびに、「ここが激震に見舞われたらどうなるだろうか」と考えてしまう。そして、これまで取材してきた被災地の悲惨なようすが思い浮かぶ。舛添知事には、是非、「命を守る東京」というキャッチフレーズのもとに、都民の「生命」を第一に考え、そのために手腕を発揮して欲しいと思う。

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