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脱原発〜「現象」ではなく実態を正確に伝えるリーダーシップの不在がもたらす混乱

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イタリア原発政策
国民投票で原発再開凍結へ
国内原発政策
反原発は「集団ヒステリー」発言

イタリアの状況は、ドイツや日本とは大きく異なる



 原発再開の是非を問うイタリアの国民投票は、13日、原発反対派が9割を超えて圧勝し、新規建設や再稼働が凍結される見通しとなりました。投票不成立を目指したベルルスコーニ政権への大きな打撃です。

 今回のイタリアの国民投票は、原発の是非を含め4つの議案が題材となっていました。ベルルスコーニ首相の免責を求める法律改正も含まれており、総じて言えば「反ベルルスコーニ投票」だったと言えるでしょう。

原発に関しては9割以上の反対となり、世界中への影響が予想されます。原発への依存度が高いフランスでは、もはや脱原発の選択肢を取ることはできない状況です。

ゆえに今回のイタリアの国民投票を受けて、フランス国内では「自分の国だけ原発を放棄し、フランスからエネルギーだけ購入するのは、イタリアは都合が良すぎるのではないか」という不満が出てきているとも聞きます。

さらにはフランス国内でも、「本音を言えば、国内で原発は抱えたくない。フランスでも国民投票で原発の是非を問うべきだ」という意見もあるそうです。

日本に目をむけると、イタリアのニュースを受けて、やはり同じように日本国民にも原発の是非を問うべきだという意見があります。

しかし、この種の意見を述べている人の多くは「実態」を理解していないと私は見ています。

 イタリアの原発は全部で4基ありますが、この4基はすでに停止しています。今回の投票でイタリア国民に問われたのは、「今ある4基は永遠に停止とし、その上で新しい安全な原発を4基作る」というベルルスコーニ首相の提案です。

 この実態を理解していれば、イタリア国民の9割以上が反対するのも頷けると思います。今稼動している原発を止めるかどうかという判断ではないからです。この点、ドイツや日本では全く条件が違います。

 ドイツの原発の中にはイタリア同様すでに停止しているものもありますが、「一時的に」止めているだけというものもあり、それを永遠に停止するかどうかは難しい判断になります。

 日本の場合にはさらに難しい状況なのは明らかです。イタリアと日本の実態の違いを理解せずに議論を進めても、意味はないと私は思います。

 また原子力発電の是非を問うなら、同時に電気料金の値上がりについても議論しなくてはいけないと思います。

 例えば、2007年の主要国のkWhあたりの家庭用電気料金を見ると、イタリアよりも高額なのは、原子力発電の割合が低くクリーンエネルギーを主体とするデンマークとオランダだけです。

 日本はイタリアの75%程度で、米国・韓国は半額以下です。韓国は政治的な補助によるもので、米国の場合には自由競争の結果の低価格
 になっています。

※「主要国のkWhあたりの家庭用電気料金」
→ → 
画像を見る

 デンマークやオランダを見れば分かるように、クリーンエネルギーは高額です。ソフトバンクの孫社長をはじめ、クリーンエネルギーを推し進めようとしている人は多いのですが、この料金問題についてもきちんと議論すべきでしょう。

 現在、日本の太陽光発電、風力発電はどちらも全体の1%にもなりません。これらを20%程度まで引き上げるとなれば、相当大変です。太陽熱・風力による発電では、電気料金は格段に上がることを覚悟すべきでしょう。

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