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都知事選が終わって

2月9日投開票の都知事選は、舛添氏の圧勝に終わった。応援していた細川氏が敗れたのは残念であったが、いくつか気になることがあった。
その最大は、元航空幕僚長の田母神俊雄氏が61万票も獲得したことだ。メディアでは、保守系の票が案外と舛添氏から田母神氏に流れたのではないか、とりわけ20歳代の若者の投票は、第1位が舛添氏で第2位が田母神氏となっていると分析し、若者の保守傾向が続いていると報じている。田母神氏が61万票も獲得したことに、いささかショックを受けた感じでもあり、何であんな極端なことを言っている右寄りの人がそんなに票を獲得するのかといぶかしく思ってしまう。

私も、基本的には若者の保守傾向が続いていて、とりわけ都知事選では顕著な傾向ではないかと思っている。しかしよくよく分析をしなければそう単純には決めつけられないとも感じている。

若者は現状肯定型ではなく、現状に不満がありその変革を求めている、というのがこれまでの一般的な見方であり、年をとるにつれて革新系から保守系に変わっていくとされてきた。しかしこの傾向にも変化が少しずつ見られるようだ。
若者は残念ながら必ずしも革新系ではなく、やや保守的な傾向が出てきているようだ。しかし、それだけでは分析としては不十分だと思う。

最近の20代、30代は、ひとつには物事を単純化して考える傾向が強くなってきているのではないかと思う。要するに自分にとってプラスかマイナスか、〇か×か、敵か味方か、右か左かといったように物事を単純化して判断しがちではないか、と思う。この傾向は、小泉政権以降、特に顕著になっていると思う。
敵を作ったり敵を見たててそれを叩く。誰しも万能の神ではないから良い点もあれば弱点もある。その弱いところを叩かれることになる。叩く方はある意味痛快だ。しかも叩くことが自分に跳ね返ってこなければ気楽に叩けてますます溜飲を下げることになる。世の中何かと不満もあるが、こうして弱点を見つけ出し、敵をた叩くことの単純な痛快さによって多少の憂さ晴らしになる。とりわけその傾向は若者に多いのではないかと思う。

年をとってくると、世の中そう単純ではないこと、単純に敵か味方かで区別できないことも多いことに気がついてくる。賛成でもなければ反対でもない、そういった問題もあり、やや曖昧ではあってもその中間形態や中庸が大事ではないか、といった感覚が身についてくる。
しかしなかなかそういった中庸的なバランス感覚や判断は、論理的な説明をするのに複雑でもあり時間もかかるし、理解を得るのも容易ではないことが多い。そうなるとあっちを立てたりこっちに配慮したりと、どっちつかずではないかという批判が出てくる。

最近の傾向は、安倍総理にしても橋下大阪市長にしても、単純明快、日本は悪くない、相手が悪い、中国や韓国が悪い、などと言っておけばそれなりに理解されて一定の支持が固い。
しかし単純明快は逆に危険でもある。右か左か、保守か革新かということではなく、物事を正しく理解し判断するために、より総合的なものの見方をしなければ、社会の安定にもつながらないし、世の中がますますギスギスして、お金持ちか貧乏人か、支配する者か支配される者か、都市か田舎か等という格差や差別が助長されるだけとなってしまう。

もうひとつの若者の傾向は、経済優先ということだ。以前はほとんどが正規社員で定年まで割合安定した生活が予定されていたが、今は非正規社員が増大し、不安定な生活の中でなかなか将来の展望が見えてこない。そうなると何だかんだと言ってもやはり安定した経済的にも恵まれた方向への願望が強くなることはいわば当然だ。
物事の単純化と経済優先。これが特に若者での傾向だと感じている。

色んな格差や差別が出てきて、世の中が不安定になってくると、どうしても物事を単純化して判断しがちになり、またお金が優先だとも感じられてしまう。そしてそうした時代には極端な意見が出てきて、それが案外受け入れられてしまう恐れがある。その典型はドイツでのナチスだ。日本は決して真似してはならない道だが、危険な兆候が出てきている。

常にこうした傾向には警鐘を鳴らし続けなければならないと、今回の都知事選では痛感した次第だ。

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