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名護市の民意無視する安倍政権――辺野古埋め立て公告 - 尾崎孝史

稲嶺進氏が大勝し、「基地はNO」との民意が明確に示された沖縄・名護市長選(1月19日)。選挙戦終盤、自民党の石破茂幹事長が500億円の名護振興基金をぶちあげたが、一人あたり81万円に相当するこの札束攻撃を、名護市民は見事に跳ね返した。

 しかしその2日後、沖縄防衛局は名護市辺野古での基地建設に向けた受注業者を募る入札を公告した。寝耳に水の事態に稲嶺市長は、「地元の意見をないがしろにしている。とても納得できない」と不快感をあらわにした。

 今回防衛局が公告したのは、サンゴやジュゴンの調査、そして工事用作業ヤード(資材置き場)の設計だ。防衛局が作成した図面によると、作業ヤードとして埋め立てるエリアは三つ。海の祭典ハーリー大会が毎年開かれる松田ヌ浜(A区域)と、稀少生物が生息する辺野古川河口の両岸(B、C区域)で、総面積約600平方メートル。埋め立ては強行されるのか。民意など眼中にない当局の姿勢を象徴する場面に出くわした。

 投票日の2日前、辺野古の丘に黒塗りの車2台が現れると、中から6人の男が出てきた。彼らは埋め立て予定地を見渡しながら、念入りに打ち合わせを始めた。

「何をしているのですか?」

 私が問いかけるや否や、背広の男は車に駆け込み現場を去った。それを見送る作業服の男は、名護防衛事務所の平良眞和所長。選挙の結果を待つことなく、建設会社の幹部を案内していたという。

「埋め立ての許可は知事からすでにいただいている。市民は工事の邪魔をしないでほしい」と話す。 松田ヌ浜には東京の建設会社の会長も視察に。「昨年末、ゼネコンから依頼を受けた。政府は先手を打って動いている」と、滑走路予定地に目をやり自慢げに話す。

 入札の開札日は3月24日。新基地建設へ向けた工事を阻止できるのか。島は正念場の春を迎える。 

(尾崎孝史・写真家、1月31日号)

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