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原発事故〜コミュニケーション不足が引き起こした人災

農畜産物被害野菜から放射性物質検出で摂取制限指示
水道水汚染水道水から放射性ヨウ素
海水汚染近くの海水から放射性物質
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▼汚染についての政府の伝え方がパニックを引き起こした
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厚生労働省は23日、福島県など4県に対する一部農産物の出荷停止措置を踏まえ、宮城県など隣接する6県に対しても農畜産物の放射性物質検査を実施するよう指示しました。

同日、茨城県内5市村の水道水から、乳児向けの暫定規制値(1キロ当たり100ベクレル)を超える放射性ヨウ素が相次いで検出されています。

また経済産業省原子力安全・保安院(NISA)は26日、東京電力福島第1原子力発電所の放水口付近の海水から、法定の濃度限度を約1250倍上回る放射性ヨウ素131が検出されたと発表しました。

野菜、水道水、海水と相次ぐ汚染報道に、日本中が騒がしくなってしまいました。どうしてこのような事態が生じたのか?と考えてみると、やはり「すでに炉心溶融(メルトダウン)は起こっていたのだ」と判断するべきだと私は思います。

こうした事態の中、政府の対応にはいくつかの「過ち」があったと私は見ています。まず「避難勧告が曖昧だったこと」です。

例えば、私ならば次のように指示をします。

・現段階では原子炉の直近地域以外なら24時間〜48時間ほどの帰宅なら安全
・長期的の避難になるので、引越しを覚悟して今必要に応じて帰宅して準備をして欲しい

このように明確に伝えれば問題はなかったと思います。

風評による問題も含めて、フードチェーンの被害が拡大していますが、これも要注意です。

ロシアのチェルノブイリ原子力発電所事故の際にはフードチェーン被害は欧州全体に及びましたし、米国のスリーマイル島原子力発電所事故の後も被害は大きく広がりました。

この点でも、日本政府の発表には問題があったと私は思います。「放射線量の説明」「出荷停止・制限」に言及し、「国民の皆さん注意してください」と言われてしまったら国民の不安感情は高まるだけです。

さらには、福島・茨城に対しては全面的に出荷停止を命じてしまいました。これがさらにパニックに拍車をかけ、被害を拡大してしまった原因だと思います。

国民の不安を煽らないためには次のポイントを説明すれば良かったのです。

・年間許容量を超える放射線がほうれん草から検出された
・ほうれん草を毎日1年間食べ続けると問題が出るかもしれない
・念のため、食べる前に水でよく洗うこと
・生産者は出荷ごとに検査を受けること
・検査の結果、特に数値が高い出荷ロットに関しては出荷を控える

このように伝えていれば、スーパーからほうれん草やペットボトルの水がなくなってしまうというパニックは避けられたと思います。

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▼問題が多い計画停電は人災だ
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今回の日本政府の対応の中で最大の過ちは、東京電力の「計画停電」を許可したことです。計画停電による経済的なダメージは、想定の範囲を超えていると私は感じています。そもそもピーク時の電力を抑えることができれば良いのに、「節電」と勘違いした「行き過ぎた自粛」が散見されます。

交通機関は運行量を制限し、築地に行っても魚も野菜もなく、公共の建物を利用したコンサートなどは軒並み中止という始末です。関西方面にホテルを借りきって“疎開”する人も出ているようです。

これらの中には本来必要のない「自粛」があります。それによって莫大な経済的な損失が生まれています。「これは東電が作り出した人災」だと私は声を大にして言いたいと思います。

東電が正しく説明をして、ピーク時の電力量を下げるための施策を考えれば、乗りきれる事態です。私に言わせれば、朝早くから計画停電を実施しても意味はないですし、今のところ週末も節電の必要性は薄いはずです。

この計画停電は今年の冬まで継続の見通しとのことですが、「全力」でこれを阻止する必要があると思います。

試算すれば分かりますが、火力発電所の復旧や東西電力グリッドの結合などによって夏までに確保される電力を考慮すると、現状から最大で約25%程度の電力の削減を実現できれば良いのです。

「サマータイム2時間」「事業所の操業曜日の平準化」「夏の甲子園中止」「大口料金のアップ」など、私は削減策をいくつも提案しました。

このようなアイデアを広く募集して、可能なものから実現していけば良いと思います。それだけで「25%の電力削減」を実現することは可能でしょう。

また政府は22日、東日本大震災の復興に向けた施策を統括的に担当する「復興庁」を設置する方針を固めたとのことですが、本当に必要なのは「省庁」ではなく「ビジョン」だと思います。

阪神淡路大震災の後、神戸は復興しましたが、まさに「復興」しただけであり、「新しい神戸の街」として生まれ変わってはいません。これは「復興」を目的としたためです。東北についても同じことが言えます。

高台に設計する新しい街、これまでに類を見ないコンセプトの漁港など、新しいものを創る「ビジョン」があれば、今だからこそ色々なことが実現できるはずです。

ぜひ「復興」にとどまらず、新しい「ビジョン」を持った人がリーダーとして立ち上がって、新しい東北を創りだしてほしいと願っています。

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