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現実を見ないで空想を語るのが勇気か?


松原聡氏の明快な論旨と立場をごまかさない姿勢には敬意を表しますが、この発言はいくらなんでも間違いだらけだと思います。

「国の未来を思った」から「勇気をもって闘った」から褒められるというのは、何の影響力もない一市民がボランティアで何かを成し遂げようとするときくらいにしてほしいものです。仮にも元首相が世間への影響力を背景にして現実の生々しい経済活動に大きな転換を迫る活動をするからには、それなりの研究と成算を持ってしていただかなければ老醜・老害としか言いようがありません。

細川氏を強力な人気で後ろ盾した小泉純一郎氏は、「「原発ゼロ」という方針を政治が出せば、必ず知恵のある人がいい案を出してくれる」と言い放ちました。政治が出す「方針」には何の科学的根拠も経済合理性も必要ない、大事なのは気合と決断だ、ということのようです。であるならば、「「原発事故ゼロ」という方針を政治が出せば、必ず知恵のある人がいい案を出してくれる」から「事故の起きない原発依存社会を作る」と言ってもいいわけです。そこに科学的根拠も経済合理性も必要ありません。

その点、細川氏は小泉氏よりも若干は方針らしきものを示しました。つまり、原発をなくして経済成長しなくてもいい、人口減少に従って日本は経済的に貧しい国になっても心の豊かな暮らしができればいい、と言っていました。

つまり、細川氏の目指す将来の日本において、現在の日本経済は絶頂にあると言えるのでしょう。将来の日本な心は豊かかもしれないが、経済的には今より格段に貧しくなっていく、その選択を政治がする、ということですから。

だとすれば、細川氏にはぜひとも言って欲しいことがありました。それは、年金・医療・介護・各種シルバーパスといった老人福祉を大幅にカットすることです。経済的に貧しくなる将来の老人と少しでも公平性が保てるように、今を生きる老人への給付を最大限カットし、将来の蓄えの足しにすると宣言すべきでした。お金がなくても心豊かに生きることができるなら、十年先に実現する必要などなく、今すぐにでもできるはずです。

老人福祉のカットこそ、政治が決断すればすぐにでもできることです。細川氏はそれを言ったのでしょうか?言わなかったとすれば、なぜなんでしょうか?

結局のところ、細川氏は日本の未来を思って立ち上がったわけでも、勇気をもって戦おうとしたわけでもなく、単に選挙民に向かって甘言を弄して支持を集めることができれば根拠もナシに理想社会が築けると判断したのでしょう。

原発は怖いからゼロにすると言ってくれ、老後は不安だから政府が保障すると言ってくれ、そうした「自分は何の責任も負わずとも社会は自分の気分のいいように動いてくれるはずだ」という「わがまま民主主義」とそれに呼応した政治家もどきの愚かな主張でしかないのです。

細川・小泉コンビに「晩節を汚す」は極めて優しい物言いだと私は感じます。日本社会の改革を託されて首相の座についた両者であるならば、ここまで無根拠で身勝手な主張を繰り返すのは「害悪をまき散らす」「老醜をさらす」と言われても仕方ないのではないでしょうか。

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