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病気の子供はいないんだ

 昨年は、年齢を約20歳若く運転免許証の生年月日部分を書き換えたとかで捕まった人がいました(参考、叶姉妹が好きです)。なお運転免許の所持者は実年齢50歳の女性で、年齢を若く偽って風俗店の求人に応募し、採用されていたそうです。免許証に記載されている年齢よりも大事なものがあるのではないかと思わないでもありませんが、見た目とは全く一致しないグラビアアイドルの公称スリーサイズに興奮する人だってたくさんいるわけです。人それぞれ、気になるポイントは異なるものなのでしょう。
日本コロムビア、佐村河内氏に「大きな憤り」 別人作曲には「驚愕」(ORICON STYLE)

 佐村河内守(さむらごうちまもる)さんの楽曲が別人によるものだとわかった5日、関係者に衝撃が広がった。

 レコード会社の日本コロムビアは、CDの出荷停止とネット配信の中止を決めた。店頭に並んでいる商品については、今後対応を協議するという。同社は「驚愕(きょうがく)しており、大きな憤りを感じております。商品の発売元として責任を痛感しており、深くおわび申し上げます」とコメントした。

 佐村河内さんの作曲とされてきた交響曲「HIROSHIMA」と「ピアノ・ソナタ第1番&第2番」は全国で公演中だ。コンサート制作のサモンプロモーションは「本人から説明を受けていない。事実なら、コンサートはすべて中止する方向」という。4月に予定していた東京の清瀬けやきホール(清瀬市)、成城ホール(世田谷区)、江戸川区総合文化センター、千葉県の流山市文化会館は中止を決め、払い戻しの準備を始めた。
 ……で、全聾であることが大々的にアピールされて売り込まれてきた作曲家がいて、その実はゴーストライターの作品だったことが暴露されて話題になっています。作曲者が全聾というところにロマンを感じてきたファンにとって、本当の作曲者が普通の中年男性とあっては萎えてしまうものなのかも知れません。予定されていたコンサートも続々と中止、販売されていたCDも軒並み店頭から引き上げられるなどの動きが続いているそうです。挙げ句の果てには佐村河内氏の奥方の母親まで「(娘には)早く離婚して、私が生きている間に広島に戻ってきてほしい」云々と言い出したとか、金の切れ目が縁の切れ目とはよく言ったものです。

 もう随分と昔のことになりますが、文芸誌の新人賞の最終選考に残ったことがあります。5人の選考委員の内2人までは推してくれたものの、残念ながら最後の最後で落選しました。もし著者である私が現役女子高生であったなら新人賞の受賞は間違いなかった、新人賞受賞に止まらず速やかに単行本出版までこぎ着けていたであろうなと、綿矢りさが持て囃されているのを横目に見ながら思ったものです。まぁ、普通の中年男性と全聾の作曲家とでは市場価値が違う、男子大学院生と現役女子高生とでは市場への訴求力が段違いですから仕方がありません。

 ゴーストライターが決して珍しいものでは今さら言うまでもないでしょう。より「売れそうな」人を看板に立てて、代わりの人間に本を書かせるなり曲を作らせるなり、まぁ昔からよくあることです。名演説と語り継がれる代物だって、実際に原稿を書いているのは登壇した政治家とは別の人みたいなケースも普通にあるわけです。だからといってゴーストライターが自分自身の力で社会的な成功を手にできるかと言えば話は全く別で、単に実力があれば済むものではない、看板を引き受けてくれる人だって大切と言えます。その辺、レコード会社であれば当然のように心得ているはず、佐村河内氏のCDを販売している日本コロムビアがゴーストライターの存在を本当に知らなかったのか、この辺は大いに疑わしいと思います。

 実際の作曲者は桐朋学園大非常勤講師の新垣隆氏とのこと。作曲料は随分とリーズナブルな額で報酬の取り分を巡る諍いが邪推されなくもありません。もっとも、所謂クラシック音楽の世界では前衛音楽のテンプレに沿った「わかりにくい曲」を書かないと評価されにくい、佐村河内名義の曲のように「わかりやすい曲」はクラシックというジャンルにおける現代の作品としては一般に低く扱われるもので、新垣隆氏にとっても愛着は薄そう、どうでも良いアルバイトで作った曲であって、そこに支払われる報酬よりも変に持ち上げられることへの良心の呵責の方が大きいと言われれば、何となく納得できるところはあります。

 まぁ、佐村河内氏を「現代のベートーベン」などと賞賛してきたメディアや評論家、イベント企画者側の欺瞞性は意識されてしかるべきでしょう。改めて新垣隆氏を「日本のベートーベン」とでも呼んで大々的に売り出すのならともかく、そうでないのなら純粋に優れた作品を紹介してきたのではなく、話題性のある「売りやすい」作品をゴリ押ししてきただけということになりますから。視聴者サイドも似たようなもの、作曲者が全聾でないことが分かれば見向きもされなくなる、曲そのものの商業的な価値が今後どうなるかは「ファン」の側の程度を知らしめるものとも言えるでしょう。

 ちなみに食品表示偽装だのが世間を騒がせもしたものですけれど、今回の一件で消費者庁は動いたりするのでしょうか? 「全聾の人が障害を乗り越えて作曲しました」というのが売り文句であったのに、「実は普通の人が作ってました」と分かれば、それは食品でないと言うだけで立派な偽装です。私は美味で安全であれば食品の産地が実際と異なっていても構わないですし、有機栽培だろうが一般的な栽培であろうが気にしませんが、そうでない人もいます。世間の反応を見るに、作曲者の耳が聞こえるか聞こえないか、その辺を大いに気にする人だっているはずです。作曲者が全聾かどうかで楽曲の価値は大違い、消費者庁の出番ですよ!

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