記事

普天間基地問題をきっかけに多様な意見を健全に戦わせる態勢へ

議論後に議論前の結論に至ることにも価値がある リンク先を見る」と「普天間基地問題における三つの勘違い リンク先を見る」では普天間基地問題について私見を書いてきました。記事には合わせて約35個のコメントがつけられ、BLOGOSに転載されている記事も合わせると、合計100以上のコメント(33コメント52コメント)を頂きました。政治的な話題では、批判的なコメントも多かったですが、このエントリでは普天間基地問題に関して自分の意見をまとめておこうと思います。

議論後に議論前の結論に至る方が価値が高い



議論後に議論前の結論に至ることにも価値がある」のエントリでは議論した後に、議論する前の結論になってもそれはそれで価値があるという意見を書きました。「内田樹の研究室」ではそれより一歩進んで、議論後に議論前の結論に至る方が、価値が上がるという例が挙げられていたので紹介します。いわく、抑止力というのは疑心暗鬼によって起こるので、散々騒いだ結果の決断は、日本を侵略する勢力から見ると重い決断に見えるという意見です。日本を攻める側から見てみると、そこに最もあって欲しくないものがあるという前提で作戦を立てることになるそうです。
普天間 「それ」の抑止力 (内田樹の研究室) リンク先を見る

あるのかないのかわからないものについては、それが危険なものであれば、とりあえず「ある」ことにして対応する、という人間心理のことである。「それ」について黙っていれば、「日本国内には強大な抑止力があるかもしれない(ないかもしれないけど)」という疑心暗鬼の状態に東アジア諸国を置くことができる。

うまくすれば、「それ」がないまま何十年か、「ある」ふりをして「はったり」をかますことができる。
普通に読めば「それ」は核兵器だということになりますが、核兵器が沖縄にあることの価値は軍事に詳しいブロガーから否定されています。それでも、日本を攻める側が沖縄に基地を置くという日米の結論を重く見て、あって欲しくないものがあるという疑心暗鬼にかられることはあるかと思います。「議論後に議論前の結論に至ることにも価値がある」のエントリは、いろんな政策全般について書いたものですが、普天間基地問題のように相手に疑心暗鬼を起こさせると価値がより上がる議論もあることに気づきました。

欲しくても必要なくとも「要らない」と言った方がいい



軍事的に見て、沖縄に基地が必要なのか必要ではないのかは、よく分かりません。それでも必要でも必要でなくとも、「必要ない」と言った方が交渉が有利になることは分かります。基地が必要ない場合は、まず「必要ない」と言うことが第一歩となります。逆に、基地がどうしても必要であっても、「どうしても欲しい」と言ってしまうと、日本側の交渉力は大幅に弱まってしまいます。欲しいといってしまうと、足元を見られることになるからです。基地が必要な場合にも、まず「必要ない」と言ってから、米国がどうしても必要だったら置かせてあげても良いというふうに持っていった方が交渉が有利になります。交渉が有利になれば、思いやり予算と呼ばれることのある「日本側負担駐留経費」(現在までに総額3兆円超)を減額できたり、今度暴行事件を起こしたら出てってもらうよと言うような米軍に対するプレッシャーにもなります。

交渉ごとでは、とりあえず欲しくとも欲しくない振りをするのは常套手段です。その点、今回の騒動では、代替予定地になったところでは反対運動が起きてますし、基地が日本国民に望まれていないことがアピールできたことは今後の交渉を有利に進められる可能性があります。普天間基地問題における三つの勘違い リンク先を見るでも述べましたが、アメリカにとってはこの問題は優先事項ではないので、多少の譲歩は望めるかもしれません。

今回の基地問題では、1)議論して結論を出したこと、2)疑心暗鬼による抑止力アップ、3)米国に対する交渉力のアップ、となかなかの成果があったように思います。首相に対するバッシングをみている限り、有権者がそれを評価するかどうかは別問題だと思いますが。

対立する意見にバカといわない議論が将来必要になる



過去2個のエントリとこのエントリで見てきたように、論点が存在する問題については、既定路線派にも新規路線派にもそれを正しいといえる論理があります。このことは「議論後に議論前の結論に至ることにも価値がある」では以下のように山登りに例えて紹介しました。
保守と革新の話は、登山に例えると分かりやすいと思うので紹介します。国民はなるべく高いところに登りたいのですが、高く登るには二つの方法があります。 一つは、傾斜が上に向いている方向に進むことです。こうすれば絶対に今より高いところへと進んでいくことができ、国民は満足します。もう一つの方法とは、 今登っている山が一番高い山かどうか考えることです。歩みを止めて周りを見回して考えてみます。今登っている山より高い山があれば、そちらを登り始めます。
来た道を登っている人には確かな位置の向上が見えていて、その道を登らない理由が見当たりません。逆に、その道の先が崖になっていることが見えて、隣に高い山が見えている人は、その山をまだ登ろうとしている人を止めたくなります。どちらも依って立つ理論があるので、見方によってどちらも正しいのです。

しかし現在、どちらも正しいと問題を複雑に考える人はあまりいなくて、日本の政治は瞬間的にエンターテイメントとして消費されるだけのコンテンツになっていると感じます。例えば、首相の馬鹿はこんなことも分からないのかと罵倒しながら優越感に浸り、権威ある米国の新聞が首相をルーピーと呼べば、やっぱり首相は馬鹿だと言った俺の方が正しかったと悦に入ります。その他、「やっぱり東大もスタンフォードも博士も馬鹿は馬鹿だな。必要なのはやっぱり(俺みたいな)正しい判断ができる知性だよ」、「えっ、そんな漢字も読めないの?俺なら小学六年生の時には読めたな。」とか、「カップラーメンの値段が分からないなんて相当な馬鹿だな」と優越感に浸るためだけのモノです。もちろん、民主主義ではどのような意見も必要な構成要素なので、瞬間的に優越感を生み出すエンターテイメントとして消費すること自体は、必ずしも否定されるべきだとは思いません。ただ、本当に重要なことを決定するために議論を先に進める要素ではないだけです。

今後の日本は、衰退する米国と台頭するアジア、結束する欧州という新事態に対処するために、いつかの時点で大転換を決定をする必要が生じると思われます。また、少子高齢化問題、労働問題、年金問題などなど、既存の考え方をがらっと転換する必要に迫られます。そういったときに、今までと違う考え方を愚かだと決めつけることなく、損得勘定を分析できるようになる必要があります。普天間基地問題における三つの勘違い リンク先を見るでは、普天間基地問題は上に挙げた問題に比べれば、些細な問題だと書きました。今後必要となる、多様な意見を健全に戦わせる態勢を構築する準備として、こういった多少小さい問題でトレーニングしておいた方が良いと思われます。

トピックス

ランキング

  1. 1

    小池知事をバッシングする愚かさ

    青山まさゆき

  2. 2

    政府の布マスク配付は「良策」

    青山まさゆき

  3. 3

    日本で感染者爆発は起こるのか

    木走正水(きばしりまさみず)

  4. 4

    各国比較 100万人当たり死者推移

    LM-7

  5. 5

    布マスク配布より緊急事態宣言を

    やまもといちろう

  6. 6

    藤浪と会食の若手アナが出勤停止

    文春オンライン

  7. 7

    コロナ疎開 佐久市長の発信支持

    小宮山洋子

  8. 8

    テレ朝番組のコロナ報道にあ然

    小林よしのり

  9. 9

    首相 全世帯に布マスク2枚配布

    ロイター

  10. 10

    通勤で不可避 電車での濃厚接触

    諌山裕

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。