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テロ情報流出に賠償命令――捜査の違法性認めず

「公安捜査の違法性を認めず、情報漏洩の責任だけを認めた。バレなきゃ何をやってもいいのか」。イスラム教徒(ムスリム)というだけでテロリスト扱いされ、個人情報を収集された原告の弁護団は会見でそう怒りをにじませた。

 日本人を含む在日イスラム教徒17人がプライバシーや信教の自由を侵害されたとして警視庁・警察庁及び国家公安委員会の捜査の違法性を問うた「公安テロ情報流出被害国家賠償請求事件」の判決が1月15日、東京地裁であり、始関正光裁判長は「国際テロ捜査」の関連文書をインターネット上に流出させた警視庁の過失だけを認め、管轄する東京都に計9020万円(一人につき500万~200万円)の支払いを命じた。

 警視庁公安部外事三課などの捜査関連文書114点がファイル共有ソフトを通じてネット上に流出したのは2010年10月28日ごろ。監視されたモスクの名称や交友関係、教育活動への参加の有無など個人情報が記載され、事実に反する情報も含まれていた。

 判決後に司法記者クラブで会見した原告の外国人男性は「流出された情報はFBI(米連邦捜査局)など世界に回っており、もう4年ほど母国に帰れない。仕事にも影響が出ており、生活と人生をめちゃくちゃにされた。これが誤りだったと世界に発信してほしい」と訴えた。同じく原告の日本人男性は「差別的な捜査自体が間違っていたと認められなかったことが残念。警視庁、警察は非を認め、謝罪してほしい」と話した。弁護団は「テロ対策の名の下、ムスリムをひとくくりにし個人情報を収集するという捜査のやり方が適正だと認められてしまう」と指摘し、控訴する方針だ。

(片岡伸行・編集部、1月24日号)

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