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「陸山会」裁判の東京地裁判決について(2):「西松建設」違法献金事件

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はじめに

(1)「陸山会」裁判の東京地裁判決について(1)では、ほぼ予想通り「有罪」判決がくだされたと書きました。

(2)では、事件を個別に検討してみましょう。

同裁判で問題になった事件は、「西松建設」違法献金事件(判決では「西松建設事件」と表記)と土地取得をめぐる事件(判決では「陸山会事件」と表記)の2つあったわけですが、以下では、これまでの経緯をごく簡単に振り返りながら、「西松建設」違法献金事件だけを取り上げます。

この事件の被告人は、2000年から2009年1月まで陸山会の会計責任者だった大久保氏一人です。

1.「西松建設」自身が認めた違法献金等と小沢一郎公設秘書逮捕

(1)準大手ゼネコン「西松建設」は、OBらでダミーの「新政治問題研究会」(新政研)と「未来産業研究会」(未来研)という政治団体をつくる等して、自民党議員・民主党議員らの政党支部又は資金管理団体などの政治団体に対し約10年間で総額約4億8000万円の寄付またはパーティー券購入を行っていました。

(2)2009年5月15日、「西松建設」は、社内の内部調査の結果(西松建設内部調査委員会「調査報告書及び外部諮問委員会所見について」)を自社のHPに公表しました。

それによると、同社は1995年から、OBらでダミーの政治団体をつくる等して、その「政治団体からの献金を装って政治家個人の政治団体等に献金することを画策した」こと、また同社が「一部の社員に対して特別賞与の名目で金銭を交付し、その代わりに当該社員から年に2回、政治団体への寄附をさせていた」ことを明確に認めたうえで、これらの「行為は、巧妙に仕組まれた脱法行為であって、他に類を見ず、極めて悪質との評価を受けるもの」と結論づけていました。

(3)その報告書公表の2ヶ月余り前の2009年3月3日、東京地検は、小沢一郎民主党代表(当時)の資金管理団体「陸山会」および小沢氏が代表を務める「民主党岩手県第4区総支部」を家宅捜索し、「陸山会」の会計責任者で小沢氏の公設第一秘書の大久保氏や西松建設の前社長ら3人を逮捕しました。
同秘書の逮捕容疑は、政治資金規正法が禁止している企業献金を受けた罪、他人名義の寄付を受けた罪、政治資金収支報告書に虚偽記載した罪。
同月24日、同秘書は起訴され、その虚偽記載額は3500万円でした。

2.「西松建設」前社長の有罪判決と二階大臣(当時)秘書のその確定

(1)自民党の二階俊博経済産業大臣(当時)の場合、同社は2004〜2006年の間、二階氏の政治団体である「新しい波」が主催するパーティー券838万円を、同じ二つのダミー団体名義で購入していましたし、同社役員らは、同社が献金している事実を隠蔽するために「5万円以下の献金は収支報告書に記載する必要がない」ことを悪用して、2006年、2007年に、約60人が5万円ずつの寄付したように偽装し、他人名義で300万円ずつ合計600万円を、同大臣が代表を務める「自民党和歌山県第三選挙区支部」に寄付していました。

(2)2009年4月30日、私を含む36名は、二階大臣(当時)側への違法献金につき政治資金規正法違反で東京地検に告発状を送付しました。

6月1日、東京地検は、私たちの刑事告発のうち「新しい波」主催の政治資金パーティー券の分につき、西松建設前社長を起訴猶予、二階大臣側を嫌疑不十分として、それぞれ不起訴処分にしました。

同月4日、私たちは検察審査会に審査申立てをしました。

同月16日、東京第三検察審査会は、前社長につき「十分な証拠があるのに、起訴猶予は納得できない。」等として「起訴相当」の議決を、二階大臣側につき「記録を見る限り、この関係で捜査が尽くされているとは到底言えないとの印象が強い」から「さらに踏み込んだ捜査が期待されるものと考える。」などとして「不起訴不当」の議決を、それぞれ行ったのです。

(3)小沢氏側に他人名義で違法な企業献金をしていた西松建設前社長の初公判は、6月19日に開かれ、前社長は起訴事実を全て認めたため結審し、判決の言い渡しは7月14日の予定でした。

ところが、東京第三検察審査会の「起訴相当」議決を受け、東京地検は6月26日に一転して起訴する処分を行いました(ただし二階大臣側については再び不起訴処分)ため延期されたのです。

(4)7月17日、東京地裁は「西松は岩手、秋田両県発注の公共工事を談合で受注することを実効的にするため、受注業者の決定に強い影響力を持っていた小沢氏の秘書らと良好な関係を築こうとした」と認定したものの、「寄付は受注の見返りではなく、西松の支払いを公表されないようにする以上の背景もうかがえない」等として、禁固1年4月、執行猶予3年の判決を言い渡しました

(5)12月9日、東京地検は二階氏の秘書を政治資金規正法違反(他人名義の寄付受領行為)で略式起訴しました。

そして、二階俊博氏は自民党選対局長を辞任しました。

(6)要するに、小沢氏側と二階氏側にそれぞれ他人名義で寄付をした西松建設の前社長は、有罪の判決が下され、それを受けた二階氏の秘書は他人名義での寄付を受けたとして有罪になっているのである。

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