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【読書感想】スティーブ・ジョブズvsビル・ゲイツ

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スティーブ・ジョブズvsビル・ゲイツ (PHPビジネス新書)

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スティーブ・ジョブズvsビル・ゲイツ 二大カリスマCEOの仕事力 (PHPビジネス新書)

内容(「BOOK」データベースより)

アップル創業者スティーブ・ジョブズと、マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ。一見対照的ながら、どちらも強烈な個性で時代を引っ張ってきた二人の経営者。そんな彼らを、12の能力から読み解き、比較。その壮絶なる仕事ぶりから経営者としての判断力、部下や外部とのコミュニケーション能力、そしてライバル撃退力までエピソード満載で説く。最強の経営者は果たしてどっちだ。

この新書、書店で平積みにされていたのを見かけて購入したのですが、2010年2月に上梓されたものだったんですね。

2013年11月に映画『Steve Jobs』が公開されるのにあわせて、新しいオビを付けて推されていたようです。

ジョブズが亡くなる前に書かれた本なのか……と、ジョブズの死と、それによる世界の悲しみを知っていた僕としては、やや物足りないような気がしたのです。

しかし、考えてみれば、ジョブズがその死によって「神格化」される前だからこそ、この新書のなかで、ふたりはフラットな状態で対決できているのかもしれません。

実は、この新書を読みながら、「ビル・ゲイツの経営者としての凄さ」を、あらためて痛感しました。

アップルは確かにドラマチックな軌跡を描いて成長してきた会社だけれども、マイクロソフトは、これまで大きな危機もなく、順調な飛行を続けています。

 独裁的な言動は社内に混乱と対立を生み、ジョブズはとうとうアップルを追われ、約10年の不遇の時を過ごすことになる。だが、ネクスト社の一年後に設立したアニメ制作会社ピクサーでは、苦闘の末に完成させた一本のアニメ映画(「トイ・ストーリー」)でアカデミー賞を獲り、株式上場にも成功。その後アップルに奇跡の復活を遂げ、iPodを始めとする数々のヒット商品を生み出すなど、栄光の座に舞い戻ってみせた。

 言ってみればジョブズの経営は、ホームラン型だ。窮地に立たされても、一発逆転のホームランで相手を打ち負かす。観客はハラハラドキドキで興奮し、熱狂的に応援してしまう。アップルとジョブズの歴史は、まさに天国と地獄の繰り返しだ。

 そんなリスク満載のホームラン型の対極にあるのがゲイツの経営だ。ゲイツは経営の安定化を最優先に考え、”二足の草鞋”でリスクを最小化する。

 たとえば、先に述べたIBM用のOSを開発していた時でも、マイクロソフトはプログラム言語BASIC(ベーシック)の売上があったから経営が逼迫することはなかった。アプリケーションのマイクロソフト(MS)ワードを出した時には、IBMとのMS-DOSビジネスで1000万ドルの売上を計上していたおかげで、MSワードがすぐに成功しなくても倒産することなく、成長路線を歩み続けることができたのだった。

 現実主義のゲイツは、商機を決して逃さない。バージョン1.0に完璧を求めるジョブズと違い、タイミングを最も重視して初めの一歩を果敢に踏み出す。たとえそれが不十分な一歩であってもかまわない。もしバグが多ければ、二歩目を素早く出せば顧客をつなぎとめることができる。バージョン1.0を出してから次のバージョンを出すまでの期間が短いのはマイクロソフトの特徴であり、現実主義者のビル・ゲイツならではの手法だ。

「世界でふだんから多くの人に使われている」という点では、マイクロソフトの製品は、アップルの製品に負けていない(というか、むしろ勝っている)はずなのですが、ジョブズのほうが「世界を変えた」というイメージを持たれているのは、考えてみると不思議ですよね。

 そして、観客として見ていて面白いのはアップルなのだけれども、どちらがすぐれた経営をしているかと問われれば、これはもう、マイクロソフトなのだろうな、と。

 ジョブズのさまざまなエピソードがその死によってあらためて採り上げられたため、やや印象が薄くなってはいますが、ビル・ゲイツもかなり「変わった人」なんですよ。

 ジョブズに負けず劣らずの「厳しい経営者」でもあります。

 ジョブズの能力が「製品に対する審美眼」に特化していたのに対して、ゲイツは、自らも優れたプログラマーだったのです。

 もちろん、ゲイツは開発現場に「ゆっくり開発してもいいよ」などとは決して言ってはいない。逆に、現場が考えている開発期間より短い期間で完成させるよう、猛烈にプレッシャーをかける。それでいて、期待通りに開発日程が守られなくても、あきらめたり投げやりになったりはしない。

 そもそもソフトウェア開発は、華々しいことが毎日待ち受けているような仕事ではない。むしろ細かく歩みを進める歩兵部隊のような地味な仕事だ。匍匐前進のように、精神的にも肉体的にもきつく辛いことの繰り返しである。その現場に光を当てたり、大雨を降らせたりして抑揚をつけるのがゲイツのマネジメントだ。時にでき上がったプログラムの内容にけちをつけ、「私ならもっと少ない行数で書き上げる」と言ってエンジニアの反撥心を煽る。また、外敵を見つけ出し、ターゲットにすることでチームの士気を高め、開発スピードのアップを図ったりもする。

 ところでゲイツは、「最高のソフトウェアは大規模な開発部門からではなく、小さな開発チームによって作られる」と語っている。これは彼の経験から来たものだ。

 マイクロソフトは創業当初から、少ない人数で限界まで効率を上げて猛烈に働き、大きな成果を出してきた。この体験はゲイツにとって貴重なものであり、マイクロソフトの売上が大きくなってもゲイツは組織を安易に拡大させなかった。

 ビル・ゲイツさんという人には、こんなエピソードもあるそうです。

 部下から見た上司像も、社長からは違って見えるように、お金を通して見ると人間性も違って見える。ゲイツとジョブズを、お金を通して見てみるとどうだろうか。

 人はお金を手にすると人間性が変わるという。ところが、ゲイツはどんなにお金が入ってきても、贅沢な暮らしに溺れることはなかった。マイクロソフトを興した時でも、世界一の資産家になった後でも、ゲイツは倹約家であり続けた。

 倹約家は小さいことにも気を配る。ある時、シアトルのダウンタウンのホテルで開催される集まりに参加するために、ゲイツは友人のハイジ・ロイゼンを車に乗せて急いでいた。ダウンタウンで駐車場を探したがなかなか見つからず、会合に遅刻しそうになってしまった。「ホテルの駐車場に止めればいいじゃない」とハイジが言うと、「12ドルもかかるよ」と言ってゲイツは拒否したのだ。

 確かにホテルの駐車料金は高いが、それにしても全米一の大金持ちがここまでこだわるとは驚きだ。ゲイツの言葉に呆れたハイジが「それなら、私が12ドルを払うわよ」と言い出す始末だった。

 ああ、ゲイツさんは、大金持ちにもかかわらず、「常識的な金銭感覚」を持っているんだなあ、と感心すべきなのだろうか……

 ゲイツさんの稼ぎであれば、ホテルごと買えるくらいなのに……

 立場を考えれば、これはこれで「異常」ではありますよね。

 急いでいるときに高くてもホテルの駐車場に停めるのは「もったいないけれど、しょうがない」。

 少し高い駐車料金よりも、遅刻して信頼を損ねてしまうほうが、よほど「損」なのではないかなあ。

 本当に個性的かつ対照的なふたりのことを、著者は、さまざまな角度から「比較検証」しています。

 その結果、経営者としてのふたりの勝負は……まあ、その結果まで書いてしまっては、野暮というものでしょう。

 興味のある方は、ぜひ、この新書を手にとってみてください。

 著者は、ふたりについて、こう述べています。

 レオナルド・ダ・ビンチのように、常に新たなものを生み出し続ける創造型のジョブズと、創業以来一度も赤字を出さずに成長を30年以上続けてきた安定経営型のゲイツは、まったくもって対照的だ。

 では、創造型と安定型の両方の才能を持った経営者こそが最高の経営者なのだろうか。私はそうは思わない。むしろ彼らの

能力を足して二で割ってしまっては、どこにでもいる普通の経営者に成り下がってしまうだろう。注目すべきは、二人の経営手法が180度違っていても、共に素晴らしい成果を出したことだ。

 極端すぎるようにみえるけれど、足して二で割ると、個性が失われてしまう。

 成功するための経営者の資質というのは、難しいものだと思います。

 アップルもマイクロソフトも、「ハードな労働環境の会社」ではありますしね。

ジョブズもゲイツも、一般人が「参考にする」とか「真似る」ということができるような人ではないと思いますが、「コンピュータの進化を支え、世界を変えてきたふたりの比較」は、かなり興味深いものでした。

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